梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第三章 快感1

ピピピピピピー
勝負を告げるアラームが鳴った。梨華子は亜矢子に先手を取って組み合った。亜矢子は梨華子に心を見透かされ動揺し、いいように組まれてしまった。このままだと負けると思い、何とか振りほどいてその勢いで倒れ、振り出しに戻した。
梨華子は今までの経緯から、強い意思を持っている方―――則ち今まででは話を持ち掛けた方がそうだった―――が勝った。しかし話を持ち掛けた梨華子よりも今回は話に乗った亜矢子の方が意思が強かった。だが、梨華子が自分が勝ったら悩みを聞くと言う事で梨華子にも目的が出来た―――。

梨華子は右手で亜矢子のブラジャーのホックを掴みに行く振りをして亜矢子がホックに気を取られた瞬間、ベルトに下から指を入れた。上に持ち上げながら前に一瞬で指を移動させるとあっけなく亜矢子の両乳首が露出して勝負が決まった。
亜矢子はふぅ、と息を吐いて目を閉じ、
「私の負けか―――」
と言いながらブラジャーを外し、目の前に置いた。梨華子は、
「悩みを聞かせて。いつから悩んでたの?」
と聞いた。亜矢子は、
「あの時二人で買い物行ったでしょ。その前の日から」
と答えた。二人きりになったのはそれ以来なのである。亜矢子はそこから言葉が詰まった。一体どう説明すれば梨華子に解って貰えるか考えた。
かつて亜矢子は梨華子が悩み、自分に隠し事をした事に対して何と言ったか―――。
『随分長いんだね、信用出来ないのかな……?』
と言った。梨華子はその時には勇気を持って話してくれた。だから今度は自分の番―――。梨華子はあの時亜矢子に軽蔑される事を恐れたが今の亜矢子がそんな気持ちだった。

梨華子はなかなか話さない亜矢子に対して何も言わず、只ひたすら座ったまま待ち続けた。自分はこのゲームを提案するときどれだけ恥ずかしかったか―――。なかなか言えない亜矢子はそれ以上に恥ずかしい事を言おうとしているのではないかと思った。
しかし、亜矢子の悩みを聞くと言った以上は必ず聞く。梨華子はそう思って待った―――。
亜矢子はペットボトルの水を横を向いてグイと飲んだ。部屋は閉め切っていたのと、激しく動いた事で熱が籠り暑かったので喉がかなり渇いていた。そして手の甲で一度口を拭いてからもう一回決意するようにグイッとペットボトルの水を飲み、静かに置いた。それから、
「今から言うこと―――聞いても軽蔑しない?」
と念を押した。梨華子は、
「亜矢子が私の軽蔑する事をやるなんて……思えないよ」
と静かに答えた。亜矢子はその時の梨華子の真剣な表情から覚悟を決めた―――。さっき梨華子の顔は眩しく感じた。そして今の表情―――やっぱり梨華子でないと駄目だと再認識した。
「私を……イカせて欲しい……。梨華子の……手で……」
亜矢子は梨華子から目をそらし顔を真っ赤にしてつっかえながらも精一杯言った。その時ツインテールの髪が片方、乳房に掛った。梨華子はそれを聞いて驚きもせず、
「いいの?本当に―――何言ってるか、解ってる……よね?」
と聞いた。梨華子は亜矢子が何をして欲しいか―――性的な快感が欲しい、性欲処理をしたい、という事だと理解した。実際どういう風にとかは解らずとも、そういった情報とは高校生にもなれば接点は持っているのである。亜矢子はゆっくり頷いた後、
「いつか彼が出来たときに……いきなりだと怖いから梨華子に……やって欲しいの」
と言った。梨華子は亜矢子は自分が言ってる事がどういう事なのか解ってて、全て承知で言ってると感じたので、
「いいよ。でも亜矢子がどうしてあげれば満足するか分からないから―――教えて」
と承諾し、更に性的快感を得る方法も与える方法も分からないのでお願いした。亜矢子は、
「ありがとう」
と言って梨華子と抱き合った―――。思ったよりもずっと簡単に話が進み、亜矢子は心から安心した―――。


4日後―――。二人はこの日にやることに決めていた。場所は梨華子の部屋。家には誰も帰って来ない―――。
亜矢子は茶色のジャケットに青のフリル付きのミニスカートで梨華子の家に来た。一方梨華子は白のブラウスにミニスカートと白で揃え、亜矢子を迎えた。
梨華子はペットボトルの水を2本亜矢子に渡して部屋に案内した。亜矢子は、
「2本もいいの?」
と聞いた。梨華子は、
「うん。疲れるだろうと思って」
と答えた。実際梨華子もいわゆる"イク"というのが経験が無いだけに表面的にしか分からないのでとりあえず水は沢山用意した。
梨華子の部屋に入ると亜矢子は後ろ手にドアを閉めた。そして、
「じゃ……指示するからお願い……」
と言って梨華子の腕を掴んで梨華子の前に立ち、二人は立った状態で向き合った。亜矢子の顔は赤かった―――。
亜矢子はジャケットを脱ぎ、ベッドに置いた。そしてもう一度梨華子の腕を掴んでブラウスのボタンに持って来た。梨華子は黙ってボタンを一つずつ外した。
梨華子も顔が赤くなっているのを感じた。『騎馬戦』の時は自分で脱いだし、負けた方がブラジャーを取り除くのが、それは自分でやるから恥ずかしい事は恥ずかしいが、梨華子に服を脱がされる亜矢子も、亜矢子の服を脱がす梨華子も恥ずかしかった。
「脱がしちゃって……」
亜矢子は目を閉じて言った。梨華子は下からボタンを外したので最初は亜矢子のスカートのベルトのバックルが、そして臍が、さらに上に行くとブラジャーが―――この日、あの時買った水色の縞模様のものをしていた―――。
そして首のボタンを外すとゆっくりと袖から右、左と腕を抜き、脱がしたブラウスをベッドの上に置いた。
亜矢子はふぅ、と息を吐き、梨華子の手を取り、水色の縞模様のブラジャーの上に当てた。そして、
「揉んで―――優しく……こうやって」
と言って自分の手を梨華子の手の上に置いて、ゆっくりと胸を揉んだ。梨華子は、
「……」
何も言わず暫く亜矢子に任せた。暫くそのまま揉んでいたが亜矢子は梨華子の手の上から自分の手をどけた。梨華子は一旦ブラジャーから手を離し、亜矢子の腕を下に下げさせてから今度は亜矢子のサポート無しで揉み始めた。
「…………ん……」
亜矢子は一瞬声を出した。梨華子は両手でブラジャーの上から優しく優しく揉んだ。亜矢子は、段々体の奥から沸き上がってくる感覚を覚えた。これが何だか理解するにはもう少しだけ―――梨華子のやり方にもよるがあと五分くらい―――必要だった。
「スカート……と……靴下も……脱がして」
亜矢子は目を薄く開けて言った。梨華子は亜矢子の前に膝まづき、ベルトのバックルをはずした後、ベルトは抜かずにスカートのホックを外すと重みでストンと亜矢子の足下に落ちた。梨華子が落ちた青いスカートに手を掛けると、亜矢子はスカートを跨いだ。梨華子はスカートを拾い、ベッドの上にあるジャケットとブラウスの上に置いた。そして亜矢子の足にも手を掛け、靴下も脱がした。
それから目線を上に上げると、亜矢子は縞模様のブラジャーとパンティ姿になっていた。
「ちょっと待ってね」
梨華子はそう言って白のブラウスとミニスカートをゆっくりと一枚ずつ脱いで、ピンクの可愛いブラジャーとパンティ姿になった。

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