走狗
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■ 第1章 出来事27

 俺は、送られて来た最後のファイル、12本目をクリックする。
 案の定11本目の続きだった。
 涼子がピアスをされる事が決まった所から、映像は始まった。
『解ったってピアスは俺達がするから、やり方を決めてくれ…。普通に順番通りに空けていくのか?』
 大柄な男が、カメラの女を後ろから抱き竦め、聞いている。
『やっ!そんなのつまんない!もっと、2人を虐めるのが良いの!』
 完全に駄々っ子状態に成った、カメラの女の言葉に、顔を見合わせる4人。
 仮面のため、笑っているのか、辟易しているのかこの時点で解らなかったが、次のこいつらの言葉で前者だと解った。
『じゃぁ…。香織に決めさせるのはどうだ?』
 男の一人が言うと
『駄目駄目、それじゃ只の順番決めじゃん…。何かさー、もっとこう、ぐっと来る奴じゃなきゃ』
 もう一人の男が、否定する。
『じゃぁー、香織ンに空けさせたらどう?義理の姉にピアスをするって、倒錯的じゃない…』
 仮面の女が言うと
『えー!それじゃ俺達出番無しじゃん…』
 また、男が否定する。
『何かよぉ…。香織を虐めて、涼子にもダメージの当たるもんにしてーな…』
 大柄な男がぼそりと言う。
 4人は腕組みし、考え込む。

 すると、さっきまで否定ばかりしていた男が、
『ダーツ…』
 ぼそりと呟いた。
 そして、自分の思いついた事を話し出す。
『あのよー…香織を的にして、ダーツで決めるってのはどう?』
 男の一言に、皆が食いついた。
 そして、決まったルールが酷い物だった。

 香織をX字に吊り、一人がワンセットの矢を投げ、当たった所のピアスに近い者が、涼子のピアスを空ける。
 そして、空ける場所が決まるまでは、涼子には香織の前に座らせ、刺さった矢を回収させる。
 決まらなかった所は、決まるまで何周もする。
 それが、涼子のピアス空けの儀式になった。
 決まった事を、カメラの女に告げようと4人が探すと、リビングに居なかった。
 4人は今の話を聞いていて、項垂れた涼子達に聞いている。
『先程トイレの方に、行かれました…』
 涼子が右手を挙げて、トイレを指し示しながら言う。
 仮面の女がトイレで吐いていた、カメラの女を連れてくる。
 決まったルールを話すと、OKを貰い準備に掛かる。

 香織は、X字に吊られ、目には分厚い革製の眼帯をされ、首にもコルセットのような保護帯を巻かれた。
 保護帯は、顎下まで来る物で、舌を引き出された後、ベルトを頭上で止める。
 これで香織は、顎を開く事が出来なくなった。
 順番は、香織に入れ墨を入れた男、カメラの女、これを提案した男、大柄な男、仮面の女に成った。
 香織の方を向いて1.5m程手前で正座する涼子。
 準備が整い、儀式が始まった。
 男の一人がダーツを投げる。
 右の乳房、乳首の5〜6p程の所に一旦刺さり、落ちる。
 香織は、舌をびろんと波打たたせる。
『ありゃ?弱かったか…。弾力を考えなきゃな…』
 ブツブツ言いながら、2投目に入った。

 男は、さっきより強めに投げると、同じような所に刺さり、今度は落ちてこず、ぶら下がっていた。
『何だよ、みっともねー。男だったらきっちり立てろよな…』
 大柄な男が揶揄すると、男は意地になって、振りかぶって投げつけた。
 矢は、大きく外れ肩口に突き刺さった。
 香織の舌は、鼻の頭を舐める程大きく動き、苦痛の度合いを示す。
 涼子は、素早く香織の足下に這い寄ると、落ちた矢を拾い、乳房の矢を取って、肩口の矢を引き抜いた。
 その三本を咥えて、次の投擲者の足下に進み、平伏して矢を口から外して、手で捧げ持った。

 カメラの女は、矢を受け取ろうと、前屈みになった瞬間、涼子の捧げ持った手に嘔吐した。
 吐瀉物は、涼子の手を伝い、頭から全身にまき散らされた。
 表情を曇らせ、悲しげな顔に成る以外、涼子の動きはなかった。
 ジッと動かずにいる涼子の頭を、カメラの女が踏み付け
『何ボーッとしてるのよ…。ゲロまみれじゃない!早く綺麗にしなさい!』
 怒鳴りながら体重を掛け踏みにじる。
 涼子は、床に舌を這わせ、カメラの女の吐瀉物を舐め始める。
 吐いた人間に、ダーツを捧げ持ち、頭を踏み付けられながら…。

 殆どの吐瀉物を口に納めた涼子に、カメラの女が更に言葉を投げつける。
『そんなゲロまみれのダーツを差し出すなんて、随分じゃないの…。それも綺麗にするのが当然でしょ』
 頭をゴンゴンと踏み付け、床にぶつけながら、カメラの女が涼子に言った。
 涼子は、[気付かずに、申し訳御座いません]と言いながら、床の吐瀉物を舐め上げた後、ダーツを口に含んで清める。
 先端を口に含んだ時に、その手をカメラの女が蹴り込んだ。
 涼子の頬から、3本の鋭い針が生えて来た。
 言うまでも無い、ダーツの針が涼子の頬を口の中から突き破ったのだ。
 その様を見て、哄笑を始めるカメラの女。
 痛みを堪え、ダーツを引き抜き、差し出す涼子。

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