隷属姉妹
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■ 第4章 突き付けられる選択1-2

 差し出された、4錠の赤い錠剤を凝視した看護師は、総師長の名を聞いて顔を強張らせながら
『そ、そのお薬は…』
 震える声で問い掛けると、同僚は、無邪気な笑みを向け
『うん、下剤だって言われて渡されたの。総師長様の見立てだから、多分、これを飲んだら、便秘なんて一発よ』
 ウインクしながら、脂汗を滲ませる看護師の手に握らせ
『早く飲んで。この病院内じゃ、患者に処方されたお薬以外を持つ事は、固く禁じられてるの。総師長様に渡された物だけど、冷や冷や物だったんだからね』
 小声で耳打ちされると、脂汗を滴らせた看護師の脳裏に、就業規則の小冊子に書かれた条文が浮き上がり、顔を強く引き攣らせる。
 愕然とする看護師に、同僚の看護師がグイグイ手を押し付けながら
『早く、早く飲んで。こんな所、他の誰かに見られたら、私も就業規則違反で、罰せられるんだからね』
 周囲にキョロキョロ目を配りながら、早口で捲し立てると、脂汗を流す看護師は、一瞬[そうじゃ、無いの!]と叫びたかったが、その原因を告げる事ができずに、下唇を噛んで項垂れる。

 パソコンのモニターに映し出された、この2人の遣り取りを見ていた部屋の主は、傲慢で残虐な本性を隠そうともせず、右手を口元に添え
「ほぉ〜っ、ほっほっほっ…!」
 高らかに笑いながら肩を振るわせ、お腹を抱えて涙を滲ませながら一頻り笑い
「さぁ〜、どうするの〜?そのお馬鹿さんは、薬の名前なんか覚えて無いから、その下剤の適正服用量なんて知らな〜い。でも、あなたなら、その薬をそれだけ飲めば、どんな事に成るか簡単に分かるわよねぇ〜?直腸カメラを入れる前に飲む、強力な下剤…。体重50sの者で1錠の服薬量だけど、その4倍の量を飲めば、どんな事に成るのかしら…?」
 愉しそうに呟くと、モニターの中の脂汗を浮かべる看護師は、困り果てた顔を浮かべながらも、一挙に錠剤を嚥下した。
 同僚の看護師は、満足気に頷き
『薬が効いて来たら、直ぐに言ってね。私があなたの分の仕事もしておくから』
 ニッコリと笑って告げる。
 その無邪気な笑みに、悪意など微塵も無いが、その悪意が無い事が、実は、尤も質が悪いと言う事に同僚の看護師は、一切気付いて居ない。

◇◇◇◇◇

 病室廻りを終え、ナースセンターに戻った2人は、青看護師に報告し、直ぐに壁際に移動して待機姿勢を取る。
 この病院では、ピンク看護師は、勤務時間中は、直立して両手を前で組む、この待機姿勢が基本で、椅子に座れるのは、事務仕事を行う時か、休憩時間の時だけだ。
 服薬から、30分程が経ち看護師の脂汗の量がドッと増え、身体が瘧の様に細かく震え始め、顔色は、蒼白を通り越して、紙のように白く成って居た。
 その姿を見て、同僚看護師は、不思議そうに首を傾げる。
 なぜ、トイレをこれ程我慢して居るのか理解できなかったからだ。
 如何にこの病院の規律が酷しくとも、生理現象を訴えれば余程酷い青看護師で無ければ、許可をくれる。
 今、目の前で事務仕事をしている青看護師は、そんな理不尽なタイプでは無く、言い出せば許可をくれる。
 そんな、簡単な事をせず、なぜ苦行のような我慢をしているのか、答えを見付けられない。

 脂汗を滴らせる看護師は、トイレに行って排便したくて堪らなかったが、できないのだ。
 その理由は、看護師のアナルには、専用の鍵を使わなければ外せ無い、特殊なアナル栓が装着されているからだ。
 そう、この脂汗を滴らせる看護師は、恵美であった。
 そして、同僚に下剤を手渡し、恵美に飲まざるを得ない状況を作った総師長とは、恵美の現状を熟知している妙子であり、妙子は、恵美が小便浣腸をされている事に勘付いた上で、適正服用量の4倍に及ぶ下剤を渡し、耳打ちしたのだ。
 これは、恵美がどれ程の肉体的、精神的耐性を持っているか、調べるためだけに行った、妙子個人の興味本位な実験である。

 妙子は、自室で鼻歌混じりに紅茶を啜りながら、モニターに映る恵美の姿を見て、ニヤニヤと笑っている。
「あらあら、中々の素養じゃない…。あの状態をあんな表情で堪えるなんて、調教しがいが有るわ。早く堕ちないかしら」
 妙子が愉しげに呟くと、モニターに映る恵美の目が、フッ、フッと、時折白目に変わり始めた。
 それを見た妙子は、チラリと時計に目を向け
「45分か…。初めてにしては、及第点ね…。今日のところは、これで赦して上げるわ…」
 満足気に呟き、内線電話に手を伸ばす。

 ナースセンターに電話を掛けた妙子は、恵美を呼び出した。
 電話口に出た恵美に
「具合が悪いなら、今日は、帰りなさい」
 鋭い声で言い放つと、モニターの中の恵美は、顔を強張らせて
『申し訳御座いません!』
 腰を折って謝罪する。
 その動きで腸が刺激され、腸内で渦巻く便が一気に出口を求めて流れ出す。
 しかし、その出口は、アナル栓で固く閉ざされ、高まった腹圧で押された便がアナル栓を震わせ、逃げ場が無いため逆流する。
 お腹一面とアナルに激痛が走り、グッと息を詰まらせた恵美に
「そんな体調で看護をして、ミスでもされたら迷惑なのよ。さっさと、帰りなさい。良いこと、自分の体調も管理できない者に、看護師を名乗る資格は無いわよ!」
 辛辣な言葉を叩き付け、通話を切った妙子は、ニンマリと悪意タップリの笑みを浮かべ
「まぁ、帰り着けるかは、知った事じゃ無いけどね…」
 愉しそうに呟いた。

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