真梨子
羽佐間 修:作

■ 第3章 目覚め26

−シュミレーション−  6月16日(木)

 真梨子は、お昼休みにエステルームを訪れた。
 昨日、川上店長から桑野医師の脂肪吸引・豊胸手術、ボディピアスのチェックを受けるよう連絡があった。
 時間があれば陰部の2回目のレーザー脱毛の照射をしてあげると川上店長にいわれている。
 Half Moonで恥かしい姿を見られて以来、奈保子に会うのは3週間ぶりだ。
 恥ずかしい姿を見られた奈保子に会うのは、とても恥ずかしかったが仕方がない…

「こんにちは 川上店長」
「あら真梨子さん。いらっしゃい どうぞ、こちらへ」
「あのぉ、先日はありがとうございました すっかりご馳走になってしまって」
「いいえ どういたしまして。楽しんで貰えたのなら私も嬉しいわ 真梨子FanClubの番外会員としてはね」
「もう まだそんな事を、店長ったら」
「で、真梨子さん 気に入って頂けたのは、お食事のほう? それともバーの方かしら?」
「… ど、どちらも…です…」
「ほほほっ そう 良かったわ!」

「桑野先生、間もなくお見えになるからもう少し待ってくださいね。 あっ、その前に、いい物見せてあげるわ」

 デスクのパソコンを操作すると、真梨子の裸体画像が現れた。
「えっ!…」
「ほほ 大丈夫よ 実画像じゃないわ! CGよ」
 よくみると確かに真梨子そっくりのCG画像だった。
「え〜〜! 良く出来ていますね! 何だか恥かしいです」
「うふっ CGって言っても全部原寸通りだから、今の貴女の身体そのままのキャラクターよ」
「え〜!そうなんですかぁ〜 何だか恥かしい…」
「真梨子さん、よ〜く見ててね」

 画面右端の【シミュレーション】と書いたボタンをクリックすると、画面に立つ真梨子の画像のバストが少しずつ大きくなり、同時に太股とかふくらはぎが少し細くなったような気がした。

「続きを見てて」
 画像が回転し、横向きになり、バストが更に膨らみ、お尻が少しずつ全体に小さくなってヒップアップしている。
「店長!何なんですか、これ…」
「貴女のお尻と、足の無駄な脂肪を取って、バストに移動させたらこうなりますよっていうシミュレーション画像よ」
「ホントですか?…」
「ええ 貴女の脂肪の量を正確に量った結果よ。 バーチャルな世界だけど、施術後は、実際には、ほとんどこんな感じになるわよ ホラ!」

 画面の【dance】ボタンをクリックすると、画像の真梨子はBGMと共に激しくダンスを始めた。
 画面の真梨子の胸は、ブルン、ブルンと揺れ、身体の動きと反対方向に乳房が揺れている。
 まるでグラビアを飾るセクシーアイドルのようななまめかしい肢体のCGの真梨子が、画面のなかで裸で踊っている。
「うわぁ… 凄い…」
 思わず驚きの声が洩れ、まるで自分が裸で踊っているようで恥かしさが込み上げてきた。

「この身体を手に入れるのは、貴女が高倉のプロジェクトに携わってるうちよ。 真梨子さん、エステメニューはほとんど受けちゃったでしょ!? 木島常務、ああ見えて結構、締まり屋サンだからいつまでもって訳にはいかないと思うわよ」
「そうですね。 ホントに店長はじめ、スタッフの方々には良くして頂いて感謝しています。 ご好意に凄く甘えてますよねえ」
「お金の事を言ってるんじゃないのよ。 貴女には何かしら色々してあげたくなっちゃう魅力があるの! 今のうちよ。 トコトン甘えて欲しいわ!真梨子さん」
「はい。 ありがとうございます。 考えさせてください」

「あっ、先生がお見えになったわ」

   ◆
 桑野医師の診察の結果、『普通の生活をしていいですよ』とお墨付きを貰った。
 奈保子に『普通の生活ですって。 ウフフ』と茶化されて、真梨子は顔が赤くなってしまった。
 前回のように桑野医師の診察を受けている時から真梨子の秘部は、淫蜜をあふれさせていた。
 そして、翔太に貰ったピアスを切り取って貰いたいとお願いすると、柄の長い大きなプライヤーを持って桑野医師が股間を覗きこんだ。
 工具の先端部分がラビアに触れ、金属の冷たい感触が恐怖と共に真梨子を襲う。
 身を固くして構えていたが、あっと言う間に、はずれなかった翔太のピアスが、漸く真梨子のラビアから離れた。
――よかったぁ〜

 診察が終り、続けて奈保子にレーザー脱毛を受けた。
 大股を開いて股間を晒し、レーザーを照射されていると、以前にも増して愛液を溢れさせてしまい、奈保子にクスクス笑われてしまった。
 脱毛が終わり、恥ずかしくて逃げるようにエステルームを出たところで、真梨子の携帯が鳴った。
 アメリカに出張中の浩二からの久しぶりに電話だった。
 声を聞いただけで、嬉しくって涙が滲んでくる。
 浩二は、かねてより生体認証の技術提携を持ちかけていたシアトルの企業を先週の初めから訪れていた。
『元気なの?』『何時帰るの?』『お仕事は順調ですか?』『たくさんお酒は飲まないで!』と次から次へ矢継ぎ早に浩二に質問や注意を浴びせる。
 浩二は苦笑しながら、一つ一つ丁寧に真梨子に応えてやった。
 浩二の帰国は、早くて2週間後になるらしく、日本に戻ったからといってお互い忙しく直ぐに会えるかどうか分からないのだが、まだ暫く海外にいる浩二とのはるかな距離を思い、寂しい気持ちが真梨子を包んだ。

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