梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第一章 劣情1

竹田亜矢子は疲れ果ててベッドに顔を埋めてうつ伏せになっていた。―――それも股間から尻にかけてジトッと濡れているオレンジの縞パンティ一枚姿で太股の一部も濡らしていた。それ以外はネックレスやイヤリングすら身に纏わない姿で―――。
顔を上げてツインテールの髪をかき上げて隣を見ると親友で幼馴染みでボブカットの髪の遠藤梨華子が亜矢子とほぼ同じ格好―――ピンクのパンティ一枚姿で亜矢子と同じ様にパンティを濡らし、太股にも愛液が伝っていた。その状態で彼氏の岡山大介の厚い胸板に顔を埋めて沿い寝をしていた。二人はスヤスヤと心地好い寝息をたてていた。

亜矢子は幸せそうに眠りに落ちている二人を見て、クスッと笑ってそれから眠りに落ちていった―――。


01章 劣情


五年半程前、中学一年の初夏―――。
梨華子と亜矢子はいつもと同じ様に登校した。この日から衣替えで夏服になる。梨華子、亜矢子共にただ小学生時代の普段着から中学の制服にかわっただけで、その制服が薄着になってもただそれだけの話であって大した変化は無いと思っていた。

しかし違った―――。

亜矢子の前の席の女子生徒のワイシャツを透して背中に薄く見えるモノ―――。ブラジャーだった。
そう、中学生になると同時につける人はかなり多い。制服を着ると同時に大人への階段を意識する頃なのだ。
亜矢子はツインテールの髪を揺らしながらボブカットの梨華子の所に行き、耳打ちした。
「……さん、ブラジャーしてる……」
それに梨華子は頷き、
「……さんもだよ」
と亜矢子に小声で返した。梨華子が言った人は身長155cmでまだ伸び続けている梨華子よりも背が低く成長が小学生時代にほぼ終了してしまった背と同じ様に胸も殆んど無い、いわゆる貧乳な子だった。
その子がブラジャーを着けていたからである。

体育があるんだし着替えるときに分かるじゃん―――と思うかも知れない。
この学校には更衣室が無いため女子生徒はワイシャツの下に体操着を入れ、中から着てからワイシャツを脱ぐ、という技を持っていた。蛇足だが下はもっと簡単である。スカートはいたままスパッツを穿き、スカートを脱ぐだけである。
これが梨華子と亜矢子が今まで2ヶ月間気付かなかった理由その1。

体操着の色が濃い事。濃いとまず透けないため、その部分を触るないしは意識して見ないと意外に気付かない。更には天候の関係で気温が低く、ジャージを着ている事が多かった点。これが理由その2。

そして、そういう「あーっ、誰誰密かにブラしてるー」なんていう話をするタイプの人達のグループに属さなかった事―――。これが理由その3。
これらの理由が重なり梨華子と亜矢子が今まで気付かなかった理由であった。

梨華子と亜矢子はいつも通り途中の交差点までは仲の良いグループと一緒だったが、東町の交差点からは二人で帰った。
「え?梨華子も亜矢子も知らなかったの?」
とグループのリーダーで梨華子と亜矢子よりも背が高いクラスの委員長は言った。このグループは大だい的にはそういう事話さなかったが、暗黙の了解みたいな感じで知ってるかと思ってた。
「あなた達もあと半年もすれば着けるようになるから」
と笑った。勿論委員長は着けていた。5月からであるが―――。


梨華子は、
「私達は私達のペースでいいんだよ。きっと」
と言い、亜矢子は、
「そうだね。焦ることないし」
と返した。二人はニッコリと笑顔を見せた―――。


変化が来たのは3ヶ月後の9月中旬―――。まだ夏の暑さが残り文字通り残暑―――、アブラゼミの鳴き声はまだまだけたたましかった。
梨華子は亜矢子を呼んだ。亜矢子が来ると少し恥ずかしそうにして、
「見て。初ブラ」
と言って制服のワイシャツを肌に押し付けた。すると僅かにブラジャーの線が見えた。梨華子は亜矢子以外に気付かれるのが恥ずかしかったのか、まだ暑いのに我慢してブラジャーの上にTシャツを着てなるべく透けない様にしていた。
心持ち、梨華子の胸は初めてブラジャーを意識した時より大きくなっていた。
「亜矢子もそろそろいいと……思うよ」
梨華子は顔を赤くして言った。亜矢子は、
「う、うん。そうだね―――でもそれより」
と言ってから、
「おめでとう、梨華子」
と大人への階段を意識して登り始めた梨華子を称えた。


体育祭―――。梨華子と亜矢子は活躍した。梨華子は100m走と玉入れ、亜矢子はスゥエーデンリレーと二人とも自分達のクラス―――1組の点数アップに貢献した。
二人は成績が良く、その上おとなしくて目立たず、しかも運動部所属では無い為にクラスメートは兎も角、他のクラスの人にとってはダークフォースであった。


冬休み前―――。
亜矢子は梨華子を呼んだ。梨華子が亜矢子の元に行くと、亜矢子は梨華子をトイレに連れて行き、ブレザーとセーターを脱いだ。それからネクタイをずらし、ワイシャツのボタンを3つ外し、前を開けて見せた。
「私も―――着けたよ」
顔を赤くしながら言い、ボタンを直した。梨華子は、
「おめでとう、亜矢子」
と自分が掛けてもらった言葉を亜矢子に掛けてあげた。亜矢子は、
「ありがとう、梨華子」
と言い、脱いだ服を全て着ると二人は教室に戻った。

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