真梨子
羽佐間 修:作

■ 第2章 目覚め19

「あっ、もうイヤ〜〜 いっちゃう〜! ああああああぁぁ・・・ だ、ダメ〜〜〜!死んじゃうぅぅ… 我慢できないぃぃあああ… 逝っくうぅぅ・・・」
 ガクガク身体を震えさせ、もう幾度目か分らないアクメが久美を呑み込んでいった。
 久美は気を失い、ガクッとうな垂れ、天井からの鎖に力なくぶら下り、ただゆらゆらと揺れていた…

「まぁ、派手な逝き様ね  少し休ませてから、皆さんの前で浣腸してから、アナルの開通式よ。いいわね星野!」
 雅が冷たい微笑を浮かべ星野に命じた。
「はい。承知しました」

   ◆
「でもさぁ、女ってのはわかんないもんですよね〜、マジで」
 秋山が、溜息交じりで皆の顔を見回しながら嘆いた。
「どうした?女性に振られでもしたのかな? 秋山君?」
 沢田が、何かいつもと雰囲気が違う秋山に問いかけた。

「あはは。 それに近いかも?!っすねぇ〜 実はね、憧れていた女性がとんでもない変態女だったんですよ〜! 分ります?このショック!?」
 真梨子は、背筋が凍る思いがした…
 ――な、なんなの・・・ 憧れていた女? 私の事・・・ 本当に今日見られてたんじゃ・・・

「我らが真梨子さん以外にも憧れてた女性がいたんだね」と吉野が聞いた。
「いやぁ〜、高校生の頃の話なんですけどね。 でもずっと忘れられずにいたんです」

「そっか。 俺も中学の時の教生の先生、未だに忘れられないなぁ。 でさ、その憧れの人が変態だったって話…  現場を目撃しちゃったんですか?」
 横田が身を乗り出して聞く。

「いえ 見たわけじゃないんですけどね。 友人の知り合いが彼女の友達でして、その人の話によると何でも露出狂というかあられもない格好をして表を歩き、虐められる事で性的快感を感じるような”マゾ女”になってしまっているって話なんですよ… どうも本当のようで、少し落ち込んでるんですよ」
「ま、マゾ女って?! SMのM?!」
 横田が大きな声で聞くので、隣の席の若い女たちが眉をひそめて真梨子たちの方を睨む。

「何でもね、付き合っている男の趣味で、陰毛を剃りあげて、その…性器にピアスまでしてるらしいんですよぉ…」
「凄いなぁ・・・ ホントにいるんだね、そんな女」
「ちょ、ちょっと! これ以上は、真梨子さんの前で言うのはセクハラになっちゃいますよ!!」
 真梨子を気遣って吉野が話を止めに入った。 

「あっ、ゴメン。 失礼しました。 まあ、要するに今の僕の気持ちを皆さんにわかって頂くには、僕たちの真梨子さんが、そんな女になっちゃった!って知らされたらきっと同じ気分なんじゃないかな?!」

 皆が、真梨子を見た。
「もぉ〜、秋山さん! 酔いすぎ〜〜」
真梨子は、頬を膨らませ少し嗜める口調で言ってみたが、秋山の顔を見る勇気も無く、グラスに手を伸ばしてワインを口に運んだ。
ワインを持つ手が少し震えていた。
 ――秋山さん… 私のこと、知ってる… やはりあの痴漢は秋山さん?!…

「さあ、皆さん、今日は少し酔っ払っちゃいましたね〜 そろそろお開きにしましょうか?!」
「あぁ、そうだね! 女性の前で少し不謹慎な話題でした! ゴメンね。羽佐間さん」
吉野の提案に、秋山が反応し、真梨子の肩に手を置いて非礼を謝った。
「い、いえ」

「ふん」
 二人の様子を注意深く見ていた横田は、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。
 ――こいつ、真梨子の事、何か知ってやがるな!

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