真梨子
羽佐間 修:作

■ 第5章 オフィス・嬲14

「羽佐間!立て!」
――だ、ダメ… ハザマって呼ばないでぇ…
 梶に腕を支えられ、よろよろと立ち上がった。
「梶部長… もう、こんなこと…止めて下さい…」
「いいぞ、止めてやっても。 社長夫人様」
――ああ 酷い…

「そうだ。 もう一つ進呈するものがある。 新しい社員証だ。 今からはコレを使いなさい」
 首からぶら下げていたパスケースと取り替えられた。
「裏と表を間違えたらダメだぞ!あははっ」 
「こ、これは…」

 渡された入室IDカードを兼ねた社員証の裏面には赤い文字で”牝奴隷 真梨子”と書かれ、 昨日梶の膝の上でオ○ニーをする真梨子の写真が貼り付けてあった。
 しかも顔も、指が挿入された性器までもはっきり写っていた。

「そんな… ひどい…」
――星野君… あの人、酷い…こんな写真を撮られていたなんて…
「何がだ? ひどいのは、就業時間中にこんなにベチャベチャに濡らして発情している淫乱なお前がだろ!?  私は惨めな上司だよなあ! お前みたいな変態女を部下に持ってな。 そうだろ?」

「は、はい…」

「さあ、身だしなみだ。 腕を挙げろ!」
梶はおずおずと腕を上げ露になった真梨子の腋に、指についた真梨子の愛液を塗りつけてきた。
―うそ… そんな恥ずかしいこと…
 何度も股間に指を差込み、淫汁を掬い取るようにして腋へ擦り付ける。
 そしてうなじにも同じことを繰り返した。

「ぶ、部長… 勘弁してください… お願いです…」
「ふん。 これこそ世の中に一つしかないお前だけのオリジナル・のコロンだ」
「そんな…」
「拭き取ったりしたら… わかってるな!」

「…はい」
「俺が来た時は、俺がつけてやるよ! 嬉しいか?」
「は、はい… 嬉しいです…」
「ふふ。 そうか」
「俺がいない時は、自分でつけるんだぞ!」
「は、はい…」
「その度にお前の臭いオマ○コ汁でこんなに手が汚れるのは堪らんなあ。 どうしてくれるんだ、真梨子」
 少し白濁した見るからに粘った真梨子の愛液で濡れた梶の右手が真梨子の鼻先に突きつけられた。
―ああぁぁ いやぁ〜〜

「お前のオマ○コの汚い汁! 綺麗にしてくれ!」
 指を大きく開き、真梨子の前に手をかざした。

 みるみる涙が噴出し、『ああああああっ』と泣き叫んだ真梨子が梶の手を強く握り締めた。
 そして口を開き、梶の指を唇で含んだ。
 次から次へと頬を涙が伝う。

「早くしないと、秋山達が戻ってくるぞ。 いいのか?淫乱女」
――ああぁぁ ごめんなさい… 浩二さん
 梶の指に付着した自分の愛液を1本ずつ、丁寧しゃぶりとった。
「ふふっ。 舌を下品に、だらしなく見せながら心を込めて愛しそうに舐めてみろ!」

 赤い可憐な舌をこれでもかと差し出し、大嫌いな男が差し出した己が分泌物が付着した指を愛撫するように舐める。
 梶に早く満足させて早くこの場を繕うために、愛しい人に心の底から健気に尽くしている様を自らに課し、懸命に舐めた。
 身に起こる信じられない出来事に、真梨子は頭に霞がかかった様でとても現実のことと思えないまま、その行為に没頭した。
 梶の指をしゃぶる姿は、愛しい浩二の逞しい芯を愛撫する姿ときっと似ているのだろう…
 頭の中のもう一人の真梨子が軽蔑して今の自分を眺めていた。

 指を1本、1本舐めあげる仕草に何故かしら本当に私は愛しく思っているんじゃないかしらと空恐ろしくなってきた。

――うそ… うそ… そんな… うそ〜〜〜 ありえない… 大嫌いな梶部長なのに…
 ドッと淫汁が身体の奥で噴出したのだ。
(私… どうなっちゃうの? 本当に淫乱なの?!)

   ◆
 梶が部屋を出て行って間もなく秋山達が戻ってきた。
「お帰りなさい。 お疲れ様です」

「真梨子さん?! 身体の具合でも悪いんですか? それとも何か心配事でも…」
 平静を装っているつもりなのだが、やはりどこかに蔭があるのか、久美が心配して声をかけてきた。
 思わず脇を絞め身体が後ずさりしてしまう。
――久美ちゃん! 近寄らないで!
「ううん。何も… ちょっと貧血気味かな?! 昨夜、凄く暑かったでしょ!あまり眠れなくって…  大丈夫よ。 心配しないで」
「そうですかぁ… 何か初めて見ますよ、そんな暗い表情の真梨子さん・・・」
「えっ、そう?! どうしてでしょ。  ホントに何もないわ。 ありがとう」

 朝まで考えに考えて、9月まで辛抱するしかないと決めたのに、現実に梶にいたぶられると悩んでしまう。
(奈保子店長に相談するか…)
(雅ママに打ち明けるか…)  
(浩二に正直に言うか…)
 苦悩の堂々巡りがまた始まった…
――絶対に浩二には棄てられたくない! 妻である自分の不始末で浩二の社会的な地位に迷惑を掛けたくない… それも浩二に知られずに…
 幾ら考えても結局、元の通り梶の9月迄という言葉を信じ、それまで自分が辛抱するしかない、真梨子にはそれしか思いつかなかった。

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