真梨子
羽佐間 修:作

■ 第2章 体験エステ18

 浩二の声を聞けば、こんな淫らな迷いも吹き飛ぶと思うのだが、昨夜から浩二に、電話やメールで連絡を取ろうとしていたが、連絡がつかない。
 朝起きても返信はなかった。
 浩二が、会社の上場に向け、大変な忙しいスケジュールをこなし、昨夜も、役員会の後、投資会社やM&A関連の人達と逢う様なことを言っていたのだ。

 ゆっくりシャワーを浴びて、ドレッサーの前に座り、もう一度浩二の携帯に電話をしてみた。
 呼び出し音の後、留守電に切り替わる・・・
「ふぅ〜・・・」大きくため息をつく。

『おはようございます!真梨子です。毎日お疲れ様です 身体に気をつけてくださいね! 真梨子も頑張ってまぁ〜す! 愛しています!浩二さん ちゅ!』
 懸命に明るく留守電に録音メッセージをいれた。

 メイクを終え、髪をお気に入りのバレッタで留めた。
 バスローブを脱ぎ、素っ裸になり、裸を鏡に写す。

 ドレッサーの前に立ち、チェアに片膝を立てて、股間を鏡に向かって開いた。
 無毛の丘の下に少し口を開いた花弁を飾る浩二が付けてくれたシルバーのリングをじっとみつめた…

 おもむろに股間のピアスのリングを、指で強く左右に引くと、真ん中のボールが床に転がり、ピアスが開いた。

 いつも浩二を感じていたくて、片時も外さず、身に付けていたピアス・・・

 ピアスの先端のボールをネジって外す。
 ――浩二さんのピアスを痴漢に触られたくない・・・

 とうとう翔太という名前しか知らない青年の指定した”電車の中で20分間だけ牝”を承諾する証”バーベルピアス”だけをラビアに装着した姿になってしまった。

 ――あの子は、ホームで私を見つけた瞬間、このピアスに飾られたラビアを想像するんだわ…
電車の中で、真梨子のこのピアスに触れた瞬間、彼は真梨子が痴漢されることを望むマゾ女である事を確信することになるのだ・・・・

 真梨子は、浩二に命令されるからこそ、淫らな事で濡れて感じる身体なのだと思っていた。
 身も心も浩二に捧げ、浩二だけの従順な奴隷でいたいと心底思っていた。
 それなのに、この背徳感が、真梨子をゾクゾクさせ更に追い上げてゆく・・・・

 下着の一杯詰まったチェストの前に立った。
 もう大腿を伝うほど淫汁を垂らし始めているイヤらしいこの身体を綺麗に飾りたい・・・
 それだけが真梨子の頭を支配していた・・・
 昨日買ったばかりの、白いチュールレースのセットを手に取った。
 浩二に次に愛してもらう時、身を飾るつもりで買ったものだ。
 ハーフカップのブラジャーのカップに乳房を包むと、もうしこって尖った乳首が擦れ、快感が四肢に奔る・・・
「あん・・・」

 ガーターを腰に着け、透明に近い肌色のストッキングを着けた。
 新しい下着を汚さないように、秘部をウェットティッシュで拭い、足を通した。
 Tバックのショーツは、全面がレースでとても高級感があって好きなシルエットだ。

 セットになっているペチコートを付け、春らしい白いミディ丈のフレアスカートを穿いた。
 着替えるだけで、ドキドキして自分でももの凄く興奮しているのが判る。
 レモンイエローのブラウスのボタンを留める指先が、震えて止まらない・・・・

 いつもの出かける時間が来て、玄関に向かう。
 下駄箱からパンプスを出して、床に置いた。
 息遣いさえ荒くなる程、興奮している自分に戸惑っている真梨子・・・・

 少し震えながらパンプスに足を通した。

 危うい淫靡な行いをする背徳の意識のせいか、駅へ向かう真梨子の足取りは、いつもより足早だった。

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