桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作

■ 60

「そんなにバカでっかいムネ揺らしまくってパンツまで丸見えなのに強気だねぇ…」
「ホントは恥ずかしいんでしょー? まー強がるとこがまたいいけど…へへ」
桜怜の反論も男子達はニヤニヤしながら流す。

「っ…」
桜怜は唇を噛み、無言でラケットを拾い、コートに戻った。

「うう…くやしい…! もうゼッタイこれ以上見せないんだから…!」
桜怜はキッ、と正面に向き直った。向こうのコートではさっきの男子がラケットを構え、外野にはすでに男子たちが桜怜を囲み、おっぱいや下着を凝視したり、
カメラを構えたりしている。

「あの男子はちょっとバトミントンできるみたい…さっきも私のおっぱい見ながら余裕で返してたし…」
桜怜はシャトルとラケットを構えながら考える。さっきは桜怜が自分からそのムネを揺らし、視線を集中させる作戦だったがあっさり破られてしまった。
といっても相手も人より少しだけ上手い、という程度のものだが、完全アウェーの桜怜からすればかなりの強敵だ。

「もう負けらんない…ゼッタイ…!」
桜怜が一つ呟く。もうまともにやるしかない。返されるとはいえ、この桜怜を目の前にしている以上、視線は確実にその胸に集中している。隙はあるはず。
桜怜は勝利を確信しているようにニヤニヤしている目の前の男子をキッと見据え、
「えいっ!」
とサーブを放った。

桜怜のサーブは大きな放物線を描いてゆっくりと相手コートに入っていった。
「おっ…とと!」
余裕を見せていた相手が慌てて返す。きわどい所にシャトルが来た上、スピードが緩すぎて返しにくかったらしい。

「はぁ…っ!」
桜怜が返されたシャトルの落下地点に走る。本当に体操着をはち切りそうな爆乳と丸出しのパンティに視線と野次、カメラが向けられる。
だがもう構っていられない。
桜怜は落ちてきたシャトルを思い切り打った。非力な桜怜とはいえ、全力で打てばそれなりに早く飛ぶ。

「きゃ!」
打つと同時に桜怜は足をもつれさせ、転んでしまった。

向こうのコートでは必死に男子がシャトルに追いつこうとしている。

「ダメっ!」
桜怜は祈るように言い、

ポトリ、地面にシャトルが落ちる。

「やっ…た…」
桜怜は地面に座ったままほっとする。

「ひゅー、桜怜ちゃんの勝ち〜」
審判の男子が片手を挙げながら言う。
「やるね〜、桜怜ちゃん」
「ガッツあるねぇ〜! デカパイ美少女!」
「あと一人だぜ〜、がんばれ〜」
外野がニヤニヤしながら桜怜に野次を飛ばす。
負けたにもかかわらず彼らの余裕は崩れない。

「はぁ…! はぁ…!」
桜怜はうずくまったまま肩で息をする。この暑さもあり、疲労困憊だ。
全身汗みずくであり、艶やかな髪からも汗が滴っている。
疲労と不快感が桜怜を襲う。
今すぐにでも全裸になって水を浴びたい気分だった。
「暑いし…やっぱり疲れる…! おっぱいが重すぎる…!」
桜怜が巨大なバストを両腕で抱えながら言う。運動において桜怜はこの胸のとんでもない重量感に体力を削がれてきた。

「しかも…ダメ…! もう破れちゃう…!」
桜怜の体操着の胸元はもうよく見ればわかるくらい繊維が限界に来ていた。もともと薄い生地の上、許容範囲を軽々超えた爆乳を抑え続けていたため、無理も無い。

「へへへ、しんどそうだねぇ桜怜ちゃん、続けられる?」
「うお〜、汗だく爆乳娘だ! エロすぎ!」
スポーツドリンクを飲みながら男子達が桜怜に近寄ってきた。

「いや!」
桜怜は小さく言って顔を伏せた。桜怜は地面に座り込んでいるため、男子達の海パンを突き破らんばかりの勃起がすぐ頭の上にあった。
「うう…!」
ヘトヘトになっているこんな姿でさえ性の対象としてしか見られていないことに激しい悔しさを感じる。

「さーて…はじめようか」
男子の一人が桜怜を見下ろしながら言う。

「えっ! も…もう…? もうちょっとだけ休ませて…!」
桜怜が戸惑いの表情で懇願する。

「あれ〜、ちょっと前まで威勢よかったのに、どうした〜?」
「これで勝てたら終わりだよ〜? パンツ丸出しのカッコでいつまでもいたくないでしょ?」
男子達が口々に言う。

「うう…! もう…わかったから…!」
桜怜がよろよろと立ち上がり、コートに向かった。

「これで勝てばおわりなんだから…相手が強いとも限んないし…」
流れる汗を拭いながら、桜怜は祈るように呟いた。
向こうのコートには小柄な男子。自信ありげにシャトルを持ち、こちらを見ている。

「お願い…! サーブで失敗して…!」
確立は低いだろうが桜怜はこんな事でも祈らずにはいられなかった。
そして審判が合図し、男子がスパン、と音を響かせシャトルを打った。

シャトルは桜怜の遥か頭上を通り過ぎる。
「やった…? 飛びすぎだ…!」
桜怜の表情が緩む。しかし、
「え…? え…?」
桜怜の呆気にとられた声。シャトルは見事にラインギリギリ、桜怜のコート内に落ちた。
桜怜はただ呆然と立ち尽くし、それを見ているだけだった。

「さっすがバトミントン部!」
外野の男子が叫ぶ。
「うまいもんだろ?」
相手の男子が答える。

「バトミントン部…そんなぁ…!」
勝ち目なんかなかったことを悟り、桜怜はがっくりと地面にへたりこんだ。

桜怜が揺れるオッパイを気にしようが、開き直ろうがどうせこのバトミントン部で勝負をつける気だったのだ。
二勝させられ、勝てるかも、と希望をちらつかされ、結局無様にムネを揺らすところを撮られただけだ。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊