1人えっちなルームシェア
二次元世界の調教師:作
■ 1
「はるか、お前ちっとも変わってねえな」
「そう?」
「ああ。
相変わらず中学生みたいだ」
「ひっどー」
久しぶりに会ったお兄ちゃんがそんなことを言うもんですから、私はちょっと不機嫌になってしまいました。背が低くて童顔の私ですが、中学生はないんじゃないでしょうか。めったにしないお化粧までして来たって言うのに。
「それ制服?」
「うん」
「へえ。
スカート短けえなあ……」
私がこの春から通う看護学校のブレザーの制服をジロジロ見ながらお兄ちゃんがそう言ったので、私は胸がキュンとなってしまいました。しつけの厳しい私立の女子高校に通っていた頃は、セーラー服をこんなミニにしたことなんか一度だってありません。他の子達は先生の目を盗んでコッソリ登下校の時短くしたりしてましたけど、私は一切校則違反しないので友達から変わり者扱いされてたくらいです。実の所私はとても羞ずかしがり屋で、すぐに顔が真っ赤になってしまいます。だからお兄ちゃんに会うためにがんばって短いスカートをはいて来たのは、私にとって冒険でした。
「そんなに短くしてたら、見えちゃうんじゃねえの」
「大丈夫だよ、ちゃんとはいてるし。
お兄ちゃんのえっち」
お兄ちゃんは私の口から初めて出た「えっち」なんて言う言葉に、参ったなと頭をかいていました。しばらく会わない間にスポーツ刈りだった頭がすっかり伸びててボサボサだったのはちょっとショックでしたけど、やっぱりカッコイイです。お兄ちゃんは昔からずっとサッカーをやってるんですけど、大学のサッカー部では髪を短く切れなんて言われないのでしょう。全然イケ面じゃないけど、とても明るくてスポーツマンのお兄ちゃんは私のあこがれの人。髪はボサボサで無精髭まで生やしてても、まぶしいくらいの笑顔は変わらず、自分でもダイタン過ぎるかなと思ったミニスカから露出したフトモモにお兄ちゃんの視線を感じた私は、すごくドキドキと胸を高鳴らせていました。
(ホントに見えちゃったらどうしよう……)
お兄ちゃんに言った言葉と違い、高校時代には長いスカートでも万一に備えてガッチリガードしていたスパッツの類を、今私ははいていません。あんな物は女子高生か、冷え性のおばさんがはく物と言うイメージですし、お兄ちゃんに久しぶりに会える嬉しさで私は少し見せちゃってもいいかも、なんてイケないことまで考えていました。でも、もうさっきから慣れないミニスカの中が頼りなくて、スースー当たる風の感触に気もそぞろの私は、やっぱり羞ずかしくてスカートの裾を抑えてガードしていました。あーん、こんなに羞ずかしいんなら、無理してミニスカにしなければ良かったのに。そう思っても後の祭の上、私はちょっとはしたない、小さくてスケたショーツなんかをはいちゃってます。「勝負パンツ」のつもりでしたが、お兄ちゃんにからかわれる通りまだ子供の私が背伸びしてもダメでしたね。私はいつの間にか真っ赤に火照ってしまった頬の熱さを感じながら、お兄ちゃんにチラッと見せちゃうなんて勇気は全然ありませんでした。
「お前、彼氏は出来たのか?」
「いないよ、そんなの」
「……だろうな」
いつもなら、お前みたいなガキに彼氏が出来るわけねえよな、と軽口を叩くお兄ちゃんが、少し口ごもっています。きっと少しイメージが違う私を見たからに違いありません。私はやっぱりお化粧して、ミニスカをはいて来て良かったかな、と思いました。
「お兄ちゃんは?」
「特定の子はいないけどな」
お兄ちゃんはとてもモテるんです。だから女の子と付き合ってても当然だと思いますし、お兄ちゃんの言葉はむしろ意外でした。でも愚かな私は、特定の女の子と付き合ってはいないと言う言葉に、どうしてもホッとして胸をときめかせずにはいられませんでした。今日から始まるお兄ちゃんとのルームシェア。きっとどんな女の子よりも長い時間を、お兄ちゃんと一緒に過ごせるのです。
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