隷属姉妹
MIN:作

■ 第2章 支配の檻7

 それは誰に質問しても、間違い無く柔らかそうなゴムの棒を選んだだろう。
 どう考えても、騎乗鞭よりゴム棒の方が[痛そう]には、見えないからだ。
 だが、その考えは脆くも崩れ去る。
「誰が何発受けても構わないが、30発受けきれなかったら、罰を与えるからな」
 笠原が宣言し、誰から受けるか目で問い掛けた。
 三姉妹はお互いの顔を見合わせ、真っ先に恵美が手を挙げる。
 その瞬間笠原が軽く身を乗り出し、肘から先の動きで振り抜く。
 返事の為、右手を上げてがら空きに成った、恵美の脇腹に黒いゴムの棒が吸い込まれた。
 笠原の腕の動きは不安定な為、どちらかと言えば速くは無く、打撃力もそれ程あるとは思えなかった。
 だが、当たった瞬間ドムッと言う鈍い音が響き、ゴム棒は恵美の身体に巻き付いて、ゴムの形がひしゃげて板のように変わる。
 恵美はズンッと重い振動と同時に、身体の奥底に突き抜けるような受けた事のない痛みを感じる。
「ごぼっ!」
 恵美の口から空気が大量に吐き出され、弾き飛ばされたように恵美の身体は床に倒れ込んだ。

 このゴム棒は芯に5oのワイヤーが入り、その周りを柔軟性に富んだ特殊なゴムが多重に巻かれている。
 ゴムの厚さはそれぞれ3o程で、各層には2oのワイヤーが等間隔にコーティングされていた。
 その効果は、恵美が打擲を受けた状態のように、棒の体積が打撃面に拡がって分厚く覆い、しなやかに巻き付き打撃力を収束させない。
 その場合、加えられた衝撃力は身体の表面に伝わるのでは無く、身体の奧に浸透する。
 こう言った浸透する衝撃はその重さに左右されるのだが、金属とゴムで出来たこの棒の重さは、打撃部分だけで優に1.5sの重さが有った。
 金属バットの重さがおよそ900gだから、その衝撃力は自ずと知れるであろう。

 その衝撃をまともに受けた恵美は、肺が拡がらずヒューヒューと喉を鳴らし、新鮮な空気を求めて藻掻いていた。
 何とか落ちついた恵美は、身体全体でゼロゼロと呼吸し始める。
「どうした…お前達が選んだんだろ…?まさか、1発でお姉ちゃんはダウンするのか?」
 笠原はニヤニヤと笑いながら、恵美に問い掛けると、ヨロヨロと力無く上半身を支え、驚きと苦痛を混ぜ合わせた顔で、笠原を見上げた。
(な、何…今の…。身体の奧が痛い…。こんなの、好美や愛美に絶対受けさせられない…)
 恵美は笠原の思惑通りに、自分の身より妹達の事を心配する。
 妹達は恵美の反応を見て、そのゴム棒の恐ろしさに震え始めた。

 恵美は気丈にも身体を起こし、笠原に向かって
「まだ…、まだです…。私を打って下さい…」
 必死に告げる。
 笠原は[フン]と鼻で笑いながら、恵美の肩口にゴム棒を打ち付けた。
 衝撃は今度は骨に直に響き、全身がビリビリと痺れるような痛みを感じる。
「ぐふぅ〜っ…、まだ…大丈夫です…、もっと…もっと…下さい…」
 笠原は恵美の言葉通り、3発、4発と打ち付ける。
「がぐぅ〜っ…、ぐ、ぐぅう〜〜っ…」
 恵美は顔を真っ青に染め、粘つくような汗を顔中にかきながら、荒い呼吸を吐く。
 笠原はニヤニヤと笑いながら
「ほう、頑張るな…。頑張っているお前に良い事を教えてやろう。この警棒はな、脂肪が多い所に受けると内臓に衝撃は届きにくいんだ…」
 恵美に警棒の特色を教えてやった。

 恵美はその言葉を聞き、今までの受けた衝撃を思い返す。
(た、確かに…脇腹を叩かれた時は、死ぬかと思ったけど…。背中や肩口は少しマシだった…。でも、骨が近いと凄く響くし…。脂肪が多くて骨に遠い所…、どこ…?私の身体でそんな所があるの…)
 恵美はハアハアと荒い息を吐きながら、笠原の言った場所を自分の身体の中で探す。
 そして、笠原の目線でその場所を見付けた。
(あっ、ここだわ…。でも…、こんなところで受けるなんて…)
 恵美は少し躊躇い、俯きながら唇を噛んで考えたが、意を決して笠原を見詰め
「笠原さん…ここを打って下さい…」
 両手で乳房を持ち上げ、笠原に依頼した。
 笠原はニヤリと笑って
「そうか、そこで受けるんだな…。なら、それなりの格好をしろ。そのままじゃ、余計な所に当たるぞ。身体ごと横を向いて膝立ちに成ったら、手を後ろで組むんだ」
 恵美の申し出を聞き入れ、姿勢を指示する。

 恵美は笠原の指示通り、横を向いて膝立ちに成ると両手を後ろに組んだ。
 笠原はゴム棒をスッと差し出し、恵美の豊満な乳房をポンポンと叩き、その柔らかさを計る。
 恵美は目の前で動くゴム棒を、歯を食いしばりながら見詰めていた。
 2・3度ゴム棒が乳房の上で弾むと、ユックリと持ち上がり恵美の頭の上を越える。
 恵美はそれを震えながら見詰め、衝撃に備えた。
 ゆっくり持ち上がったゴム棒は、上がった時とは逆にヒュッと風を切り恵美の顔の前を通過する。
 恵美の乳房にズンと衝撃が掛かり、恵美の身体が前のめりになった。
 乳房の上部から外側側面に掛けて、一瞬ゴム棒が拡がってネットリと巻き付く。
(痛〜〜〜い!オ、オッパイが取れちゃう〜〜〜っ!)
 だが、笠原の言った通り、ブルンと震えて恵美の乳房が衝撃を受け止め、痛みはそれ程強く感じなかった。
(痛〜…で、でも我慢できる…、死にそうにならない…)
 恵美は笠原の言った事が、本当だったと驚きの表情を浮かべる。
 乳房はジンジンと痛むが、あの内蔵を揺さぶる恐ろしい痛みが、今回はなかったのだ。

 笠原はゴム棒を戻して
「次はどこが良いんだ…」
 恵美に問い掛けると
「も、もう一度オッパイに下さい」
 恵美は笠原に顔を向けて、乳房への打擲を願う。
 笠原はニヤリと笑って、今度は下から乳房を掬い上げた。
 ビズッと言う鈍い音と供に、恵美の下乳にゴム棒がまとわりつく。
 恵美は目を固く閉じ、歯を食いしばってその衝撃に耐えた。
 恵美は再度その姿勢のままで、笠原に打擲を頼むと笠原は袈裟切りにするように、斜め上方から乳首の直ぐ上を目掛け打ち下ろす。
 この3発で恵美の左側の乳房は、乳房の谷間以外、隙間無くゴム棒に巻き付かれた。
 その意味を痛みに耐えている恵美は、理解していない。
(へへへっ、こいつ明日に成ったら、驚くぞ…)
 笠原は震えながらも必死に痛みに耐える恵美を見下ろし、ほくそ笑んだ

 恵美はジンジンと痺れる左乳房を抱きしめ
(まだ、7発しか受けてない…あと23発も受けたら、死んじゃうかも知れない…。でも、駄目…好美や愛美にこんな物受けさせる訳にはいかない…。あの子達は、私が守らなきゃ…)
 折れそうになる心を必死に奮い立たせて、お仕置きの続行を申し出る。
「まだ…、まだ私のオッパイに下さい…」
 恵美が泣きそうな顔で、笠原に申し出ると
「おい、もう左は無理だろ…、これ以上やったら筋が千切れるぜ、こいつで同じ所を2度殴ったら、殆ど致命傷になる。反対側を向け」
 笠原は意外にも、恵美を気遣うように姿勢を変える指示を出した。
 恵美は少し驚いてコクリと頷くと、直ぐに指示通り反対側を向く。
 そして、今度は右の乳房で3発受けきった。

 乳房への打擲が終わると、恵美は今度は立ち上がって笠原に背中を向け
「こ、今度はここにお願いします…」
 腰を屈めてお尻を突き出し、笠原に依頼する。
 恵美はお尻でも6発受け、左右の太股にも2発ずつ受けて20発を受けきる。
 だが、この時点で恵美の体力は、限界を超えていた。
 顔面は蒼白で、唇はワナワナと震えて荒い呼吸を吐き、水を被ったような冷や汗が髪の毛までも湿らせている。
 ゴム棒を太股に受けた為、足も体重を支えるのがやっとの状態で、生まれたての子馬のように、プルプルと膝が笑って震えていた。
 それでも、まだゴム棒を受けようとする恵美に、好美が堪らずしがみ付き
「お姉ちゃん!もう、もう止めて!私が…私が替わりに叩かれるから…。だから、お姉ちゃんはもう休んでて!」
 涙を流しながら、申し出た。
「だ、駄目よ…。本当に辛いのよ…。貴女達をあんな物で叩かせるなんて…、お姉ちゃんには出来無い…」
 恵美は好美の申し出を頑なに拒み、好美を押し返すと
「まだ、私が受けます…。笠原さん…どうか、私を打って下さい…」
 笠原に頼み込む。

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