桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作

■ 52

「やだ…はやくしなきゃ…!」
汚されたブラジャーとピンクのパンティをカバンにぱさりと放り込む。
このまま更衣室の横の階段まで走れば逃げられる…! 桜怜はカバンを引っつかみ、チャックも閉めず駆け出した。
「はぁ…はぁ…もうちょっと…!」
桜怜が疲れた足を懸命に動かして走る。ヒップに水着がさらに食い込むのも、おっぱいが溢れそうになるのも気にする余裕が無い。
「はぁ…はぁ…あっ! …」
階段までもう少し、というところで桜怜が驚いた声を上げる。
「パ…パンツが…!」
カバンの上にひょいと乗せただけだった桜怜のピンクのパンティがない。
「走ってるときにおとしちゃったんだ…!」
桜怜がおろおろと焦りながら後ろを見渡す。向こうにピンクのパンティを見つける。

「どうしよう…! 拾いに行ってたら見つかっちゃう…!」
桜怜が大きすぎるおっぱいに腕を当てておろおろする。
もうすぐ男子たちが入ってきてしまう。
「取りに行かなきゃ男子にパンツ拾われちゃう…! でも…こんな格好で見つかっちゃったら…!」
規格外の爆乳を存分に強調し、ガムテープで補強してようやく身に着けているようなスクール水着姿。
こんな格好で見つかったらまた恥ずかしい目に遭わされる…! 桜怜はわずかな時間に追い立てられながら混乱する。
「だ、ダメ! 来ちゃうっ!」
更衣室の男子たちが今にも入ってこようとする。桜怜があどけない美少女の顔を焦りで満たし、とっさに判断を下す。
桜怜はぎゅ、とカバンを握りなおし、片腕で弾む胸を庇いながら階段を駆け下り、プールを出た。
「はぁ…はぁ…!」
桜怜はそのまま小走りにプールから離れた木陰まで行き、そこでひざから崩れるようにしゃがみこんだ。
とりあえず窮地を脱したという安心感と下着を放置してきてしまった底知れない不安、そして走ったことによる疲労が一気に桜怜を襲った。
「うう…お願い…パンツ見つけないで…!」
今プールサイドにいるであろう男子たちに祈るように呟く。この高校で女の子のパンティが見つかればたちまち桜怜のものだとばれてしまう。
「あ…名前書いちゃってたかも…!」
桜怜がはっ、とさらに悪いことを思い出す。小さい頃からの習慣で衣服、特に下着には小さく名前を書いているのだった。あのパンティも例外ではなかった。
「もう、いや…! 今日はなにもないと思ったのに…!」
平穏だと思っていた一日を乱され、桜怜が恨めしげに呟く。
そしてのろのろとキツい水着を脱ぎ、体操着に着替えた。
「あん! お尻に食い込んじゃう…!」
下はハダカに直接ブルマを履いたため豊満なヒップにブルマが食い込んだが、しっかりとキツくタオルを腰に巻き、何とか隠した。
そして汚いブラジャーで爆乳を抑えつつ、あのプールの男子たちが桜怜のクラスでないことを祈った。
「おねがい…! パンツ盗られるだけならいいから…!」
桜怜が懇願するように言う。あのパンティをネタにまたセクハラを受けることが何より怖かった。
「うう…!」
桜怜がカバンを胸に押し当てながらとぼとぼ歩き出す。時折ずり落ちそうになる腰のタオルを直しながら、不安にまみれながら桜怜は帰路についた。
翌日、桜怜の願いは届かなかった。


翌日の正午、桜怜はいつもの高校への道をいつも以上に憂鬱な気分で学校へと向かっていた。
曇っていて日差しはないもののむわっと蒸しかえるような暑さの中を汗をかきながら制服姿の桜怜が歩く。
いつものようにカバンでブラジャーと制服をはちきらんばかりのボリュームの爆乳を抑えながら重い足取りだ。
「はぁ……やだぁ…」
桜怜のため息。昨日、案の定クラスの男子の一人から電話がかかってきた。
いつも以上に下卑た、勝ち誇った声で桜怜に今日学校へ来るように言ってきた。
桜怜は床にへたりこみながらもそれに応じるしかなかった。
カバンの中には持ってくるように言われた体操着とブルマ、キツキツのスクール水着、ピンクのビキニ水着、あとは桜怜の判断で入れたプール用のタオルが入っている。
「パンツ…見つかっちゃったんだ…クラスの男子だったんだ…うう…」
はっきりと桜怜のパンティを持っている、とは言われていないが、あのいつも以上にいやらしい口調を聞いてほぼ確信した。
桜怜は不運を嘆きながらも学校へ歩を進めている。自分の下着が男子たちに握られているという恥ずかしさが桜怜を駆り立てていた。
「ちゃんと取り返さなきゃ…またブラジャーみたいにされちゃうっ…!」
桜怜は恥辱に汚された上、洗うことさえ禁じられた今もぼいんぼいんと弾む爆乳おっぱいを頼りなく隠す愛用のブラジャーのことを思う。
おぞましい男子の尿がたっぷりと染みたブラジャーを着けているというたまらない恥ずかしさ。
このままではあのパンティまでもが同じように汚されてしまうかもしれない。これ以上、弱みをつかまれるわけにはいかない。
「もう負けないんだから…! そんなにおっぱいが見たいなら勝手に見ればいいんだからっ…!」
桜怜は自分に言い聞かせるように呟き、むにゅぅっ、とカバンをJカップ爆乳に押し当てながら歩いた。
しかしパンティを盗られたというのは取り越し苦労であってほしい、と淡い希望を抱かずにはいられなかった。

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