走狗
MIN:作

■ 第1章 出来事3

 パソコンの映像は、乳房を晒した香織のバストアップ映像から始まる。
 香織の顔は、左の頬が少し腫れて、涙の後が頬に付いている。
 目を伏せ、唇を噛んだ表情は、屈辱に震えていた。
 しかし、香織自体の美貌を余り損なっては居なかった。

 香織は、俺の口から言うのもおかしいが、かなりの美少女だ。
 大きくハッキリとした、少し吊り上がった二重、長い睫の下に黒目がちな瞳。
 すっきりと伸びた鼻梁に、少し厚めの小振りな唇。
 顎のラインもスッキリとして、輪郭は綺麗な卵形だ。
 大きく弓なりに成った、細い眉がキリリとした印象を与えるが、笑うととても穏やかに変わる。
 性格は物怖じしないで、ハッキリと物事を話し、とても明るく快活すぎるきらいがあり、少しお転婆だった。
 正義感が強く曲がった事が大嫌いで、それで良く人と争いに成る事があった。

 眉根を寄せて、顔を苦痛に歪めた後、香織が口を開き出す。
『私の名前は…叶香織。都内にある尽聖高校に通う高校2年生です。スリーサイズは、…ぐうー…』
 また、香織の顔が苦痛に歪み、顔が右下にフレームアウトしかける。
 姿勢が元の位置に戻り、さっきの中断した部分から始まる。
『スリーサイズは、バスト88、ウエスト57、ヒップ88です…ぎぃー…カップはEです』
 途中でまた何かされたのか、苦痛を顔に浮かべ、ボディーサイズを告白し終えた。
『私は、生意気な性格を、矯正されるべく…ここに居られる…ご主人様達の…オ、オモチャに……ぐぁーー』
 画面の端に映った棒で、何をされているかが解った。
 香織は、言葉に詰まると、スタンガンで身体を突かれているようだ。
『ご主人様のオモチャに成る事を誓いました。…何をされても教育の一環です。私を矯正して下さい』
 其処までを言った後、カメラはパーンアウトし香織の全身を映し出す。
 俺は、香織の身体を見て、激しい憎悪と今までこれを知らなかった事に、深い悔恨を抱いた。

 香織の身体は、あちこちに青い打ち身の痕を付け、所々に擦り傷や泥が付いている。
 そして、膝に棒状の拘束具が嵌められ、足を閉じる事も出来ずオ○ンコを晒している。
 手が後ろに回って、動いていない事から、後ろ手に拘束されている事も想像出来た。
 画面は切り替わり、事故で無くなった俺のマンションから、5分程の公園が映し出された。
 周りの暗さから察するに、夜の7時ぐらいだろうか。
 極端に人通りの少ない公園だった。
 香織の学校は、この公園を通ると、10分程近道なのを覚えてる。
 外灯の明かりの下、香織がカメラの前を横切る。
 だが、香織はカメラに気づいた様子すら無い。
 香織の後ろ姿を撮るカメラは、どうやら暗がりに隠れているようだ。
 公園の出口に近づいた香織の行く手を、遮るように黒いワンボックスが走り込んで来た。
 後ろのスライドドアが開くと、面を被った男が二人飛び出した。

 此処で、アングルが変わり車の中からの映像になる。
 香織は、驚いた表情で
『なんですか!あなた達…きゃー』
 叫ぶが、男達の手に持った棒で突かれると、意識を失った。
(こいつら、違法改造のスタンガンを使いやがった)
 地面に倒れた、香織を車に引き摺り込む、画面の隅にカメラを抱えた、小柄な黒い服が走って来るのが見えた。

 車の中で昏倒する、香織の身体をお面の男達が嬲り始める。
 乳房を揉みしだいた男が
『ふぇー、柔らけー。それにスッゲー大きさ!手に余るぜ。ほら』
 そう言いながら、香織の胸をグニグニと力任せに握りまくる。
(おいおい…こいつら、声まで変えてやがる…それに、間違えなく、香織を狙ってた)
 画面は、廃工場に着いたようだ、工場の中から車の扉を撮っている。

 妙に明るい所から察すると、何処かの工場区画で、周りはまだ動いているようだ。
 スライドドアが開いて、両脇を男達に抱えられ香織が降ろされて来た。
 工場の扉を潜る時、香織は急に頭を持ち上げ右の男の足の甲を思いっきり踏み抜き、自由になった右手で左側の男の目を平手で打つ。
 そのままダッシュを決めて、逃げ出した。
 ここから先は、サンプルの映像で知っているが、俺は思わず[良し]と言ってしまった。

 ブラウスを引き裂かれた時に、カメラを持つ奴が
『あんまり手荒にひんむいちゃうと、計画が狂うわよ』
(女言葉?オカマか?いや、明らかに今のは、女の言い回しだった。このグループには、女もいるのか?何だ?何のため…)
 考えたが解らなかった…。
 俺の意識は、香織の苦鳴で、再びパソコンに向けられた。
 巻き戻してみると、追いついた奴が香織に蹴りを入れていた。
『そこら辺で止めろ。油断したお前達が悪いんだろうが…。最初に言ってただろ、気が強いって』
 どうやら、この大柄な男がリーダー格らしい。
『でもピーさん。こいつ無茶苦茶ムカつくっす!まさか最初から目に来るなんて…』
『おい、こら!カメラが回ってる時、名前を呼ぶんじゃねー』
(今、名前にピー音入ってたな。只の素人じゃないのか?)
 もう一人の男は、足を引き摺ってフレームインして来た。
(当たり前か。俺が教えたんだ、それぐらいの威力は有る)
 香織は、地面に蹲り激しく咳き込んでいる。

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