隷属姉妹
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■ 第4章 突き付けられる選択4-5

 その映像は、所々が切り取られたダイジェスト版の様な物で、この女性の死迄20分程の画像だったが、衝撃を受けた愛美には、倍以上に感じられた。
 愛美が呆然とする中、不意に画像が切り替わり、今度は別の女性のアップが映し出される。
 その女性も先程の女性同様、若く美しかったが、顔には絶望と諦めの表情が浮かび、自己紹介を始めた。
 だが、愛美はこの映像を見て、背筋を凍り付かせる。
 自己紹介する女性の声が、愛美の耳に届いたからだ。
 愛美は、顔を引き攣らせ、耳を塞いで
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
 甲高い悲鳴を上げ、顔を伏せる。

 顔を伏せた愛美に、笠原はニヤニヤ笑いながら
「どうした?見ないのか…?この後、3人程控えてるんだぜ…」
 問い掛けると、愛美はイヤイヤと首を激しく振りながら
「も、もう許して!こんなのヤダ!見たくない!怖いから!お願いします!」
 必死に叫んで懇願すると、笠原は愛美の尻朶から手を放し、愛美の身体に覆い被さりながら右手を伸ばして、DVDプレーヤーの停止ボタンを押し、映像を止めると、愛美の頭を撫で
「おい、起きあがれ。んじゃ、無ぇと俺が元に戻れ無ぇ」
 笑って愛美に告げると、愛美は両手をベッドに付き、笠原の上体と共に身体を起こした。

 笠原は、両手で愛美の身体を抱き締め、ベッドに倒れ込みながら、愛美ごと仰向けに成ると
「おまえの姉ちゃん達が、あの女みたいに成ったらどうする?」
 静かに問い掛ける。
 笠原の問い掛けに、愛美の身体がビクンと大きく震え、ガタガタと震え出すと
「イヤだよな?」
 笠原がソッと耳打ちすると、愛美の頭がガクガク縦に震え
「でも、成るぞ」
 ニンマリと笑いながら笠原が更に耳打ちする。

 愛美が[ヒッ]と息を飲み、更に強張ると
「おまえ達が、俺に従わ無ぇと、それは確実な事だ…。俺の言ってる意味、分かるよな…?」
 笠原が更に優しい声で、愛美に告げ問い掛けると、愛美はブンブンと首を縦に振り、理解している事を示す。
 すると、笠原は愛美を抱えた手を放し、開放して
「なら、どうすりゃ良いか、分かるか?」
 愛美に問い掛けると、愛美は泣きそうな顔で
「えっと、あの…、その…」
 必死に言葉を探そうとするが、中々答えが見つからず
「俺の言う事を守る事だ!」
 笠原は、答えに行き着かない愛美に苛立ち、先に言い放つと
「は、はい。それです」
 愛美が尻馬に乗る。

 笠原は内心で舌打ちし、大きく息を吐いて苛立ちを紛らわせると
「今、おまえが俺にされた事を、おまえが姉ちゃんに言ったら、姉ちゃんはどうすると思う?」
 愛美に問い掛けると、愛美は少し考え
「お、怒ると思います…」
 ボソリと答えると、笠原はコクリと頷き
「そうだな。おまえの、姉ちゃん達なら怒るよな。じゃぁ、怒られた俺は、どう思う?」
 愛美に更に問い掛けると、愛美は直ぐに
「怒ると思います」
 笠原に答えた。

 余りのノータイムな回答の早さに、愛美が抱く笠原像が浮き上がり、笠原は鼻先で笑い飛ばすと
「俺が怒ったら、どう成ると思う?」
 詰めの問い掛けを愛美に投げ掛けると、愛美はブルブル震えながら
「言いません!お姉ちゃんには、絶対に何も喋りません!言う事も、全部聞きます!」
 叫ぶように言い放ち、クルリと身体を回転させて笠原に向き直ると、涙でグショグショの顔を笠原に向け
「だから…。だから!お姉ちゃん達をあんな目に遭わせないで下さい!」
 必死の表情で笠原に懇願する。
 笠原は、勝ち誇った表情で愛美の頭に手を乗せ、優しく撫でながら
「良いだろう。おまえ達が約束を守るなら、俺も約束を守ってやる」
 愛美に告げると、愛美は怖ず怖ずと顔を上げ、笠原の目を見詰めてコクリと頷く。

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