真梨子
羽佐間 修:作

■ 第5章 オフィス・嬲19

 ビニール袋からピンクのローターを取り出した。
――コントローラーがないわ… ひょっとしたらまたリモコン?
『大好物でしょ、真梨子タン  ゴックンしてごらん  くくくっ』
 意を決して卵型の凶器を濡れた花園に押しあて、呑みこませていった。
「うぁ……」
『気持ち、いいかい?!真梨子ちゃん 』
「はい…」
『さあ、おむちゅを穿きましょうねぇ〜 』
涙を滲ませながら新しい紙おむつを着けた。
『さあ、とっとと仕事に取り掛かれ! お漏らし淫乱メス犬の真梨子!』
「はい…」
 後2ヶ月、真梨子は誰にも露見しないで過ごせるのか心細くて涙がこみ上げてきた。
 その時、真梨子の携帯が鳴った。見てみると実家からの電話だ。
『どこからだ?』
「実家からです…」
『出ろ!』

「はい。 真梨子です」
(もしもし、真梨子?! 今、いいかしら?)
「お母さん! い、いいわよ。どうしたの?」
(あのね。 俊一が前期テストが終わって東京に遊びにいくって言ってさっき出て行っちゃったのよ。 真梨子のマンションを根城に2〜3週間、遊んでくるなんて言ってるんだけど、面倒見てあげてね。)
「何、それ?」
(あの子、足の怪我が原因でアメリカンフットボールのクラブを辞めたでしょ! それから少し自棄になったのか遊び癖がついちゃってね…」
「うあっ…」
蜜壷に呑み込んだローターが振動を始めたのだ。
―どうして… お願い… 許して…
(どうしたの、真梨子?)
「ううん。なんでもないわ…」
(そう?! お前も仕事で大変だろうけど、暫く俊一の面倒を見てやって頂戴な。)
「ええ  わかったわ。 うう… 我が家の総領ですもの  歓待します。安心して、お母さん」
(お願いね! それはそうと元気に暮らしてるの?)
「ええ。  私は元気よ!心配しないで」
(お前のことじゃないわよ。 浩二さんよ! 旦那様をほって置いて半年も離れて暮らすなんて… 旦那様がかわいそうよ! やっぱり女が単身赴任で旦那様と半年も離れて暮らすのって私には良い事だとは思えないわ!)
「ちょっと… おかあさん、その話はもう言いっこなしって約束でしょ! 後2ヶ月だし、これが終わったらちゃんと浩二さんのお世話をしますから   うっくぅ…」
(そうよ 。 やっぱり夫婦は一緒にいないとだめよ、真梨子!)
「はい。 わかってます。じゃね、お母さん 」
(元気で頑張るんだよ、真梨子 )
「うん。 ありがとう。 お母さん…」

「うああぁぁ と、とめて〜〜 くぅ〜〜あぁぁ」
『お母さんの声を聞きながら感じるのも、乙なもんだろ?!真梨子 』
「ひどい… いやぁ〜〜〜 や、やめて…」
 ローターは突然止まった。

『止めろって言うから止めたんだぜ  不服そうな顔をするなよ、真梨子ちゃん 』
「不服なんて…」
『で、誰か実家から出てくるのか?』
「え、ええ… 大学生の弟が夏休みなので…)
『ほぉ〜、弟がいるのか、真梨子には 』
「はい」
『弟も、そのぉ〜お前みたいな変態なのか?くくっ 』
「いいえ!違います!)

『あははっ  真梨子ちゃんが怒った〜  まっ、とりあえずお水でも一杯飲んで気を落ち着けなさい!』
――また…
「はい…」
サーバーから水を汲み、カメラの前で飲み干した。

   ◆

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