梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第八章 喪失2

「両親は?」
ベッドに腰掛けていた大介が聞いた。梨華子は、
「昼から出掛けたよ。夜中まで帰ってこないよ」
と答えた。大介はそれを聞いて、
「そっか。俺、初めてだしよろしく頼むわ」
と真顔で言った。梨華子は、
「うん。私も……」
と言ってペットボトルの水を一本渡した。二人でそれぞれキャップを開け、乾杯して一気に飲み干した。それからペットボトルを置き、ゆっくりと大介の隣に座った。大介は梨華子の肩を抱き引き寄せてそれから両手を背中に回し抱き締めた。梨華子も両手を大介の背中に回して同じ様に抱き締めた。お互い、相手の肩に顎を埋める形になっていたが、大介は梨華子の後頭部に手を回し、自分の顔に引き寄せ、もう一度キスをした。
大介は、礼二に言われた事を思い出した。主導権を握れ、だけど絶対焦るな。梨華ちゃんの好みを聞け―――好み通りにさり気無くリードしろ、と。
「梨華子、どんな風にしたい?」
大介はストレートに聞いた。大介は礼二みたいに気の利いたリードは出来ないと思っていた。だから梨華子の好み、どうやって欲しいか直接聞いてその通りにリードしようと思った。
「……」
梨華子は少し考えた後、
「パ……ンティは……脱がさないで」
と大介の胸に顔を埋めて答えた。大介は、
「何故?」
と聞いた。聞くのは反則かもしれない、と思った。それが梨華子の好みならそれに従う方がいいのだが、梨華子がどうしてそういうやり方を希望したのか、もっと言えば何故パンティを履いたままやるのが好きなのか知りたいと思った。
「可愛いのが……いいから……」
梨華子はそう答えたが、亜矢子と快感を共有していた時からお気に入りの格好の一つであった―――。大介は、
「そう言う梨華子が―――可愛い事を意識している梨華子が可愛いよ」
と言って頭を撫でた。梨華子は顔を埋めたまま真っ赤な顔を更に真っ赤にして、
「ありがとう……」
と答えた。耳まで真っ赤にしていた。そう言えば女の人がパンティと言うのは最近では珍しい。理由は卑猥な感じがするからだという―――。しかし、梨華子は恥かしがりながらも言った。この場でそう言えたという事は大介の知らない所での普段の会話からある程度言っていた可能性がある―――大介がそれについて知るのはもう少し後になるのだが―――。
大介は梨華子の薄い黄色のブラウスをゆっくりと―――沢山あるボタンを一つ一つ丁寧に外して、その後そっと腕から袖を抜いて脱がした。梨華子はブラウスの下にはシャツ等は着ていなかったので、可愛い水色のブラジャーが露になった。梨華子は脱がされた後、大介のシャツの中に手を入れ陸上部で鍛えた厚い胸板を触った。デート中暑かったのでベタついた感じではあったがそれさえも愛おしく感じた。大介はシャツを脱いで上半身裸になった。
大介は梨華子の腕を軽く掴んだ。そしてもう片方の手で軽く摩り、
「スポーツクラブで鍛えてるんだね」
と確認する様に言った。同じクラスになって半年、付き合い始めてから三ヶ月経っていたが手首から肩口までこうやって触って確認するのは初めてだった。梨華子は顔を逸らし、
「うん……」
と答えた。そして梨華子の腹に目をやると、女性らしく皮下脂肪に覆われてふっくらとしていて男性みたいにくっきりと割れたりはしていないが、やはりスポーツクラブで鍛えてる締まった体である事は直ぐに分かった。勿論梨華子がスポーツクラブに亜矢子と二人で行っていることは知ってるのだが、きちんと真面目に取り組んでいるのがこういう所からも確認できたのは嬉しかった。
「そういう所も好きだよ。俺、実は細いの苦手なんだ―――」
と褒めた。梨華子は、
「ありがとう……」
と答えた。大介はその後梨華子の胸に手をやり、ブラジャーの上から優しく揉み解した。
「んっ……」
梨華子は短く声を上げた。亜矢子に揉まれた時とはまた違う快感だった。初めてで緊張してる手付きだが男性の大きな手で優しく乳房全体を包み込むような包容力で揉まれるのは違った感じだった。
梨華子は両腕を下ろした。そして、
「スカート……脱がして」
と要求した。大介は、
「ああ」
と答え、梨華子のベルトを外して引き抜き、スカートのボタンを外した。すると梨華子は後ろに手を付いて腰を軽く持ち上げた。大介はスカートを掴んで梨華子の足から抜き取った。それからベッドの脇に置いてあるブラウスの上に重ねた。
梨華子は下着姿になると上体を起こし、座り直した。ブラジャーと同じ水色のパンティをはいていた。リボンは一見合わなそうな白だったが蝶の様にヒラヒラしてて可愛かった―――。
梨華子が恥ずかしそうに手を後ろで組んでると大介は、
「梨華子が脱がしてよ」
と言った。梨華子は頷き、両手を組んでるのを解き、大介のベルトにやった。そしてベルトを外してジーパンのボタンを外し、ズボンを下ろした。
「―――!?」
思わず両手で顔を覆った。黒のビキニパンツがはち切れんばかりに盛り上がったのを見て驚かずにはいられなかった。そう―――これが入って来るのだからある意味の恐怖心も感じた。
「初めてじゃ無理無いよね、俺ももう勃つなんて思わなかったよ」
大介は梨華子の頭を撫でた。梨華子はその言葉と撫でられた事で少しずつ安心して顔から片手ずつ退けた。そして勇気を出して、
「す、少しだけ……触って……いい?」
と聞いた。大介は、
「ああ―――いいよ」
と言った。梨華子は恐る恐る大介の股間に手を伸ばし、パンツの上から手の平でチ○ポを触った。その生暖かく固い感触に驚き一回手を引っ込めたが、
「ご、ごめん。もう一回……」
と謝り、もう一度触った。大介は梨華子の手の上に優しく自分の手を重ね、もう片方の手で梨華子の後頭部を引き寄せ、
「大丈夫、緊張しないで楽にして」
と励ました。そして梨華子の指を曲げて握らせた。

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