走狗
MIN:作

■ 第1章 出来事4

 しかし、一呼吸付いたのか、カメラに視線を向けると
『あなた達何者?私の兄は警察官よ、こんな事して只で済むと思わないで!』
 凜とした声で、暴行者達に告げた。
『はい、はい、知ってますよ〜。そのお兄さんも、アメリカじゃどうしようも無いもんね〜』
 目を打たれた男が戯けながら言う。
『な、何でそんな事を…』
 香織は、驚きを隠せずに、後ろに下がりながら言った。
『駄目駄目。逃げられないわよ…』
 そう言うと、目出し帽を被った、小柄な黒服が香織の後ろに立ち逃げ道を塞ぐ。
(こいつも、女か…。男3に女2のグループ…。一体こいつら、何のつもりだ)
 しかし、その疑問は次の会話で直ぐに解った。
『俺たち仲良し鬼畜クラブで〜す。叶香織さんは、僕達のオモチャに選ばれました』
 大柄な男が、ドスを効かせ戯けながら威圧する。
『香織ちゃんはね、ただ泣いて許しを請うて、壊れて行けば良いの…貴女の人生を、無茶苦茶にするのが、私の希望』
 カメラを持った女が、嬉しそうに言う。
『えっ…!貴女その声…。ぎぃー』
 香織がカメラの女の正体に気が付き、名前を呼ぼうとしたその時、女はスタンガンを香織に突きつけた。
『良い!カメラが回ってる時に名前を呼んだら、きつーいお仕置きをするからね!解った!』
 声を荒げながら、何度も何度も香織の身体をスタンガンで突き刺す。

 香織は、意味を成さない苦鳴を上げながら、床の上をゴロゴロと転がる。
『ふんっ!香織。このまま、制服のままで転がると、ドロドロになるわよ。まだ綺麗な内に、脱いだ方が良いんじゃない?』
 カメラの女が、香織に服を脱ぐ事を勧めた。
『な、何で!私が、何で服を脱がなきゃいけないのよ!』
 香織が当然のごとく食って掛かる。
 カメラの女は、また香織をスタンガンで突くと
『あら。貴女がこんな目に合ってるのを、あの綺麗なお姉さんが知ったら、警察に通報しちゃうわね』
 カメラの女が当然の事を言う。

 カメラに映っている香織も頷いた。
『それって、私達都合悪いわね〜。じゃぁ、どうしようか?み・ん・な』
 カメラの女の質問に、大柄の男が答える。
『姉ちゃんも一緒にやっちゃえば良いんだよ。そうすりゃ、絶対に俺たちの事、口に出来ないぜ』
 低く薄笑いを浮かべながら、言った。
『香織ちゃんは、それで良いの?お兄さんのお嫁さんを、巻き込んでも構わないなら、脱がなくて良いわ。される事は一緒だから』
 高笑いして香織を、嬲る。

 唇を噛んで睨み付ける、香織をまたスタンガンが襲う。
 悲鳴を上げて転がる香織。
 近づいて来た香織を、足の甲を蹴られた男が蹴る。
 サッカーボールのように、蹴られた香織は反対側に転がる。
 すると、大柄な男の足下に転がり、また蹴り飛ばされる。

 頭をカメラの女に向け、仰向けに倒れた香織の顔を真上からカメラで捉え、靴で踏み付けながら
『ほら、また汚れちゃった。どうする、脱ぐの?脱がないの?』
 グリグリ足を捻りながら、体重を乗せ聞いてくる。
 苦痛に歪む香織の表情を、舐めるようにアップで捉える。
『脱ぐ…脱ぐから…止めて…』
 香織が痛みに屈服して、答えた。

 足をどけ、頭の天辺を爪先で蹴りながら
『最初から言う事を聞けば良いのよ…少しは、優しくして貰えるかもよ…フフフッ』
 頭を抱えた香織に、笑いながら告げるが、こいつらにそんな気がないのは明らかだった。
 香織はモソモソと制服を脱いで行く、脱いだ制服を胸に抱え、下着姿で立つ。
 周りを回りながら、その姿を上から下まで移動する画像が、パソコンのモニターで揺れている。
 そして、悔しげに唇を噛む香織のアップで止まる。

 目出し帽の女に畳んだ制服を奪われ、下着姿を抱きしめて小さく成る香織。
 そんな香織とカメラの間を、ヒラリヒラリと棒状のスタンガンが左右に揺れて行き来する。
『良い?これからルールを教えて上げるね…このルールを守らなかったら、貴女のお姉さんにも参加して貰うからね』
 どうやらカメラの女は、スタンガンをちらつかせ、香織にルールを押しつけるつもりらしい。
『このルールを守れば、多少の反抗はしても構わないわ…その代わりその後の罰も受けて貰うけどね…』
 そう言って一度、スタンガンを香織の乳房に押しつける。
『一つ目は、知り合いの誰にもこれを知られない、言わない、気づかせない。解った?』
 香織は、コクンと頷く。
『二つ目は、私達の呼び出しには、どんな時間でも、どんな所でも、どんな用事があっても絶対に応える事。解った?』
 これにも香織は頷いた。
『三つ目は、カメラが回っている時は、私達の名前は絶対に呼ばない事、そうねご主人様で統一するわね。解った?』
 香織は悔しさに顔をゆがめながら、頷いた。
『さあ、ルールも教えた事だし、これで新しいオモチャが出来たわよ。存分に遊んで上げて…』
 そう言いながら四人が代わる代わる、モニターの右から左へ流れて行く。

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