真梨子
羽佐間 修:作

■ 第4章 淫・由梨28

 気がつけば、控え室でバスタオルを肩から掛けられただけの裸で雅の腕に抱かれていた。
「真梨子さん。 気持ちよかったのね。 失神しちゃうなんて」
「……」
 壁にかかった時計を見ると12:30をまわっていた。
 下半身に目を移すと、まだ南京錠がそのまま付いたままだった。

「ママ… 私、帰らなくっちゃ… お世話になりました」
 裸であることより、オナニーをして失禁してしまったがことさら恥ずかしく、この鍵を取り去り、一刻でも早くこの場を立ち去りたかった。
「それがねぇ、真梨子さん。 星野君たら、貴女のココの鍵を置き忘れて、さっきのVIPルームのお客様のお供で遊びにいっちゃったのよ…」
「えっ…」
「貴女が意識を失っている間に身体のお手入れもしてあげようと思ったんだけど、鍵がないのに気付いて彼の携帯を鳴らしたらお店に置き忘れて出かけてるのよ」
「よ、予備の鍵ってないんですか?」
「さぁ… あの子が用意した鍵だから…」
「行き先に心当たりはないんですか?」
「心当たりは電話してみたんだけど、どこに行っているんだか… 」
「こ、困ります…」
「そうよねぇ… 心当たりには星野が行ったら直ぐに電話するように言ってあるから… 後は彼からの連絡を待つしか方法がないわ。 ごめんなさい、真梨子さん」
 雅に文句を言っても仕方がない…
――すべてあの星野ってチーフが悪い… 

「ママ… これって切り取る事、出来ませんか?」
「そうねぇ… 工具もないし… 無理して貴女のここを傷つけるのは怖いし…」
「もう、星野は今夜はお店には戻らないはずなの… 真梨子さん、一度おうちに戻って眠ったほうがいいんじゃない?! 待ってても仕方がないわ… 貴女、明日は重要なお仕事があるんでしょ?!」
「え、ええ… でも…」
「連絡がつけば直ぐに連絡するから」
「…そうですね・・・ 何時でもいいので連絡頂けますか?!」
「そうね。 そんな物、挿れたままお仕事なんてできないものね! ごめんなさいね。真梨子さん」
「いいえ…」
「で、連絡ついたら星野君に何処に届けさせたらいいの?!」
「い、いいえ… 取りに伺います!」
「そうよねぇ。 お仕事先に届けられても困るわね。 わかったわ」
「それじゃ、お世話になりました… よろしくお願いします、ママ」
「ええ ありがとう、真梨子さん」
「じゃ、失礼します」
「ああ、真梨子さん。 これ、必要かどうかわからないけど持ってて」
 小さな黒いプラスチックの箱を手渡した。
「……?」
「貴女の中に入ってるバイブのコントローラーよ」
「……」
「星野が早いうちに捕まらなかったら、貴女一晩中オマ○コにバイブを飲み込んだまま眠らなくっちゃいけなくなるもの… ひょっとして辛くなった時の為にね」
「そんな… 要りません…」
「そう?!」
突然バイブが振動を始めた。
「うあっ マ、ママ…」
「うふっ ごめん ね! あってもいいでしょ。 辛い時の為にね」
「え、ええ…」
「それとね、このタイプは無線式だから長距離トラックなんかの違法無線の強力な電波で誤作動しちゃうことがあるらしいから、気を付けてね」
「そんなぁ…」
「ほほほっ 気を付けようもないわね。 もっとも貴女ならそれさえもドキドキできる材料になるのかしら?!」
「……」
「さあ、着替えてお家に帰りましょう」
 雅が真梨子の首に手を回し、チョーカーを外した。
「真梨子さん 最後のプレゼントのつもりで貴女にささやかな嘘をついてたのよ。 貴女が付けていたチョーカーの色、赤じゃなくて黒だったのよ  ごめんなさいね!」
「えっ……」
手渡されたチョーカーは黒い革紐で、真梨子の汗で濡れていた。

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