真梨子
羽佐間 修:作

■ 第4章 淫・由梨17

−百合の交わり−  6月29日(水)

「星野。 真梨子は、生理期間が短いな。 もう終わったのか?」
 真梨子の部屋に仕掛けた隠しカメラの映像を見ながら横田が聞いた。
 モニターに映る真梨子は、シャワーの後Tバックだけを穿いてドレッサーの前で楽しそうに身支度をしている。
「ええ。 真梨子は大体4、5日で終わっちゃうみたいですね。 生理から開放されたとたん、昨夜もメイド服を着て自分で股縄をしてオナッてました。 可愛かったですよ。 ズル剥けのクリ○リスが随分堪えているようでね。 横田さん、見てみます?」
「ああ。 見せてみろよ」

 画面に真梨子がリビングで汗だくになって自慰に耽る映像が流れた。
「あっはは。 Half Moonで自分がされた事を思い出してるのか?!」
「そうみたいですよ」
 モニターに映る真梨子は、足を大きく拡げ両手を頭の上に上げ、拘束されていた体勢を模しているのだろう。
 切なそうな表情を浮かべ、腰をよじって股間に縄を喰いこませて喘いでいる。
「自分で縄で縛るのって、以前近藤さんがチャットで教えたんですってね」
「ああ 旦那公認でな。 これだけさかりがついてるなら今夜あたり、店に誘ってやるか!?
まだまだ人前で淫乱になるのに自分を納得させる理由が必要な面倒くさい牝犬だからな。 それと梶のおっさんも呼んでおけ!」

   ◆
 太陽が沈みかけた7時頃、突然梶部長が高倉のプロジェクト室に現れた。
 秋山も久美も外出中で、真梨子ひとりきりだった。
「ごくろうさん。一人か?」
 梶は、真梨子の肩に手を置き、上から胸元を覗き込むようにして話しかけてきた。

「プロジェクトは、いい感じで進んでいるな!」
「はい ありがとうございます」
「どうだ、一人暮らしは? 新婚の旦那さんと離れてもう3ヶ月だから、寂しくて仕方がないだろう? 真梨子君!」
「いいえ 電話も、メールもありますから。 それに健康管理に口うるさい私がいないから、主人も羽を伸ばしてると思いますよ」
「そうかぁ!? 俺だったら、君みたいに若くて綺麗な奥さんなら、毎日でも可愛がってやりたいところだがなぁ! 君も早く関西に帰りたいだろう?! おっと、こりゃセクハラかな?! あはは」
「… 寂しいのは寂しいですけど… 後3ヶ月ですから。 あっと言う間です」

「ところで、君はいつも良い匂いがするなぁ! なんていう香水を使ってるんだね? きっと高級品なんだろうねぇ」
 梶は真梨子のうなじに顔を寄せ、クンクン匂いを嗅ぐ仕草をする。
―いやぁ… 何、この人…
 おぞ気が立つ程の嫌悪感を感じ怒りを覚えた。
「…はい?」
「いや〜なんだぁ、そのぉー、たまには妻にプレゼントでもしてやろうかなぁと思ってね。 君のいい香りを思い出して同じものを買ってやろうかと思ってるんだよ」
「そうですか… それは奥様孝行ですね; でも残念ですけど、私の使っているのは市販されていないんですよ。 主人のプレゼントでオリジナル調合で作って頂いたものだそうです」
「ほぉ!自分の女、専用の匂いかぁ!君のご主人は、やることが洒落てるなぁ」
「ええ、まあ…」
「そうかぁ、君だけのオリジナルの匂いなのかぁ。 じゃ仕方がないなあ」
「ええ…」
「それにしてもここのところの真梨子君は、急に随分色っぽくなった感じがするぞ! 東京で彼氏でも出来たか? うん? あっ、これもセクハラか? あはは 失敬、失敬!」
 真梨子の肩をポンポン叩きながらからかう様に軽口を叩く。
 真梨子は苦笑するしかなかった。
「どうだ、たまには飯でも一緒にどうだ? ご馳走するよ」
 立ち去る気配もなく更に真梨子にまとわりついてくる。
「いえ、折角ですが… 秋山さんが戻って来られてから週末に提出するプロジェクトの中間レポートの打ち合わせをしないといけないので今日はごめんなさい。 また今度誘ってください、部長」
「そうかあ。 レポートは明後日だったな。 そりゃ仕方がないな。じゃまた今度にしよう」
「ええ」
「じゃ、僕は失敬するよ。 頑張ってくれたまえ」
「お疲れ様でした」
――相変わらずだわ… ふぅ〜。 どうして吉峰支社長は、あんな飲み歩いてばかりのセクハラ親父の梶さんを重用し続けるのかしら…  決して仕事が飛び抜けて出来るって人じゃないのに… 吉峰支社長には言った方がいいのかなぁ… でも浩二さんのお友達だから、ちょっと言い辛いなぁ…

   ◆

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