真梨子
羽佐間 修:作

■ 第5章 オフィス・嬲1

−会議− 7月1日(金)

 少しまどろんだ程度でほとんど眠れないまま朝を迎えた。
 待っていた雅からの電話が入ったのは7時を少し過ぎていた。
 携帯が鳴り、弾ける様に飛び起きた。

(真梨子さん、ごめんなさい。 まだ星野君捉まらないのよ。 彼のマンションにも行ってみたんだけど、戻ってないようなの… 多分どこかで酔い潰れているんだと思うんだけど…)
「そんな…」
(ごめんなさいね。 連絡が有り次第、電話させるから」
「え、ええ… どうか10時までにお願いします… ママ…」
 雅からの電話は最悪の結果を伝えた。

――本当にこのまま出社するの・・・
 ドレッサーに映る自分に問いかける。
 今日の会議では、真梨子の報告が重要な役割を持ち、絶対に休むわけにはいかない。
――バイブを挿れたまま、出勤して会議にでるなんて・・・ そんなこと出来るわけがないわ・・・
 股間に張り付くショーツには、正面からでもはっきりと分かる染みが拡がっていた。
 滅入る気持ちを奮い立たせ、とにかく身支度を始めようとバスルームに向った。
 ショーツを取ると、鍵の重さにクリ○リスが下に引張られ、無情にも淫らな快感が身体を奔る。
 鏡に映る股間には、クリトリスを頂点に4つのシルバーの南京錠が縦に連なって股間で鈍い光を放っていた。

   ◆
 オフィスへ向う通い慣れた道、足を進めるたびに股間のバイブが真梨子を悩ませる…
 歩みに合わせて動く内転筋が、膣内でバイブを微妙にずらして膣奥から快感がせりあがってくる。
 真梨子は愛液でショーツを濡らしてしまう事を考え、フルバックショーツにパンティライナーを付けて出かけていたが、淫蜜が止め処なく湧き出している感覚に不安を覚えながらオフィスへの道を急いだ。
 大型トラックが道路を唸りをあげて通過すると、思わず身がすくみ身構えてしまう…
『トラックの違法無線で誤作動するかも…』 雅の言葉が頭に浮かんだ。
 ようやく高倉ビルに着き、プロジェクトルームに行く前にトイレで新しいライナーに取り替えてから出勤した。

   ◆
 壁時計は9:55をさしている。
 間もなく会議が始まる時間だ。
 やきもきしながら待った雅からの連絡は、ついに来なかった。
 各席にレジュメを配り終え、会議は出席者が揃うのを待つばかりだ。
 何とかこの大事な会議を滞りなく終えたいと祈る思いで真梨子は席についていた。

 別の部屋で打ち合わせをしていた梶と秋山が会議室に入って来て、出席予定者が全員揃う。
「始めようか」
 梶の発声で会議は始まった。

 秋山のプロジェクト全体の進行状況の説明からスタートしたのだが、何かいつもの秋山と様子が違うように感じた。
 声が沈んだ感じで、自信に満ちたいつもの雰囲気が感じられないのだが、それよりも真梨子は自分の身体の秘密が気掛かりだった。
 秋山の全体の説明が終わり、真梨子の担当する新システム投入後の市場調査報告の順番になり、前に進み出てプロジェクターから映し出される映像にペンライトを当てながら説明を始めた。

――くくくっ 塞がれたオマ○コにバイブを呑み込んでいるくせに、何を澄ましてやがる
 何食わぬ顔で会議に出席し、『高倉ビューティを改革し、更なる発展を遂げる為には…』としたり顔で説明をする真梨子が、梶には可笑しくて仕方がなかった。
昨夜の真梨子の乱れっぷりを思い浮かべ、虐めたくて仕方がない。

 ポケットに忍ばせる雅に託されたバイブのリモコンを右手で弄びながら、自然と笑みがこぼれるのを禁じえない。
 雅からは『あまり調子に乗っちゃダメよ。 ちゃんと仕事もさせてあげてね。 貴方だって困るんでしょう?! 大事な会議が台無しになったりしたら。 あの子、ドキドキさせてあげてね! 決して無茶はしないように』と釘を刺されリモコンを渡されていた。

 真梨子が、Half Moonの由梨だと気付いた時は、真梨子を陵辱する場面を想像し、湧き立つ思いがしていた。
 しかし真梨子に向けられている黒い大きな力の存在を知った時は、少々怖気づいた梶だった。
 今は、真梨子を狙うその組織の一翼を担って、真梨子を堕とす事に嬉々として協力している。
 梶にはそんな裏組織を詮索する気はまったく無く、一度でも真梨子を抱ければ良いし、この魅惑的な女が堕ちる様をつぶさに見る事が唯一の関心事になっていた。

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