被虐の血
二次元世界の調教師:作

■ 4

「う〜ん、何だか臭いわね」

 眼鏡の下の底意地の悪そうな目でジロジロ私を眺めていた先生が、鼻をくんくん嗅いでそんなことを言うので、私は生きた心地もしませんでした。ですが、その時始業のチャイムが鳴り、私が普段は優等生であることにも助けられて、後で生徒指導室に来なさい、とその場は放免されました。

(助かった……)

 ホッとした私は、どうせもう遅刻だから、と少しやけにもなってすぐに教室に向かわず、トイレに向かいました。遅刻がバレたらご主人様は、きついお仕置きを下さるでしょうか。そう考えると、新たにカーッと体が熱くなってしまうのを感じる私でしたが、とりあえずまだ不十分な汚物の痕跡を、トイレットペーパーでちゃんと処理したかったのです。が、ホントはそれだけが理由ではありませんでした。

 誰もいないトイレに入り個室にこもると、私はまずケイタイを開いてメールの着信がなかったか調べます。学校の朝のトイレでご主人様からのご命令がないかチェックするのは、もう日課となっているのです。実はこの1週間、ご主人様からは全く何の音沙汰もありませんでした。私は言われなくても、ご主人様が好まれる露出過多な制服と小さな白いショーツを身に着けて、ご命令を待ち続けているのですが。そしていつもはどうしても指を使ってしまう私は、それも禁止されて辛い禁欲生活を続けています。が、今チェックするとご主人様からのメールが届いているではありませんか! 私は嬉しくてついオナニーをしそうになった手を慌てて引っ込め、慄える手でその内容を確認しました。

「百合へ。
 ウンコの処理をすませたら、今はいてるパンツを男子トイレのなるべく目立つ所に捨ててきなさい」

 私はそこまで読むと興奮が募ってパタンとケイタイの画面を閉じました。わかってはいましたが、あの痴漢達は、やはりご主人様が遣わせた同好の人々のようでした。たかが1週間くらいの禁欲で、痴漢の指にトチ狂い体をすり寄せよがりまくってイッテしまった私の狂態は、もうご主人様に報告されているのかも知れません。さらに浣腸までされた瞬間に、私が気をやってしまったこともバレてしまったでしょうか。

 矢も盾もたまらず、トイレットペーパーで太股に付着した汚物の痕を落とした私は、紙を巻いた指をアナルに入れて中を拭おうとした時に、余りの心地良さで理性を喪失していました。どうせご主人様に禁断の誓いを立てる運命なのです。私は禁じられていた前の秘所にも指を食い込ませると貪るようなオナニーに耽り、羞ずかしいくらいの大声で絶頂を叫んでいました。

 授業中で誰もいるはずのないトイレの個室内だと言う気安さから張り上げてしまった淫声でしたが、ようやくスッキリした私はとてつもなく汚れたショーツの入った紙袋を手に女子トイレを出ると、もう一度誰も辺りにいないことを確かめずにはいられませんでした。何しろ今から男子トイレに足を踏み入れ、私の排泄物がベットリ付着したえっちなデザインのショーツを目立つ場所に置かねばならないのです。何とか勇気を出して隣の男子トイレに入った私は、一体どこに汚れた下着を置けば良いのかきょろきょろと見回して迷いました。

(やっぱりおしっこする所がいいかしら)

 私が触るのも穢らわしい汚物まみれのショーツを紙袋から取り出したその時でした。何と廊下を背の高い男子が、こちらに向かって来ているではありませんか。その男子の顔を確認した私は余りの偶然で心臓が飛び出しそうになりました。その人は私より1級上の同じバスケ部の先輩ですが、今私達はお付き合いをしているんです。

(そんなっっ!!)

 彼はズボンの前を露骨に押さえているので、間違いなく授業中に我慢出来なくなってトイレを使いに来てるのです。もう私は場所など構っていられず、汚れショーツを小用便器の中に投げ入れると紙袋を持って男子トイレから走り出て、すぐそこまで来ていた彼氏に作り笑いを見せました。

「え、百合ちゃん……」

 彼氏はズボンの前を押さえているのに、足を止めて私の方をまじまじと見ています。男子トイレから出て来たことより、真面目っ子の私の見たこともないようなえっちなミニスカに目を奪われているようでした。この1週間私は部活の時以外は彼と極力出会わないようにして、下着の見えそうなスカートをはいてる所は見られないようにしていたのです。

「ゆう君もトイレ?」

 私は下着が見えるどころか、ノーパンの股間を辛うじて隠しているミニスカの裾を両手で必死に抑えながら、そんな白々しい言葉を口にし、そそくさと再び女子トイレに戻って行きました。

(ああ……
 ゆう君、私のウンコまみれのショーツ見ちゃうだろうか?
 こんな、こんなことって……)

 偶然とは言え運命の悪戯に私は胸の潰れるような思いに苛まれながら、個室に入りました。隣で彼が用を足している気配がはっきりと感じられます。小便器は5つくらいしかありませんでしたから、おかしな布切れが落ちているのはすぐにわかってしまうでしょう。その汚物で茶色に変色した布地が女物の小さなショーツだとわかり、私がなぜか男子トイレから慌てて出て来たことに、彼が思いを巡らせたなら? 私は泣きたいような気持ちで便座に腰掛け、ケイタイを開いてご主人様からのメールの続きを確認しました。

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