弟の悪友
二次元世界の調教師:作

■ 2

 まさかそんな言葉を口には出来ませんが、私は必死でドアをノックしました。すぐに出て来てくれた健一は、女の子なのにはしたなくアソコを手で抑えてモジモジとおしっこを堪えている私を、どんな目で見たことでしょう。私はさっき母に指摘された顔の熱っぽい火照りがますますひどくなるのを感じました。高まる尿意と同時に、全身を揉み抜くような性的快感も強烈になる一方です。

「僕、食事の片付けして、部屋で待ってるから」
「う、うん。後でね……」

 そんな言葉を交わすのももどかしく駆け込んだトイレの中。でも股間にキッチリと食い込んで鍵の掛けられた黒革の貞操帯パンツのために、まともな排泄は不可能でした。周囲を汚さないように注意して慎重に腰を下ろし、股間の力を緩めると、ジョロジョロとおしっこが黒革パンツの脇から伝い落ちて行きます。

――ああ、惨めだわ……

 それは高校2年の私にとって、死にたくなる程の屈辱でしたが、トイレットペーパーで後から後から溢れて来るおしっこで汚れる内股を拭いていると、又あの名状し難い甘美な感覚が激しく込み上げて来てしまったのです。

――い、イヤ! 私、又いっちゃう……

 今度は家族の目がないと言う気楽さから、私はウッと目を閉じ、便座の上の体を思い切り弓なりにそらせて、素晴らしいアクメを貪ってしまいました。そしてウットリと絶頂の余韻を噛み締めながら、おしっこ以外も混じっていると思われる、黒革パンツの脇から溢れ出た液体を処理します。羞ずかしいことに、アソコがキュンとなってイボイボバイブを淫らな粘膜きつく喰い締めてしまうのを感じましたが、もう自分の意志ではそんなはしたない反応を抑えることは不可能でした。

「お姉ちゃんはどMのヘンタイだな、ははは……」

 忌まわしいシンジたちのニヤけた顔が浮かびます。

――違うわ! 私ヘンタイなんかじゃない! アンタたちの方こそヘンタイじゃないの!

 そう心の中で毒突くのも、この頃ではすっかり力を失ってしまいました。シンジたちに定期的に装着される黒革の貞操帯パンツは悪魔の贈り物です。こんな嫌らしい器械で、学校でも家でも何度も恥を晒してしまう私は、自分が彼らの言う通り「どMでヘンタイ」な女の子に身も心も作り替えられていることを認めざるを得ませんでした。

――イヤだ、私すごくえっちな顔になってる……

 何とか後始末を終えてトイレの鏡を見た私は、ギクリとしてしまいます。耳たぶや首筋まで真っ赤になり、目がトロンと潤み、小鼻が膨らんだ顔は、たった今えっちしました、と言ってるような淫らさでした。私は少しでも興奮を鎮め顔の紅潮が引くのを待って、もうしばらくトイレにこもっていなければなりませんでした。

「ずいぶん長く掛かったわね。具合が悪いのなら、早く休みなさい」

 食器の後片づけを手伝うため台所に行くと、母が心配してくれました。

「ここはもういいわよ。あなたの食器も健一が洗ってくれたから」
「健一が!?」
「お姉ちゃんの食器も洗ってあげるんだ、って。珍しいこともあるものね」

 トイレで用を足しながらはしたなくアクメを貪っていた私の食器まで健一が洗ってくれたと言うのです。私は胸がキュンとなって、せっかく鎮まっていた顔が再び熱く火照って来るのを感じました。

「どう思う? 健一のこと」
「きっともう大丈夫よ!」
「そうだといいんだけどねえ……私はもう心配で心配で……」

 母が心配するのは無理もないことです。男勝りで気が強い私とは正反対で、1つ年下の健一は幼い頃から大人しくて気の弱い子でした。小学校でも中学校でもいじめの対象にされていて、学校を休んでしまうこともたびたびありました。幸い不登校になるほどではありませんでしたが。

「やっぱり無理してでも私学に行かせた方が……」
「そんなこと今さら言ったって仕方ないじゃない!」

 健一は私と同じ公立の進学校を志望していたのですが、推薦入試で不合格になってしまい、すっかり自信をなくしてしまいました。母子家庭で経済的に苦しいわが家の状況を考えて、彼は仕方なく一般入試で工業高校を受験して進学してしまったのです。決して望んだわけではない上に、ガラの悪い男の子が多い工業高校への進学だなんて……意外に淡々としていた健一自身より、母や私の方が無事に学校生活を送れるのだろうかという不安で一杯でした。

 私たちの心配をよそに、入学当初健一はとても楽しそうでした。いい友達が何人か出来たらしく、明るく学校生活について語ってくれる健一に、母も私もホッと胸を撫で下ろしたのです。ところが、その「いい友達」は、決して私たちが想像していたような、普通の友達ではありませんでした。健一が次第に学校生活のことを話さなくなったのは、1学期の中間試験が終わった頃だったでしょうか。特に暗い表情をしたり学校に行きたがらなくなったわけではないのですが、放っといてくれと言わんばかりに無口になった健一に、私たちは大いな不安を抱きました。なぜなら、それは小中学校の頃彼がいじめに遭い始める予兆だったからです。

「大丈夫よ! 健一、又明るくなったでしょ。もうあの子は子供じゃないの。きっと友達との付き合い方がわかって来たんだと思うわ……」

――そう、大丈夫。私さえ我慢していれば、きっとあの子たちだって……

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