隷属姉妹
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■ 第4章 突き付けられる選択9-2

◇◇◇◇◇

 夕方の申し送りが始まると、珍しく妙子が現れ、ナースセンターに緊張が走る。
 妙子は、総師長である為、他の科も廻っており頻繁に顔を見る事は無い。
 いつも突然現れるのだ。
 まぁ、圧倒的な存在感とプレッシャーを纏う妙子に、頻繁に顔を出された方は、かなり迷惑な話しだった。
 師長の椅子に腰を掛け、足を組んで辺りを見渡すだけで、ナースセンター内の空気が帯電したように思える程、ピンと張り詰める。
 1人優雅に紅茶を飲み、各員の報告に耳を傾け、時折一言二言指示を与える。
 全員の申し送りが終わると、ティーカップを机の上に置き、無言で立ち上がり席を立つ。
 ナースセンターを出て行こうとする妙子の背中に
「あ、あのっ。そ、総師長様。ご、ご相談したい事が!」
 恵美が震える声を掛けると、妙子の足がピタリと止まり、妙子の右口角がスッと持ち上がり、邪悪な笑みを浮かべ、クルリと身を翻した時にはその笑みは消え、いつもの怜悧な表情に戻っていた。

 冷たい眼差しを向け、腕組みした妙子が
「何か用?槙村さん」
 視線同様の冷たい声で問い掛けると、見詰められた恵美の身体がビンと伸びて硬直し
「は、はい。勤務の事で、少しご相談したい事が有りまして!」
 上擦った掠れ声で妙子に告げると、妙子はチラリと腕時計を確認し
「あなたの勤務時間は、後20分ね…。良いわ、聞いて上げるから、私の部屋にいらっしゃい」
 淡々とした口調で告げ、クルリと踵を返し歩き出す。
 恵美は、慌てて妙子の後に続き、残った看護師達は恵美の背中をそれぞれの感情を込め見詰める。
 その視線は、同情、侮蔑、焦燥、嘲り、冷淡、喜悦など、様々であった。
 この視線の意味は、全員がこの後恵美がどう成るかを知っていたからだ。

◇◇◇◇◇

 恵美が総師長室に入ると、妙子がスチール製の執務机を回り込み、布張りだが人間工学に基づいた機能的デザインの椅子に座り、両肘を机の天板に着いて、軽く指を組んだ手の甲に顎を乗せた。
 怖ろしい程様に成っているが、放つ威圧感は普段の2割り増しで、恵美の足が竦む。
「何をしているの?そんな所に立ってちゃ、話もできないわよ」
 入り口の直ぐ脇に立ち尽くす恵美に告げると、恵美はぎこちない動きで、机の前に移動し直立不動の姿勢を取り
「あ、あの!わ、私も、シフトに入る事はできないでしょうか!」
 恵美が言い出すと、妙子の視線がジロリと睨み付け
「ダメよ。あなたには、その資格が無いもの」
 けんもほろろと突っぱねられた。

 余りに取り付く島もない言葉に、恵美が愕然とすると、妙子が小さく溜息を吐き
「あなたは、まだピンク服の看護師。その看護師が夜勤に就くには、或る特別な条件が必要なのよ。あなたは、その条件を満たしていない」
 冷たい声で説明する。
 妙子の説明に、恵美は必死な顔で
「条件って、どんなものですか?私、頑張ってその条件を満たします。お願いします、どうしてもお金が要るんです!」
 妙子に懇願すると、妙子は再び溜息を吐き
「何か事情が有りそうね…」
 呟くと、恵美は頷いて笠原の事と今の家計状況を妙子に説明した。

 恵美の話しを聞いた妙子は、少し沈黙し、スッと右手を顎の下から抜いて、引き出しに伸ばしながら
「それじゃぁ、これにサインしなさい」
 一枚の紙を机に置いて、恵美に突き出す。
 恵美がその紙に視線を落とすと、それは誓約書だった。
 内容は、[病院内で見聞きした事や、行われた事をどんな事が有っても、家族を含めた他人に絶対口外せず、もしこの誓約を破った場合、どのような罰則も甘んじて受ける]と言う内容の物だった。
 同じような内容の物は、病院に入った時点で書かされたが、これは更に重い物だった。
 恵美は、誓約書の中身を黙読し、コクリと頷いてサインをし拇印を押した。
 妙子は誓約書を受け取り、頷くと
「これで、あなたはこの映像を見て、他で喋る事はできなく成った。どこかでうっかり口を滑らしたり、知っている素振りを見せても罰するからね」
 言いながら、リモコンを取り出し、恵美の背後の壁に掛けてある、大型テレビに向ける。

 恵美が身体を回して、大型テレビに目を向けると、[A個室]に入院する市議会議員の姿が映り、同僚のピンク服看護師である木下真澄(きのした ますみ)が扉を開け
『お呼びでしょうか』
 ニッコリ笑いながら問い掛けた。
 すると、議員はだらしない笑みを浮かべ
『おお、今日は君か。いつもの奴頼むぞ』
 真澄に告げると、真澄はニッコリと再び笑い
『畏まりました』
 返事を返しながら、扉を閉めて内鍵を掛け、素早く背後に手を回すと、ナース服をストンと足元に落とす。

 その瞬間、恵美はヒッと息を飲んだ。
 真澄のスレンダーながら肉感的な身体には、下着が着けられておらず白いガーターベルトと白いストッキングだけで、ツンと挑むような乳房も無毛の恥丘も丸出しであった。
 しかし、恵美が息を飲んだ理由は、別の所に有る。
 真澄の両乳首とクリ○リスに、銀色に光る直径5p程のリングがぶら下がっており、そのリングを細い銀色の鎖が繋いで居たからだ。
 真澄は、ニッコリ笑いながらベッドに近付くと
『失礼しま〜す』
 議員に断ると、布団を捲りながらベッドの上に乗り、身体を擦りつけて全裸に剥くと、クルリと身体を回してお尻を議員の顔に向け、四つん這いの姿勢を取った。

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