走狗
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■ 第1章 出来事22

 香織の顔は、壮絶だった、凄惨の一言に尽きる。
 頭髪は、全てそり落とされ、眉毛も睫毛さえなく、大きく見開かれたままの瞼は、上下とも真っ赤に腫れ上がり、その奥に充血した目が動いている。
 その顔の真ん中を一本の紐がとおり、鼻の穴を吊り上げる金具に繋がっていた。
 香織は、カメラの女に口を開けるよう指示され、閉じていた唇を開くと中から舌が現れる。
 しかしそれは、既に舌と呼べる代物ではなかった。
 3日前床に、クギで縫い止められた穴には、直径5p、太さ3o程の銀色のリングが嵌められ、リングの両側に2つずつ計4個のピアスが貫き、舌全体はどす黒く変色している。
 ダラリと垂れ下がった舌は、顎の辺りでリングの重みのため、ブラブラと揺れていた。
 そしてカメラは、香織の頭を後ろ斜め上方から映す。
 そこには、頭頂から後頭部に掛けて大きく、逆さまに[玩具]と入れ墨されている。

 場面は変わり、コンクリート剥き出しの、何処かの地下室のような場所。
 其処には、3日前連れ去られた時の香織が正座し、それを取り囲むように3人の男達が立っている。
『さっきは、又生意気な事を言ったわね…。約束ですって…?酷いですって…?貴女。何?まだ、人のつもりなの?』
 そう言って香織を鞭打つ。
『そ、そんな…。でも、お姉ちゃんは…』
 香織が怯えながら抗議する。
『まだ、そんな事を…。良いわ…、徹底的に教えて上げる…。お前はオモチャで、人じゃない…。私達の命令には絶対服従。反論はもちろん、躊躇すら許されない存在だって言う事を、教えて上げる。徹底的にね…』
 カメラの女はそう言って立ち上がると、文字通り徹底的に香織を嬲りだした。

 先ず香織に首輪を着けると、鼻枷を着けて引き上げ、口から舌を引き出し、リングを取り付けた。
 そして、そのリングに鎖を取り付け、香織を引きずり回す。
『こんな生意気な舌は、要らないわね…。そうだ…人じゃないんだから、味覚なんて要らないわね。貴男達これから煙草は、此処で消しなさい』
 そう言って、香織の舌を指差す。
 男達は、次々に吸っていた煙草を香織の舌で消しだした。
 こうして香織に対する、教育という名の拷問が始まった。
 大きく足を開いて、固定されクリトリスの包皮を毛抜きで摘み、爪切りで切り取り、あの黒い薬を塗られる。
 頭をカミソリで剃られ、眉毛と睫毛を抜かれ、瞼に瞬間接着剤を塗られた香織は、目を見開いたままにされる。
 目が乾くと訴えれば、それを潤すのは、唾液か小便だった。
 目を瞑る事も、眠る事も出来ず、陵辱者がいない時には、後ろ手に拘束され、舌の鎖を天井に繋がれ放置される。

 舌、ラビア、クリトリス、乳首に笑いながらピアスを付け、[感謝の言葉は!]と強要し、服従させる。
 涼子が部屋でカメラに向かい、必死に頼んでいる映像を見せながら、アナルとオ○ンコを犯し、[お前もなじれよ]と命令する。
 仮面の女に[叫んだり、逃げたりしちゃ駄目。笑いなさい]と言われながら、右の乳房に針を刺されて、引きつった笑みを浮かべる。
 そして、言う事を聞かない時は、容赦なく爪を剥がされてゆく。
 香織の目は、常に涙を湛え、乾きを潤し、雑菌に冒され、ものもらいに成っていた。
 2日目の最後に、カメラの女が香織に質問する。
『自分の立場が解った?』
 香織はその質問に
『はひ、ごひゅひんはまの、ほもひゃれふ』
 舌を長く垂らして答える。
 その答えを言った時の香織は、舌を鎖でクリトリスのリングに直結され、大柄な男に騎乗位で犯されながら、笑っていた。
『じゃぁ、今からお前の身分を、頭に書いて上げるね』
 そう言いながら俯せに押し倒すと、男の一人に入れ墨をさせた。
 こうして、丸2日を掛けて香織の身体は、人では無く成って行った。

 そして、3日目の昼、仮面の女が趣向を凝らし縄掛けしていると、カメラの女が
『ねぇ、電線で巻いて上げてよ…』
 何やら考えながら言い出した。
『えーっ、でも電線は、長時間持たないし。延びないから難しいのよね…』
 仮面の女が不服そうに言う。
『でも、電線の方が辛いんでしょ…』
 カメラの女が、意に介さず聞いてくる。
『そりゃ数倍辛いわよ…。でも、縛る方も辛いのよ…』
 仮面の女の返事に、カメラの女は
『じゃぁ、お願いね…。礼は、倍出すからさ…』
 そう押し切った。
 こうして、香織の電線縛りが始まった。
 画面の端には、裸で正座する涼子の哀願シーンを大笑いしている鬼畜共が映っていた。
 そして、電話で涼子に命令する、カメラの女の声。
 それを受けて、オナニーショーを展開する、涼子を馬鹿笑いする。
 こうして、涼子は香織の飾り付けが終わるまで、待たされていたのだ。

 場面は戻って、俺のマンションのリビング。
 憎悪に燃える涼子の表情と、惨めな身体を晒し終えた香織、その横に佇むカメラの女に切り替わる。
 仮面の女が言ったように、香織は本当に辛そうだった。
 ギリギリと絞られた、乳房は既に赤黒く鬱血し、名札からは血が滲んでいる。
 はあ、はあと浅く早い呼吸は、身体中を締め上げる、苦痛のためだろう。
『涼子ちゃん…。そんな目で、御主人様を見ちゃ駄目じゃない…。それに、随分と酷い事を言うのね…』
 カメラの女はそう言うと、右手を香織の鳩尾辺りにある、鎖を束ねた部分に持って行き、引っぱる。
 香織の身体に付けてある鈴が鳴り、香織が悲鳴を上げる。
 カメラの女の引く手に身体を反らせ、刺激を和らげようとするが、その動きで全身の電線が締め付け、更に苦鳴を漏らす。
『馬鹿ねー…。早く動くと辛いって、何度も言ってるのに…。あ〜ぁ…乳房もげちゃうよ…』
 仮面の女が小さく呟く。
 それを聞いて、涼子が血相を変え、慌てて詫びる。
『すいません!もう言いませんから…香織ちゃんの拘束を解いて上げて…』
 涼子の言葉を無視し、鎖を持ったまま、スタスタとソファーに戻る。
 それについて行く香織は、激痛に身体を震わせ、息も絶え絶えに成っている。
 俺は一度、映像を止め、これから起こるであろう陵辱を見るために、心の準備をした。
 そうでもしなければ、俺は大事な手掛かりごと、破壊してしまいそうに成っていた。

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