モンスター
二次元世界の調教師:作
■ 2
だから今緊張からか額に汗をかき、妙に女っぽい仕草と口調の真菜に、俺はドキッとしてしまっていた。コイツ、まさかひとみちゃんに嫉妬して、こんな「女」の姿を見せているのだろうか? 俺がそんなあり得ない妄想に囚われたのは、ひとみちゃんがいい子であるだけでなく、成長したら真菜といい勝負になりそうな美少女でもあるからだ。俺は決してロリコン趣味ではないのだが、時々妙な気持ちをひとみちゃんに覚えてしまうのも、告白せねばならない。
「でもお母さんはとんでもないくわせものよ。
モンスターペアレントって、マジでああいう人のことを言うんだわ。
ねえ大ちゃん、家庭訪問なんかしない方がいいかも……」
「それは出来ないだろ。
校長先生に言われたし」
「でも……」
「お前、家庭訪問したことあるのか?」
「うん……
まあ、大ちゃんなら大丈夫よね……」
いつもと違って小声で口ごもる真菜に強い違和感を覚えた俺だが、結局家庭訪問を断るわけにもいかず、こうして不安な気持ちでひとみちゃんの家に向かっているところなのである。
「わざわざ先生に来て頂いて申し訳ありません」
俺は正直非常にビクビクしながらひとみちゃんのお母さんの久美子さんに会ったのだが、一体どんな強烈なママゴンが出て来ることかと思いきや、ごく普通の品の良さそうな女性に深々と頭を下げられたので、拍子抜けした気分だった。
「あー、いえいえ、とんでもありません。
ひとみちゃんは、一体どうされましたか?」
「はあ、それが、こんなことを申し上げるのは、本当に学校に申し訳ないと思うのですが……」
ううむ。演技ではなくお母さんは本当に申し訳なさそうに、恐縮している様子だ。それにひとみちゃんの母親だけあって、慎ましやかな感じの美人と言って良い女性である。彼女が本当に悪名高い「モンスターペアレント」なのだろうか? 俺はちょっと信じがたいような気持ちで、目の前でバツが悪そうにしている久美子さんを見ていた。
「ひとみちゃーん。
先生が来て下さったわよ〜」
「あ、せんせーい。
こんにちはー」
俺はまたまた拍子抜けしてしまった。そう言ってニコニコしながらやって来たひとみちゃんは、いつもと変わらない明るく素直で、挨拶を良くする好感度抜群の女の子そのものではないか。俺は、ここに来た理由が何かの間違いなのではないかと、疑念を抱いてしまった。
「先生にお茶をお出ししなさい」
「はーい」
ひとみちゃんは小学生としては大人びた女の子で、しつけが良いのだろう、お盆にお茶を入れた湯飲みと茶菓子を入れて持って来る作法もバッチリ決まっていた。それに彼女も母親も、俺にニッコリと微笑み掛ける歓迎ムードで、本当に不登校の児童と話をしに来ているのか、さらに母親が学校に難癖を付けるモンスターなのかと、頬をつねりたい気分に陥った。
が、ここで俺は、この母親は「とんだくわせもの」だと言った真菜の言葉を思い出していた。油断してはならない。そう気を引き締めようと思った俺はしかし、お盆を置き母親の隣にチョコンとかしこまって座ってニコニコしているひとみちゃんを見て、目のやり場に困ってしまった。淡い色でノースリーブのラフなシャツから、白いブラジャーのヒモが見えているのだ。小学生とは思えない、発育の良い胸の谷間にどうしても目が行ってしまう。もしかすると、やせ型の真菜よりすでにサイズが大きいかも知れない。さらにショートパンツからスラリと伸びた生白くムッチリとした太股もひどく悩ましく、小学生らしい無邪気な無防備さとは裏腹に、ひとみちゃんはもう立派な大人の体だ。繰り返すが決してロリコンではない俺も、思わず唾をゴクリと飲み込んでいた。
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