診察室
ドロップアウター:作

■ 7

「あの・・・」
 玲さんは、不安そうな声で言いました。
「タンポンって、生理の時にしか使っていけないんじゃ・・・」
 私は、玲さんの言うことに同感でした。よく生理用品の使用上注意にも書かれていることです。
 わけがわからず、私はただ先輩が何を言うかを聞いていました。
「それはそうなんだけどね」
 野田さんは言いました。
「さっき聞いたら、タンポンは全然使ってないっていうから、これからも使わないのは良くないし、せっかくだから今のうちに慣れてもらおうと思って」
 見ると、野田さんはすでにタンポンを用意していて、右手に持っています。
「でも・・・なんか自分には・・・合わないみたいだし・・・」
 玲さんはまだ不安そうでした。
「大丈夫、看護婦さんがそう言ってるんだから、信じなさいよ」
 野田さんは、なんだか強引な感じで言いました。
「・・・分かりました」
 玲さんは渋々納得しました。
 野田さんは、玲さんに指示を出しました。
「それじゃあ、上半身を起こして、体育座りをして」
「はい」
 玲さんは体を起こして、ベッドの上で体育座りをしました。
 すると、野田さんは信じられないことを言いました。
「あのね、玲さんは、マスターベーションはするのかな?」
「野田さん!」
 私は思わず声を上げてしまいました。こんな質問をする意味が分かりませんでした。いくら同性とはいえ、デリカシーがなさすぎます。
 案の定、玲さんはうつむいてしまいました。
「したことないの?」
 野田さんはかまわず言いました。
 玲さんは黙って、かぶりを振りました。オナニーをしたことないというのがウソだとしても、私は責める気になりません。特に玲さんみたいな真面目な子にとっては、それだけ屈辱的な質問なんですから。
「そっかぁ・・・したことないんだったら、自分のアソコがどんなふうになっているのか、分からないわよね?」
 玲さんはこくんとうなずきました。
 私は、ようやく野田さんの質問の意味が分かりました。確かにオナニーをしていたら、自分の性器の構造は分かります。でも、だとしても別の聞き方があるんじゃないかって思いました。
「それじゃあ・・・まず、自分のアソコがどうなってるか、自分で指を入れてみて、確かめてごらん」
「えっ・・・」
 野田さんの言葉に、玲さんの顔は真っ青になりました。
 それでも、玲さんは「はい」と返事して、そっとそっと、指先を股間に近づけていきました。
 そして、玲さんは左手で自分のワレメを広げてから、右手の人差し指を差し込んでいきました。
 でもやっぱり怖いのか、その動作は恐る恐るといった感じです。
「あの・・・これ以上は・・・」
 玲さんは不安そうに言いました。
「しょうがないわねえ・・・」
 野田さんはじれたように言いました。
 玲さんはほっとしたように、股間から手を離しました。
 すると、野田さんはタンポンを手にとって、こう言いました。
「最初は、私がタンポンを入れてあげるから、それで少しずつ慣れていきなさい」
「ええ・・・?」
 玲さんが戸惑いの声を上げたのに構わず、野田さんは玲さんの股間に左手で触れ、少し乱暴にぐっと広げました。
「あっ・・・」
 玲さんは驚いて声を上げました。
 野田さんは、玲さんの戸惑いを全く無視して、ワレメにタンポンを挿入していきました。
「うっ・・・い・・・痛い!」
 玲さんは悲鳴を上げました。
 野田さんはかまわず、タンポンをぐいぐいと押し込んでいきます。
「痛い・・・痛い・・・ちょっと・・・ちょっと待ってください・・・!」
 玲さんが少し大きな声を上げたので、野田さんはようやく止めました。
 玲さんは、性器の発達がまだ未成熟です。だから、まだタンポンは合わないのかもしれません。見ると、タンポンは全体の七割くらいしか挿入されていませんでした。
「どうしたの? そんなに痛い?」
 野田さんが聞くと、玲さんはひどく顔をしかめて、「ごめんなさい・・・我慢できないんです・・・」と力なく言いました。
「しょうがないわね・・・抜く時また痛いけど、我慢するのよ?」
「・・・はい」
 玲さんはまた、か細い声で返事しました。
 野田さんは、玲さんの膣に挿入したタンポンをぐいぐいと引き抜いていきました。
「うぅ・・・うぐ・・・」
 こらえきれなくなったのか、玲さんはさっきより大きな声を上げました。
 タンポンが膣から抜かれても、玲さんの顔色は変わりません。むしろ、さっきよりも悪くなっているような感じです。
 さっきまでなすすべなく突っ立っていた私は、ようやく玲さんに声をかけました。
「大丈夫?」
「・・・気持ち悪い・・・です」
 玲さんの顔は、心配になるほどひどく青ざめていました。
「とりあえず横になって」
 私は、玲さんをベッドに仰向けに寝かせました。
「どんな感じ?」
「あ・・・あの・・・」
「なに?」
「あの・・・あ、アソコが・・・ヒリヒリして・・・」
 玲さんは自分の股間を指さして、恥ずかしそうに言いました。
 私はとっさに、脱脂綿を取り出して、股間を拭いて消毒することにしました。
 股間のスリットの部分を拭きながら、玲さんに聞きました。
「痛いのは、この辺りかな?」
「あの・・・もう少し・・・中のところ・・・」
「ここかな?」
 私はワレメを開いて、中のところも脱脂綿で拭きました。
「ここかな?」
「はい・・・そう・・・です・・・」
 いつの間にか、玲さんはまた泣き出していました。泣きながら、か細い声で言いました。
「あの・・・ごめんなさい・・・できれば・・・しばらくこうしていてくれませんか?」
 玲さんの言葉に、私は胸がしめつけられました。アソコを触っていてくれだなんて、口にするのは相当恥ずかしいことだと思います。でも、そう言わなきゃいけないほど苦しいのかと思うと、本当にかわいそうでした。

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