真梨子
羽佐間 修:作

■ 第4章 淫・由梨12

「あら 真梨子さん 逝っちゃったの?」
 足の甲は反り返り、ビクビク身体が震えている。

「・・・・・・・・・」
 痙攣がおさまり肩で息をする真梨子の亀裂から、トロリと粘質の愛液が滴り、シーツにまで届いた。
「羨ましいほど、敏感になっちゃったわね、真梨子さん」
「・・・・・・はい」
 信頼する医師と友人の前で逝ってしまう恥ずかしい姿を見られ、呆然と横たわっている。

「羽佐間さん、引きつるような箇所はありませんね!?」
「ええ… 大丈夫です!」
「あっ、ぅぁ…」
 桑野が、ラビアを捲りながら覗き込み、そして手袋を外しながら言った。

「ハイ!こちらもOKです。 問題ありません。 縫った箇所も万全です。 もう普通の生活をしていただいても大丈夫ですよ」

「…あっ、あの… そ、そうですか… ありがとうございました。先生」
――やっぱり言えない… 敏感になったのはピアスを開けたせいだとすればどうしようもない事だし…
 感じすぎるクリ○リスについて相談しようと思っていたのだが、恥ずかしい姿を見られた直後だからか、どうしてもいえなかった。
 真梨子が晒した醜態には一言も触れず、桑野が診察室を出て行った。

「これでこの無粋なコルセットも要らないわね。 それにこのリングも素敵なものに換えないとね!」
 さっきまで真梨子が身に付けていたスパッツを指に摘んだ奈保子が、診察台から身を起こした真梨子に言った。
「ええ…」

「本当に素敵な身体になったわね! おめでとう!真梨子さん。 羨ましいわ」
「はい! ありがとうございました」

「ねっ、真梨子さん。 自慢しに行こっか!?」
「・・・・・・?」
「一週間ぶりかな? Half Moonに連れて行ってあげましょうか?! 由梨ちゃん」

「それは・・・ あの… 」
 真梨子は黙りこくってしまった。

「そっか。 私が一緒だと楽しみにくいわよねぇ」
「そ、そんな事…」
 奈保子が一緒だとかが問題ではない。 
こんな状態であの怪しい環境に身を置けばどんな醜態を晒すのか恐ろしい気がするのだ。
「うふふいいのよ。 そりゃそうよね。判るわ。真梨子さんの気持ち! これ以上友達の私には見られたくないわよねぇ」
「い、いえ… そんなんじゃないです…」
「わかった! 雅ママに電話しておいてあげるわ。 楽しんでいらっしゃいな」
 にやにやする奈保子は、じっと真梨子を見詰めている。
 診察中に逝ってしまうところを見られてしまった奈保子には、何か逆らえない・・・

「はい・・・」
「そっ。 じゃ出かける前に奥のシャワールームを使っていらっしゃい。 久しぶりにお湯でしっかり洗いたいでしょ!?」
「はい・・・」
「貴女、綺麗にしないと間近で見られたり、匂われたりするの、恥かしいでしょ!?」

「・・・はい・・・」
   ◆

「いらっしゃい! 真梨子さん 奈保子さんから電話いただいています」
「こんばんは。 雅ママ」
「さぁ、今日は真梨子さん? それとも由梨? うふっ」
「・・・・・・」
「今日も由梨ちゃんで手伝ってくれますよねぇ〜」
「・・・はい・・・」

「そっ。 じゃ着替えましょうか!」
「…はい」

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