隣人
横尾茂明:作
■ 盗聴3
次の日・・征次が起きたときには隣りの女はいなかった。
(朝から何処に行きやがった・・)
下駄を履いて階下の新聞受けに行く・・。征次は新聞は取ってないから他人の新聞を抜き、テレビ欄だけ見て戻す。
(あーテレビもつまんねーな)
2階に戻り・・女のドアのノブに手を触れてみる・・回してみて・・。
(やっぱり鍵が閉まってるかー)
征次はポケットの中に自室の鍵が入っているのを思い出した・・。古くてぼろぼろの鍵・・。
(開くわきゃねーが・・物は試しだ・・)
(えっ・・えぇっ・・・おぉぉ開いたぜ!)
征次は幸運に驚喜する・・冗談のつもりが本当に開いた・・。
征次はきょろきょろと辺りをうかがい・・音を殺してドア開け、体を滑り込ませる・・。
心臓が飛び出そうなくらい興奮する・・。
(あぁーええ匂いがしやがる・・)
キッチンから奥に進み辺りを物色する・・。女性らしいたたずまいの部屋・・征次の部屋とは比べものにはならないほど整頓が行き届いている。
征次はタンスの下の引き出しを引いてみる・・。色とりどりの下着が丁寧にたたんで並んでいる・・。
その一つのショーツを取り・・開いてみる・・。
(ここがあのオンナのオマ○コのあたるとこ・・)
わくわくする思いで匂いを嗅ぐが・・いい香りの石鹸臭しかしない・・。
征次はショーツを元通りしまうと風呂に向かう・・洗濯機のふたを開ける・・。
(おぉぉー有った有った)
征次は洗濯槽からショーツを取り出す・・そして裏返してオマ○コの当たる位置が僅かに湿っているのを見つけ、ほくそ笑んで匂いを嗅ぐ・・。
(あぁぁーなんて匂いだ・・はぁぁええ匂い・・これがあのオンナの匂い・・フーッたまらんなー)
このままズリセンに耽りたいが・・昨夜の4回のオナニーは効いた・・。征次は仕方なくショーツを洗濯槽に戻し再び部屋を物色する。
鏡台の引き出しを開けると金が有った・・。各種の紙幣を数えるとざっと25万円ほど有る・・。征次は誘惑に駆られるが・・自分が最も疑われるのは分かっているから諦めた・・。仕方なく小銭に混じって5百円硬貨が十数枚あったから4枚だけ失敬して引き出しを閉める。
鏡台の横の屑籠にティッシュが丸められ、そこから男の精液の匂いが漂っている・・。
(ちくしょーこんなにしやがって・・)
ティッシュの量を見て征次は舌打ちする。
征次はベッドに脱ぎ捨てられているオンナのパジャマの匂いを嗅いでうっとりしながら・・さも惜しそうにパジャマを元に戻し・・入り口のドアを少し開け・・廊下に人気の無いことを確認してから外に出る・・。そっと鍵をかけ自分の部屋に戻った。
(しかし・・鍵が合うとはなー・・)
征次は古ぼけてギザギザがすり減った鍵に感謝した・・。
(これさえ有れば自由にオンナの部屋に出入り出来る・・くぅぅー俺はまだまだついてるぜ!)
征次は己の幸運を歓び・・これからの行動を思案し始めた。
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