診察室
ドロップアウター:作
■ 4
玲さんは先生に指示されて、ベッドの上に仰向けになりました。
横になった時はまだアソコを手で隠していたのですが、野田さんに「両手はおなかの上に置いて」と言われて、ためらいながらも指示に従いました。
私も何かしなきゃいけないと思ったのですが、野田さんに「北原はまだ慣れてないから、今は見てなさい」と言われて、玲さんのそばに寄ることさえできませんでした。
玲さんは早生まれということもあるのか、15歳の年齢のわりには、少し体つきが幼い印象を受けました。乳房もそんなに大きくないし、恥毛もさほど生えそろっていません。
「膝を立てて・・・足をできるだけ開いて」
野田さんは、玲さんにとって屈辱的な指示を、淡々とした口調で出しています。
「は・・・い・・・」
玲さんは顔を真っ赤にしてとても辛そうなのですが、それでも唇をかみしめて、懸命に羞恥心をこらえています。
「ちょっとごめんね・・・」
先生はそう言うと、ゴム手袋をはめた右手の親指と人差し指を、性器のワレメの両側にそっとあてがいました。
「あっ・・・!」
玲さんは、声を上げてしまいました。
顔を見てみると、とうとう玲さんは泣き出していました。今まで、自分の性器を人に触られたことなんてなかったでしょう。相当ショックだったと思います。
野田さんはすかさず、おなかの上で組んでいる玲さんの両手をぐっと押さえつけました。
「痛くないようにするから、心配しないで」
先生はそう言って、性器のワレメをぐっと広げました。
玲さんは涙を流しながら、それでも歯をくいしばって懸命に耐えています。
先生は、玲さんのアソコを脱脂綿で消毒してから、中を覗き込みました。
「見たところそんなに異常はないみたいね」
先生は言いました。
「色もキレイだし・・・」
玲さんは、無言のままでした。体が震えているようです。
「島本さん、生理用品は何を使っているの?」
「・・・ナプキンだけです」
搾り出すような声で、玲さんは答えました。
「そう。タンポンは使わないの?」
「最近使ってみたんですけど・・・あの・・・その後・・・気分が・・・悪くなって・・・」
性器を触られて動揺しているせいか、言葉が途切れ途切れになっていました。
「どんなふうに?」
「あの・・・吐き気が・・・気持ち悪くて・・・」
「吐いたの?」
「はい・・・」
「最近って、いつのこと?」
「四月の・・・最初の・・・方です・・・」
「そっかぁ・・・それが何か関係あるかもね・・・ちょっとごめんね」
「あっ・・・!」
玲さんはまた声を上げました。
先生が何をしたのかは見えませんでしたが、たぶん、クリトリスの部分を押したんだと思います。
「性器の部分に異常はないみたいね・・・押したらちゃんと液も出てくるし・・・」
「いや・・・」
玲さんはとうとう泣き声を出しました。
「大丈夫?」
玲さんは答えません。体を震わせて、唇をきゅっとかんでいます。
「何か変なこと考えてるの? 自分はおかしいんじゃないかって」
先生は遠まわしに言いましたが、玲さんには伝わったみたいです。
玲さんは、泣きながら言いました。
「あたし・・・あたし・・・やらしい子・・・」
「気にすることないのよ」
先生は慰めるように言って、玲さんの性器から手を離しました。
「誰だって大事なトコ触られたらびっくりするから、声出したくらいで誰も島本さんがやらしい子だなんて思わないわよ。それに、健康な女性なら、触って液が出てくるのは当たり前なんだから。そうじゃなかったら、その方がおかしいことなのよ」
玲さんはしゃくり上げながら、先生の言葉にうなずいていました。
私はとにかく、玲さんの診察が終わってほっとしました。辛かっただろうけど、先生がうまくフォローしてくれたから、この経験をそんなに引きずることはないだろうなって思ったのです。
でも、ほっとしたのも束の間でした。
先輩の野田さんが私のところに来て、また耳元でささやいたのです。
「導尿の準備をするから、手伝って」
私は、思わず息を呑みました。
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