真梨子
羽佐間 修:作

■ 第2章 体験エステ4

「近藤さん。羽佐間の会社、いよいよ上場スケジュールが見えてきたようですよ:」
 真梨子へのメールをチェックしていた横田が溜息交じりで言った。

「ほう。益々力を付けてくるじゃないか!厄介だな」
「それに、その出資者と合うことがあって、時々東京へ出てくるらしいです。
 真梨子を可愛がってやるぞなんてメールを送って来ましたよ」

「ふん ほ〜・・・ で、誰だ?出資するのは?」
「何でもVAの橘とか・・・」

「・・・ 何! VAの橘だと!」
「ええ・・・」

 近藤は身動きせず、じっとソファに蹲っている。

「あ〜はははっ! ついに見つけたぞ!」
「え?どうしたんですか?」

 いきなり近藤は、弾けたように高らかに、真から楽しそうに笑った。

「クククッ おい、横田!VAの橘でピンと来ないのか? ふふッ」
「は、はぁ・・・」

「VAの橘ってのはな、ベンチャーエンジェルの橘 啓介だよ!」
「・・・! えっ! それって、愛奴育成倶楽部のVIP会員の橘さんですか?!」

「ああ、そうだ! ククッ」

 これはいける!と近藤は直感した。
 羽佐間の経営する会社、潟Eェブコミュニケーションズの上場に際し、資本参加しようとする人物が愛奴育成倶楽部の会員の中にいたのだ。
 橘 啓介は、近藤がこの淫靡な快楽の世界で大層世話になった人の息子で、投資関係では有名な潟xンチャーエンジェルを若くして率い、表の世界でも何度か面識があった。

 数ヶ月前、橘 啓介が入会してきた時は、親の橘 義輔翁と同じ性癖を持っている事が、おかしくて大笑いした覚えがある。

 羽佐間の力の源、会社と金を奪い、浩二を潰すのに利用できそうな作戦が頭を駆け巡る。
――「乗っ取り屋」の異名を持つ橘 啓介か・・・ ふふっ

「おい! 横田! そろそろ真梨子の身体、牝犬に相応しい肉体に磨き始めてやれ!
但し、急がなくていいぞ! いやらしい卑猥な身体になっていく事を真梨子にも十分楽しませてやれ!」

「はい」

「自分から恥かしい姿を晒したいと願うように仕向けろるんだぞ!
前にも言ったが決して脅したりするんじゃないぞ!
羽佐間にばらすぞ!なんてのは絶対ダメだからな!」

「はい。わかりました。いよいよですね」

「ああ いよいよだ! それとな。橘に真梨子の部屋の映像を見られるように、IDを発行しておけ」

「はい」

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