聖夜の贈り物
二次元世界の調教師:作

■ 1

 ……初めてお会いした彼女はいかにも仕事帰りのOLらしい清楚な感じのミニスーツがバッチリ決まって、とても魅力的な女性でした。待ち合わせたカフェの中はやはり仕事帰りらしき男女でごった返しており、1人だけトレーナーにGパンと言うラフな格好の私は、浮いている感じがしました。さっそく向かい合わせて座った彼女は30代後半とは思えない若々しい美人で、目が大きくて額が広くとても聡明な感じ。でもこんな女性が冴えない中年男の私に「舐め犬」を依頼して来るのですから、世の中わからないものです。

 簡単に待ち合わせ相手が間違いないことを確認してから、私は単刀直入に言いました。

「約束通りにして来て頂けましたか?」
「はい」

 ここで私は声を潜めて、周りの人々に聞かれないようにします。

「ではトイレでショーツを脱いで来て下さい」
「ここでですか?」
「はい。
 それから、持って帰って私にその匂いをかがせて下さい」

 彼女は自分と同じようなスーツ姿が目立つ混雑した店内をオドオドと見回し、落ち着かない様子でした。唇をペロリと舐め額に少し汗を掻いた様子からも、彼女が私の提案にドキドキして興奮していらっしゃるのは間違いないでしょう。彼女がこんな軽いSM的行為に興味をお持ちであることは、これまでのメールのやり取りで良くわかっています……

「ああ……」

 この辺まで読んだ辺りから私も少し興奮し、思わず股間に手を忍ばせていました。どうやらこの30代後半なのにバツ1で独り身の美人OLさんは、私ととても良く似た性癖をお持ちのようでした。彼女はインターネットでお知り合いになった「舐め犬」さんに言われて、前の日からおしっこの後始末をせず、おまけにその日会社のトイレで1人えっちをして汚したショーツを、混雑したカフェの中で差し出して小水と愛液で黄色くなった具合を言葉で辱められ、そのままカフェの障害者用トイレで「舐め犬」行為をして頂いたと言うのです。 

 清楚な美形のOLと言う仮面を脱ぎ捨て、経験豊富な「舐め犬」さんですら驚く程の乱れぶりを見せた彼女が店のトイレで達してしまい、危うく人にバレそうになったと言うそのレポートを読みながら、私はいつの間にかはしたなくショーツ1枚になって、彼女と同じように汚れている冷たい布地の上からアソコを弄っていました。

(ああ、私何てバカなことしてるのかしら)

 私は来年になれば還暦に達するという年齢なのに、淫らな欲求に悶々としてしまう体がうとましくてなりません。こんなおばあちゃんがクリスマスイブに1人でアソコを慰めているなんて、皆さん信じられないでしょう。

(あなた、一体どうして……)

 私を残してあの世に行ってしまったの?相変わらず無責任な人ね、いい加減にして!あなたのおかげで、私はトイレに行っても拭かない悪いクセが治らないし、こうして汚れたパンツ1丁になってアソコを弄る変態おばあちゃんになってしまったじゃありませんか。 

 主人は生きていた頃から困った人でした。警察犬の訓練と言う難しい仕事をしていた主人は、お見合いした時にはとても明るい社交的な感じの男性で私も好感を持ち、すぐに縁談がまとまったのですが、いざ結婚してみると家ではまるきり子供みたいなワガママな人でした。子供は2人もうけましたが、主人は育児はもちろんのこと、一切家事を手伝ってくれることはありませんでした。親譲りの大きな家でしたが、警察犬訓練用の人間より大きなドーベルマンを何頭も飼っており、主人は犬の世話に明け暮れていたのです。

 子供達が2人とも独立して県外で暮らすようになり、主人と2人切りで大きな家に暮らすようになっても、相変わらずでした。いえ主人はむしろますます頑固で分からず屋になり、気にいらないことがあると怒鳴り回す有様でしたが、私はこの人は大きな子供みたいな人なんだと諦めていましたし、うまく機嫌を取ってあげさえすればとても楽しい人なので何とかこの歳まで添い遂げて来たわけです。

 さて恥ずかしいので言い遅れましたが主人は大変な女好きで、若い頃は毎晩のように私を求めて来ましたし、休日には2回も3回もえっちしてしまうのが普通でした。私はもともとあまりそういうことは好きでありませんでしたが、浮気されては困るので仕方なく相手をしていたのです。又主人は若い頃はたいそうせっかちな人で、ただもう勢いにまかせて私が濡れてもいないのに突っ込もうとするものですから、私の方からキスしてとか、お乳を揉んで、とかお願いしなければいけませんでした。後になって考えるとウソみたいな話ですけど。

 子供達がいなくなって2人切りになった40代後半くらいから、主人は又私を積極的に求めて来るようになりました。いえ、白状しなければいけませんね。実は40代半ば頃から妙に性欲を強く覚えるようになった私の方から、おねだりすることも結構あったのが事実です。子供と同居していた頃は遠慮していたのもありますが、こうして人生の後半に入ってからこんなにえっちが好きになるなんて、思ってもいませんでした。

 若い頃はただ欲望に任せて突っ込むだけと言う子供のようなセックスだった主人も、そんな元気がなくなったかわりに、いろいろ趣向を凝らしたりお道具を使ったりしてくれるようになりました。ちょっとしたSMのようなこと、例えば私に手錠を掛け目隠しをして、マッサージ器で体を弄ったり、筆でくすぐったりと言った、面倒なこともいろいろ試してくれました。普段の生活ではやっぱり自己中心的で怒りんぼの主人でしたが、えっちの時だけは自分のことより私が快感を覚えて乱れてしまうのが楽しくなったようで、それは私にとっても幸せなことでした。もともと性に関して消極的だった私も、実に熱心に私を歓ばせようとする主人にほだされて身も心も淫らに開いていき、いつしか以前の私からは信じられないような、はしたなく性の快楽に貪欲な女になってしまいました。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊