梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第四章 お礼1

一週間後―――。高校生になって初めての真夏日。この時の太陽は実は夏休み中より厳しい光を放っている。
梨華子と亜矢子はグループの人達と一緒に学校から帰っていた。流石に暑いのでセーターは腰に巻いて袖を前で縛った。そしてネクタイを緩めて第二ボタンまで外した。
梨華子と亜矢子は隣を歩いていた。頬や首を伝わる汗、そして大きく開いた胸元からチラチラブラジャーが見えたが、背中側も汗でくっつき始め、ブラジャーがくっきりと―――しかも梨華子は薄い水色、亜矢子は白地に紫の縞と色物だったので結構目立った。亜矢子は、梨華子の頭を引き寄せて耳に向かって小声で、
「私達―――ブラ目立ってない?みんな白だから透けても遠くからじゃ……」
と言った。梨華子は、
「そうだね。ちょっと恥ずかしいけど気に入ってるの着けたいし……」
と周りに聞こえないように答えた。二人はいわゆる見せブラを持っていなく、常に着け心地と可愛さを追求していたので、セーターさえ着ていれば全く気にならなかったのに暑くて脱いだらブラジャーの線が目立って急に恥ずかしくなった。
「内緒話なんかして―――仲の良いこと」
グループの人に冷やかされた。別の人は、
「噂通り双子だよね」
と言った。
梨華子と亜矢子の二人と同じ中学出身の人が何人かいるが、互いに疎遠であるにも関わらずその人達は口々に梨華子と亜矢子の事を双子と言った。
やや大きめの背格好、性格、運動能力、成績、等々どれを取っても同じ様だったから―――。ついでに言うと下着のサイズと胸の弾力が同じで、違うのは―――顔付きと髪型、そして下着の柄の好み―――。

二人は双子と言った人に向かって、
「そうだね。でも双子じゃなくて良かった」
と言って笑った―――。


二人はグループから別れて二人きりになった。それから亜矢子の住むマンションの前で別れる。中学までとは逆になっていた。
「じゃ、また後でね。汗流しといてね」
梨華子が言うと亜矢子は、
「うん。梨華子もね」
と答えた。二人の約束だった。今度は亜矢子がお返しをする番―――。


亜矢子は自転車に乗って梨華子の家に向かった。その時一人の男子生徒が友達と歩いていた。その男子生徒は中学時代に短距離で関東大会まで行った事でちょっとした有名人だった。
グループ内でも何度か話が上がっていた―――。
4月の体育の時体力測定が行われたが、その時梨華子と亜矢子は良い数値を出していたので、その男子生徒のことがグループ内に知られるようになると、運動が得意な梨華子か亜矢子の彼氏にいいのでは?と話に上がることが多くなった事を思い出した。
亜矢子は梨華子の家の前に着くと自転車のベルを鳴らし、それから門を開けて入った。そして玄関のベルを鳴らすと梨華子が出て来た。
「上がって」
梨華子は笑顔で亜矢子を上げてペットボトルの水を渡し、
「飲んで」
と言った。亜矢子は梨華子の後について階段を上がり梨華子の部屋に入るとペットボトルの蓋を開けて飲んだ。梨華子は机の上にある飲みかけを飲んだ。
「今日は暑いからね……」
梨華子は顔を赤らめて言った。不透明なガラスを通して入って来た西日のせいか、その赤さが際立った。
亜矢子はドキッとした。正直梨華子が可愛いと思った。勿論梨華子は大切な親友だし可愛いと思ってる。梨華子もそうだ、亜矢子は大切な親友だし可愛いと思っている―――。しかし、この時はそれだけでは無かった。
「梨華子……大好きだよ」
亜矢子が呟いた。梨華子は頷き、
「私もだよ亜矢子……ずっと一緒だよ」
と答えた。これから二人は誰かに恋をして付き合う事もあるだろう。亜矢子があの男子生徒の噂をグループ内でしていた事を思い出したのと同様に、梨華子も男というものを意識し始めていた。
けれどもそれが実ったとしても、何があってもお互いに相談したり励まし合ったりして支え合って生きて行こうと誓い合った―――。


梨華子は二本目のペットボトルの蓋を外し一口飲み、ベッドに腰掛けた。そして亜矢子を手招きした。亜矢子が横に座ると、
「始めよ……」
と言い、ボブカットの髪を指で流し、そのまま手を膝に置いた。亜矢子は梨華子のオレンジ色のカーディガンをゆっくりと脱がした。それからベッドから下りて梨華子の前で膝立ちして、黄色のポロシャツのボタンを一つ、また一つと外した。そして最後の一つを外した後、梨華子をバンザイさせて、ゆっくりと裏返らない様にポロシャツを脱がし、床に落とした。
梨華子は学校帰りの時とは違う、雪のような白の可愛いブラジャーを着けていた。
亜矢子は膝立ちのまま青いシャツのボタンを外した。前のボタンを全て外して開いた。亜矢子のブラジャーは白地に黄色の縞模様で、梨華子と同様に家に帰った後シャワーを浴びて下着を変えたのだった。
亜矢子は脱いだシャツを床に落とした。そして梨華子の胸をブラジャーの上から優しく掴み、摩るように揉み始めた。
「…………」
梨華子は何も言わずに手を膝の上から横にだらんと下げる体勢に変え、亜矢子が揉みやすい様に胸を張った。
「梨華子、指示して……」
亜矢子が言った。梨華子は横を向き、自分の肩に目をやった。その体勢のまま、
「うん……暫く揉んで」
と答えた。亜矢子は頷いてツインテールを指で流し、両手で乳房を揉みほぐした。
梨華子の顔は赤くなっていた。そして亜矢子も自分の顔が赤くなっているのを感じた―――。

梨華子はだらんと手を下げていたが、一回頷いた後ベッドにしっかりと手をついた。亜矢子は梨華子が頷いた事には気付かなかった―――。
梨華子は亜矢子が気付かなかった事には何も思わなかった。
「スカート、脱がして」
と指示する為に頷いただけだったから―――。
亜矢子は軽く頷き、梨華子の白いミニスカートのベルトを外した。そしてボタンを外し、チャックを下ろすと梨華子は脱がしやすいように腰を少し持ち上げた。
亜矢子はスルッとスカートを脱がして、床に落とした。それを見て梨華子は腰を下ろした。その後亜矢子は立ち上がって黒のフリルはついていないがヒラヒラの可愛いミニスカートを落として跨ぎ、スカートを拾って他の服と一緒にした。


梨華子は可愛いピンクのリボンが付いた雪の様に白いパンティを穿き、亜矢子はオレンジのリボンが付いた黄色の縞模様のパンティを穿いていた。
亜矢子は再び梨華子の前に膝立ちして梨華子の顎の下に頭を埋めて乳房を揉み始めた。梨華子は顎が上がらない様に顔を横に向け、そんな亜矢子の頭を優しく撫でていた。
「梨華子……気持ち良くないの―――?」
亜矢子が聞いた。亜矢子自身の時はブラジャーの上から胸を揉まれただけで声が出て来たが、梨華子は声を出していないからだった―――。指示を出したり頭を撫でたりはしてくれたが、そういう意味では梨華子は『無反応』に感じた。梨華子は、
「ううん……気持ちいいよ」
と答えた。それと同時にピクッと反応した。亜矢子は梨華子の返事と体の反応を見て安心した。
梨華子は左手で亜矢子の頭を撫でたりツインテールの髪を触ったりしながら、右手で胸を揉んでる亜矢子の左手に触れて、ブラジャーの中へ入れた。そして、
「右手も……」
と指示した。亜矢子は言われた通りに右手もブラジャーの中へ這わせた。梨華子は、
「ん……」
と軽く声を出し、抵抗する気は全く無いと言わんばかりに両手共亜矢子の肩越しに背中に投げ出した。亜矢子は指に梨華子の乳首の感触を覚えると、ブラジャーの形を崩さない様に手の平で乳房を包み込みながら人指し指と中指で軽く挟み、円を描くように愛撫した。すると梨華子は目を閉じてピクッと反応すると同時に歯をカチカチ鳴らした。
「気持ち……いいよ亜矢子」
梨華子が言った。亜矢子は嬉しそうに笑った。顔を埋めてるので梨華子からは見えなかったが―――。

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