真梨子
羽佐間 修:作

■ 第2章 体験エステ12

 ――まさか、クリ○リスになんて・・・
 真梨子には、想像もできなかった。

「私がしてあげる訳じゃないけど、今度提携先の高瀬クリニックの先生が来られる時、30分もあれば出来るわよ お願いしてあげましょうか?」
「で、でも・・・」

「うふ 真梨子さん 貴女って、ご主人様の可愛い奴隷でいたいんじゃないの?!」
「えっ・・・」

「図星でしょ!」
「・・・・・」

「貴女は、いわゆるマゾって性癖を持った人なのよねぇ?!」
「・・・・・」

「縛られたり、恥かしい格好を命令されたりするのが好きなのよね? ね! 私に恥かしい格好を見られているだけで、こんなに濡らしちゃうんだもの〜 判るわよ」

「・・・・え、えぇ・・・・」

「アナルも愛してもらってるんでしょ!?」
「・・・もう、勘弁してください・・・ ぁぁぁ・・・」

 恥ずかしい自分の性癖を、すべて見透かされ、告白させられてしまった。

「彼が、貴女を虐めて、辱めて、そして悦んで貰う事が、貴女の悦びなのよね〜!?」

「・・・は、はい・・・」

「次のピアスのメニューは、旦那様の希望なんでしょ?!」
「はい・・・」

「それって、貴女の望みでもある訳なんですよね!?」
「…はい!」

「次は何時旦那様に逢うのか知らないけど、彼のお望みの貴女になっていたら、きっと悦んでくれるんじゃないかしら?! ツルツル、スベスベになったココもだけど」
「…は い …」

「勇気を出して、旦那様に悦んで頂ける身体を手に入れちゃいなさいな! 一度に全部でなくってもいいんだから。 ね」
「・・・はい!」

「久しぶりに逢ったご主人、驚いていっぱい可愛がってくれるわね!」
 真梨子は、顔を真っ赤に染め、コクリと頷いた。

「そ じゃ、どうせならもう少し勇気を出してみる?」

「はい?」

「高瀬クリニックの桑野先生がね、貴女のカウンセリングシートを読んで、貴女をコンプレックスから解放してあげることが、貴女が一番美しくなる方法だと仰ってたわ」

「はぁ・・・」

「ここよ!」
 奈保子が、真梨子の乳房に手を置いた。
「……」

 真梨子のコンプレックス・・・
 パットを入れてようやくBカップのブラジャーがフィットするサイズだ。
 貧乳という程ではないのだが、真梨子にとっては、自分の身体の中で一番嫌いな部位だった。

 奈保子は、お腹や大腿の余分な脂肪を吸引し、選別した良い脂肪だけをバストに注入する豊胸手術を薦める。
 手術の手順や、安全性を詳しく説明された。
 奈保子は、注入された脂肪は、自然に何割かは、身体に吸収されてしまうが、真梨子の場合は、恐らくCカップを維持できるだろうと言う。

 そして今はウェストサイズが59cmだが、脂肪を取ると、55cm位になるだろうといった。
 ――Cカップ! ウェストが55cm・・・

 そして、熱心に薦める理由を、真梨子に綺麗になって欲しいからだと、奈保子は言う。

「うふふ 実はね、新谷さんに聞いて私も『真梨子FanClub』の会員にして頂戴ってお願いしてるのよ」

「ええぇ!? やだぁ、先生・・・」

「普段はね売上の為に営業トークで、お客様を煽てあげて色々なサービスをお薦めするじゃない!? 貴女達に”高倉の良さ”を知って貰う事が木島常務の命令で、大好きな貴女に、売上を気にせずに我が社のすべての技術で美しくなって貰えるなんてエステティシャンとしては最高のやりがいなの! 喜んで貰いたいの!ね!? 」

「・・・・・・」

「貴女の旦那様にも悦んで貰って、それで貴女も幸せを感じて欲しいの!」

 ――ウェストが細くなってバストが大きくなる・・・

「うふっ はい お任せします」

「わぁ!嬉しい ありがとう!真梨子さん!」
「ありがとうだなんて・・・ こんなにも私のためによくして下さって・・・ 私こそありがとうございます」

 濡れた股間を大きく晒した格好のまま、魅入られたようにピアスと脂肪吸引・豊胸手術を承諾してしまった。

「じゃ桑野先生のスケジュールが取れたら、連絡するわね 」
「はい」

「お疲れ様でした」

「あっ、それとこのサービスは真梨子Funだから特別なのよ だから菅野さんにも言っちゃ駄目よ!」

「…言える訳、ありません。先生…」
「あははっ そりゃそうね」

 ゴーグルを外し、股間を見た。
 赤い斑点がところどころにあるが、見事にツルツルの丘になって、恥かしい縦筋がはっきり見えるような気がした。

 ――浩二さんに相談しなくていいかしら?!・・・

 自立した女は真梨子が目指していたもので、浩二もそうなれ!と応援してくれる。
 仕事の面では、凄く頑張っているつもりだったが、浩二との生活の中で浩二の強い干渉を受けたいと願う”浩二の女”を心から楽しむのとは、相容れない時がある。

『何でもかんでも、やっていいですか?って聞くな!お前は自分の為に良かれと思うことは自分で決めてやれ!駄目な時はしっかり叱ってやるから』
浩二にいつも言われている事を思い出した。

 ――はい わっかりましたよ〜だっ ビックリさせてあげますから
 真梨子は着替えながら、豊かになったバストを想像し、自然と笑みがこぼれてきた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊