真梨子
羽佐間 修:作

■ 第1章 東京転勤2

「おはようございます。 今日から半年間、お世話になります」
「こちらこそ、よろしくお願いしま〜す。 真梨子先輩」
 出社した真梨子を出迎えてくれたのは、高倉ビューティのプロジェクトを一緒にやる事になっているコンサルティング事業部スタッフの菅野 久美だった。
 津田塾出身で真梨子より1年後輩の優秀なスタッフで、何度か真梨子と組んで仕事をしたことがあった。
 人懐っこい子で、真梨子と気が合い、慕ってくれている。
「真梨子さん。 まずは、支社長にご挨拶をしておいたほうがいいですよ! そういうのにうるさいおじさんですから〜」
「アリガト。 わかってるわ。 じゃ、行ってくる」
 支社長室の前には、支社長付秘書、本田麗子がいた。
「ご苦労様です。 どうぞ。 ボスは中にいるわ」
「どうも、本田さん。 半年間よろしくお願いします!」
「こちらこそ 羽佐間さんになったんだったわね 改めておめでとう、真梨子さん。 さあ、どうぞ!」
本田麗子が、支社長室のドアを開けてくれた。

   ◆
「羽佐間真梨子です。 今日からお世話になります!よろしくお願いします!」
「やあ、ご苦労さん 今日からだったね! よろしくお願いしますよ」
 東京支社長の吉峰 一平は夫、浩二の高校の同窓生で友人の一人だった。
「泉さん・・・じゃなかったな。 羽佐間 真梨子さんでしたね。 浩二と結婚するとは、ビックリしたけど、浩二は元気にしてるかい?」
「ええ。 とても元気にしています。 支社長によろしくと言っていました」
「ああ。 こんなに素敵な 女 ( ひと ) を奥さんに娶ったんだから元気にもなるさ」

「まあ…」
「友人の奥様と言えども、仕事は仕事だから、ビシビシやるよ」
「ええ もちろん!厳しく御指導ください。支社長!」

   ◆
 午後から、さっそく「高倉ビュティ」に挨拶を兼ねて出かけることになっていた。
 山の手線に乗り、原宿で千代田線に乗り換え、代々木公園駅で降りた。
 担当責任者のコンサルティング2部部長の梶 純二と、秋山 昌弘チーフ、菅野 久美と4人で、代々木の高倉ビューティ本社ビルに入ったのは、午後2時前だった。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊