真梨子
羽佐間 修:作

■ 第5章 オフィス・嬲6

 バスルームを出て、ワインを抜いた。
 浩二がお気に入りの銘柄で、浩二がマンションを訪ねてくれた時を想定して買っていたものだ。

「ふぅ〜 美味しい」
――あっ!
 DVDのデッキに雅から貰った物が入ったままだったのを思い出した。
 貰った日にほんの10秒ほど見ただけで、胸がドキドキして思わず再生を止めた。
 少し気にはなったが、もう卒業したんだからと見ないままでいた。

 再生ボタンを押した。
 アイマスクをして、シルバーのウィッグをかぶり、赤いボンデージを身に包んだ女がカウンター席に恥ずかしそうに座っている。
 5月の末に奈保子店長に始めてhalf moonに連れて行かれた時の真梨子の映像だった。
 隣に座る奈保子の顔がはっきりと分かった。
 画面が切り替わり、メイド服を着た真梨子が、客席を回りお酒のサービスをしている画像だ。
 固定カメラの映像で、会員に対する秘密保持の担保として撮られているため、男性にフォーカスを当てて編集されているようだ。
 乳房を露に乳首からはチェーンがぶら下がり、お辞儀をすると下着を付けていない白いお尻をお客の目に晒す真梨子の姿ははっきりと映されていた。
「あああぁぁぁ こんな恥ずかしいことを、わたし…」
 思わず乳房を握り締め、ショーツの中に手が伸びる。
 もう真梨子の淫孔は熱い淫汁をおびただしく溢れさせていた。
 再び画面が切り替わり、ステージでライトに浮かぶ真梨子が映し出された。
 黒いシリコンテープで顔を巻かれ、口には赤いボールギャグを咥えて天井から吊るされた身体をいやらしくくねらせていた。
 記憶が蘇り、身体の奥が更に熱くなる。
 画面では、雅にブラジャーとショーツが剥ぎ取られ、素っ裸の真梨子にたくさんの男たちが群がってきて匂いを嗅ぎまわっている。
――こ、こんな恥ずかしいことを… 

 やがて一人の男が真梨子の大きく開かれた足の下に横たわり、真梨子の股間から流れ落ちる淫汁を口を大きく開いて受け止めようとしている映像が続く。
 手を吊り上げる滑車が緩められ、身体を支えきれない真梨子の身体が沈んでいき、寝そべった男の口に秘部が触れそうな位置にまで真梨子の腰が落ちていった。
――やだぁ… 恥ずかしい…
 自分がどれほど非常識で危ういことをしていたのか、映像を見ると恐ろしくなってきた。
 この時を思い出し、剥き出しの淫芽を摩る手がせわしなく動く。
「ああああぁぁぁん…」
 腰が浮き、艶かしく揺れる。
 淫らな自分の姿を見て眩暈がしそうだ。

 カメラが切り替わり、天井に仕掛けられているカメラのカットに切り替わった。

「ひっ! いやああああああああ… そ、そんな… そんな… うそ… いやああああぁぁぁ…」

 画像は、真梨子の股間で横になり、滴り落ちる淫汁を美味しそうに舐め取り下卑た笑いを浮かべる男の顔がズームアップされた。
 その男は、梶部長だった…

 顔を覆い、ぶるぶる震える真梨子は信じられない思いでその映像を再び見つめ、そしてデッキの停止ボタンを押した。
 頬にこぼれた真梨子の淫汁を、舌を伸ばして舐める梶の異様に赤い舌が、真梨子の脳裏に焼きついた。


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