桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作
■ 17
「はぁ……疲れた……」
桜怜が腕で汗をぬぐいながら歩く。
「はやく涼みたいなぁ……」
桜怜の見つけた木陰で少し休もうと考える。
少し足早に、桜怜は男子更衣室の裏へと歩いた。そして、
「あ、あれ……?」
更衣室の裏に着いた桜怜は愕然とした。
「な、ない……やだ、どうしよう……!」
桜怜は焦る。確かにここにおいた制服がない。
「か、カバンまでない……!」
スクール水着やタオルの入ったカバンもない。
「盗られちゃったの……? どうしよう……」
桜怜が戸惑う。すると……
「あれ? 桜怜ちゃん、どうしたの?」
二人の男子生徒が姿を現す。二人とも桜怜のクラスだ。
「あの……ここにあったカバンとか……制服とか……知らない?」
桜怜が二人に尋ねる。
男はニヤニヤしながら、
「あ〜、あれ桜怜ちゃんのだったのか……」
男の一人が言う。
「ど、どこにあるの……?」
桜怜が尋ね、
「ああ、この中だよ」
男が男子更衣室を指差す。
「えっ……! か、返して……」
桜怜がやや涙目になり、二人に懇願する。
「桜怜ちゃんこれから水泳でしょ? 俺らもだからわざわざ荷物更衣室に入れてあげたんだよ」
「水着に着替えるんでしょ? なら更衣室でやりなよ……」
男がニヤニヤと意地悪く言う。
「い……一緒に着替えるの……? そんなの……恥ずかしい……!」
桜怜が言う。男子と一緒に水着着替えなんてできるわけもない。
「恥ずかしがることないよ、俺たちクラスメイトじゃん?」
男が言う。
「だめっ……できない……恥ずかしい……」
桜怜が拒む。
「へぇ……でも桜怜ちゃん、その格好見せるのは恥ずかしくないの?」
男の一言。
「えっ……?」
桜怜は焦りで忘れていた。自分があまりにもワイセツな体操着姿だという事を……
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