真梨子
羽佐間 修:作

■ 第4章 淫・由梨5

−肉芽の飾り−  6月17日(金)

 真梨子は6時きっかりに、神戸に帰省するといってプロジェクトルームを後にした。
 スタッフがまだ働いている同じビルの中で、エステルームで裸になって横たわるのは少し気が引ける。
 今日は、2度目の脂肪吸引・豊胸手術だ。尻と、大腿を中心に脂肪吸引する。
 全身に塗られた消毒液の匂いが鼻をつく。

 真梨子にとって豊かなCカップのバストで過ごす日々も1ヶ月が経ち、ようやくその身体に真梨子は慣れてきたように思う。
 最初の頃は、体型にルーズな服を着る事がほとんどだから、そんなに目立つはずはないの だが、誰も彼もが真梨子のバストを注視しているようで気になって仕方がなかった。
 本当は、このバストをひけらかしたい誘惑に駆られるのだが、田舎で時代錯誤と言えるほど厳格に育てられた真梨子にはできなかった。
 一番このバストを愛(め)でて慈しんでくれるはずの浩二はシアトルに出張中で見てもらう事は出来ない。
 奈保子に連れられていったHalf Moonで”由梨”としてこの素敵なバストを多くの見知らぬ男の目に晒した時のゾクゾクとした怪しい快感は、思い出すだけで秘奥がジュンと潤ってしまう程だった。
 しかし先週の休日に、その胸を誇示するような小さな冒険をしたことがあった。
 近所のスーパーに買い物行く時、ブラジャーを付けずにタンクトップを着てGジャンを羽織り、デニムのミニスカートを合わせて出かけた。
 通りを歩いていても、お店の中でも、支えのないバストは微妙に揺れ、確かに男の視線を感じ、羨望の眼差しを送る同性の目も心地よい刺激を真梨子に感じさせた。
 マンションに戻ったときには、ショーツはぐっしょりと蜜を吸っていた。
――今日からもっと素敵な身体になれるんだわ…

 真梨子は、手術前に奈保子にもう一度、CGシュミレーションを見せられた。
 術前の不安な気持ちが和らぐわよと言うのだ。
「あぁぁ・・・ これは?・・・」
 画面では、術後に想定される魅惑的なプロポーションになった全裸の真梨子のCGが、軽快なBGMに乗って踊っている。
 以前と違うのは、股間の前面にキラリと光るジュエリーピアスが身体の動きにあわせて揺れている事だ。
「あっ、これ? 貴女がいつかはやってみたいって言ってたでしょ?! クリ○リスに付けるとこんな感じになるってシュミレーションよ。 付いている箇所もあなたの身体に忠実よ どう? 凄く可愛いでしょ!? 」
「え、ええ・・・」
――とても綺麗でいやらしいわ・・・ 欲しい・・・ 浩二さん、凄く悦んでくれるわ! ずっと付けたいって言ってたもの…

「ご希望なら、今日でも出来ますよ。 寝てる間に済んじゃうわ。痛みも恐怖もなしにね ビッグチャンスよ! 真梨子さん」
 じっとモニターに見入っている真梨子に奈保子が言った。
「・・・・・・」
「その気になったら、眠っちゃう前に先生に言って下さいね。 さっ、準備しましょう」
 奈保子に促されて、施術台に横になると、同時にドアを開けて桑野医師がやってきた。

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