梨華子と亜矢子
百合ひろし:作

■ 第九章 公認4

「え―――!!お前マジかよ!俺以上じゃねぇか!」
次の日、礼二はあまりの展開に驚いた。梨華子と亜矢子はニコニコしていて大介は、
「俺も予想出来なかった、こんな展開―――」
と答えた。礼二は呆れたような顔をしたが、ある事に気付きニヤリと笑った。それを見て大介は、
「何だ?いきなりキモいな」
と言った。礼二は、
「いや、何でもない。ただの思い出し笑いさ。昔似たような展開があってさ」
と誤魔化した。
確かに礼二は複数の人と付き合ってた時期はあったが、梨華子、亜矢子、大介の様な関係ではなかった。それよりも気になる事があったので席を外した―――。
「亜矢ちゃんも正式に―――ってなると絶対Sex求めるぜ?そん時は梨華ちゃんはどうするんだ?」
と思ったからである。
「ハハッ、まさか!ねーよな?3P」
礼二はトイレで用を足しながら笑った。


放課後、礼二は梨華子を準備室に呼んだ。梨華子は一人で来るように言われたので亜矢子と大介には待ってる様に言って、その場所へ行った。
着くと礼二が待っていた。礼二は、
「悪いな、こんな所に呼んで」
と先に謝った。そして、
「話は単純だよ。亜矢ちゃんも大介と付き合うって事がどういう事か、って事だよ」
と言った。梨華子は、
「うん」
と返事した。礼二は、
「亜矢ちゃんが大介とヤッてもいいのか?」
と単刀直入に聞いた。梨華子は態と、
「どうしていきなりそっちの話に―――?」
と聞いた。礼二は、
「亜矢ちゃんは知ってるんだろ?梨華ちゃんと大介が何回デートして何回してるか」
と言った。梨華子は、
「……全部、ね」
と答えた。礼二は今までの梨華子と亜矢子の関係から得られる結論―――、亜矢子は梨華子に追い付こうとする、と言えばいいのだろうか?その為必ず肉体関係を結ぼうとすると思っていた。梨華子が今答えた様に亜矢子が全てを把握していれば尚更だった。
暫くの沈黙の後、
「亜矢子が大介を奪うんじゃないか、って事?」
と梨華子は聞いた。礼二は、
「まあそういう事だけど、いいのかい?」
と聞き返した。梨華子は、
「亜矢子だったらいいよ。それに亜矢子は奪わない―――。それに、まだ亜矢子には言ってない事があるの」
と笑顔で答えた。礼二は、
「そっか。本当に信用してるんだな」
と一息ついた後、
「言ってない事とは?」
と聞いた。梨華子は、
「ごめん、それは言えない。亜矢子に言う事だから」
と頭を下げた。ここでこの話は終わった。礼二はこれ以上この話を続ける必要は無いと判断した。


梨華子と礼二は二人を待つ亜矢子と大介の所に行き、合流した。そしていつもの様に四人で帰った―――。


礼二、大介と別れて梨華子と亜矢子だけになった。二人は暫く黙って歩いていたが梨華子が、
「亜矢子に言っておきたい事があるんだ」
と切り出した。亜矢子は風で乱れたツインテールを指で流して、
「何?」
と聞いた。梨華子は、
「亜矢子も大介とデートしたりする事があると思う。その時はこれだけは約束して」
と言った。亜矢子は、
「うん。どんなこと?」
と聞いた。梨華子は亜矢子に視線を向けて顔を赤らめ、
「その時は私も呼んでね」
と言った。亜矢子は、
「うん。必ず呼ぶよ」
と笑顔で返した。亜矢子は直ぐに梨華子の意図を理解した。正式に付き合ってるのは梨華子であり、最終的には梨華子に決定権があることを―――。勿論梨華子は亜矢子にお情けで大介と付き合うことを認めた訳ではなく、限りなく梨華子と亜矢子の立場は平等に近い。しかし、それでもけじめはつけなければならない事はある、という事だった。
「私の時も亜矢子を呼ぶからさ……」
梨華子はそう言った後、
亜矢子から顔をそらして恥じらいながら、
「Sexもしていいよ。ただ―――中にだけは駄目だよ」
と言った。夕焼けの光が恥じらいに染まる梨華子の顔を更に赤く見せた―――。

亜矢子はそこまで梨華子がいいと言う事は想像出来なかった。キスさえ認められないと思っていたのに駄目なのは中出しだけだった。
「本当に……いいの?」
亜矢子は確認せずにはいられなかった。梨華子は亜矢子の方を向き、
「いいよ。大介は―――私達二人のものだよ」
と答えた。暫く梨華子を見つめた後、亜矢子は、
「ありがとう……」
と言った。


それから一ヶ月後―――、亜矢子メインで大介と デートする事になった。約束通り梨華子も呼んで二対一ので―――。

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