真梨子
羽佐間 修:作

■ 第4章 淫・由梨19

 9時過ぎにオフィスを出た真梨子をつける影…
 コンビニで買った缶ビールを飲みながら、2時間もビルの影で真梨子が出てくるのを待っていた梶だった。
 
 感覚を保ちながら駅に向かう真梨子を 尾行 ( つけ ) る。
真梨子が乗った千代田線の隣の車両に、見つからないように細心の注意を払って梶も乗った。
 幼い頃の探偵ゴッコのようで、ワクワクしている自分に気付き苦笑してしまう。
――正義の味方の探偵じゃなく、部下の淫らなネタを興味本位で付け狙おうとする悪徳興信所ってところだな
 悪い事だからこそ楽しいんだと梶は思っている。
――さぁ、次は乃木坂だぞ!真梨子、降りろ!
 果たして梶が念じた通り、真梨子は乃木坂で降り1番出口から地上に出た。
 進む方向にはHalf Moonの入る戸山ビルがある。
――クックックッ 真っ直ぐ行け〜!
 とうとう真梨子は戸山ビルのエレベーターに消えた。
 エレベーターが止まったフロアを確認し、小躍りしながらエレベーターの上昇ボタンをせわしく押し続ける梶に声をかける者がいた。
「牝犬のプライバシーは詮索しないってお約束でしょ! まぁ、お気付きになられたのでしたら仕方がありませんですね」

   ◆
「衣装はこれでいいわね!」
 渡されたものは、皮製のカップのない輪郭だけの乳枷と、これも輪郭だけの股間部分が何もない皮製のパンティだった。
 雅にきつく留められ、搾り出された乳房は、いやらしく歪な形で飛び出していた。
 そして両乳首にチェーンに繋がったクリップが挟まれ、乳房の間にアーチを描いた。

「あの…この格好で、今日はどうされるんですか? ママ…」
 先日と同じように、天井から吊るされるとしたら、陰部はすべてさらす事になってしまう。
「貴女は、レズッた事ある?」
「レ、レズですか?…」
「ええ。 女性とよ」
「い、いいえ… ありません」
「そう! 凄い変態ちゃんなのに案外ネンネちゃんねぇ」
「……」
「今日は、女の子同士で楽しませてあげるわ」
「そんな…」
「ほほほっ 女性同士ならご主人に対する裏切りにはならないでしょ! だってチンチンが付いてないんですもの」
「で、でも…」
「良いものよ。 レズもね。 だってお互い急所は分かり過ぎるほど分かっているもの。  いつも見られているだけの貴女って可哀想だものぉ。 見てて辛くなっちゃうわ。 触って挿れて欲しそうに腰が怪しく蠢いて… いいでしょ?! 女の子になら触ってもらっても」
「よ、よくわかりません…」
「ふふっ 経験した事がないからドキドキ出来るのよ。 その子はね、普段はゴールドチェーンのマゾ奴隷なんだけど、その子のお勉強の為にも一度責める方をやらせてみたかったの。 協力して頂戴!」
「……」
「いいわね!由梨」
「…はい。 わかりました」
「今日は貴女が嫌いな口枷は、勘弁してあげるわね」
「は、はい…

   ◆
 口の箇所だけが開いた黒い全頭マスクを被せられ、フロアに引き出された。
 雅に手を引かれ、ステージに上がる。
 客席から『由梨ちゃ〜ん!』と声がかかり拍手も起きた。
「じゃ、よろしくね。しっかり楽しませてあげてね」
 雅が、真梨子の右手をステージの上で待っていたらしい女に渡した。
――女性の手だわ…
 真梨子に触れた手は、華奢で冷たく少し恐怖心が薄れた。
 無言のまま、ステージの中央の壁面に連れて行かれ大の字に、身体を皮製のカフで貼り付けられて行く。

――あの赤い貼り付け台だわ…あああああぁぁぁ 恥ずかしい… 顔は隠れているけど、乳房も股間もすべて見られながら、女性に嬲られるのを多くの男に見られてしまう… 

 何度かその貼り付け台で女達が、いたぶられているのを真梨子は見た事があった。
 もう既に充血したラビアは花開き、夥しい淫汁が媚肉から湧き出して大腿へ伝い流れていた。

「はうっ、ああああああああああぁぁぁぁ…」
 鎖骨に女の指がゆっくり這う。
 首筋にやわらかい唇が押し当てられチロチロと舌先でうなじを愛撫してきた。
「ああん  うむぅぅ、ぁああぁぁぁぁ…」
 身体に電流が走り、ビクンと身体が跳ねた。
――気持ちいい! なんて優しい愛撫なの…
 声が押さえられない。
 苦しくても口枷をして貰っていれば、恥かしい声を漏らさずに済んだのにと後悔していた。

   ◆

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊