走狗
MIN:作

■ 第2章 猟(かり)14

 俺は、2人に向かって、笑いながら
「和美は、今日何をされたか知ってるな…。そう鬼畜の子供を堕ろした。千恵は、何をされたか教えてやろうか?言ってやれよ」
 そう言いながら、俺は千恵を足で小突く。
 千恵は、泣きながら尻を床に付くと、大きく足を開いてオ○ンコを晒し
「ここに、あのバイブを…差し込まれました…」
 5m程先に落ちている、極太バイブを指差し、項垂れ泣きながら告げた。
「お前のオ○ンコどうなったか、教えてやれよ…」
 俺がまた足で小突くと、ビクッと震え、涙に濡れた顔を正二に向けて
「上も下も裂けました…。全部あんたのせいよ…、その後凄く痛い薬を塗られたわ…。私死ぬかと思ったわよ…」
 抑揚のない声、棒読みの台詞、俺はこのままでは、使えない事を痛感した。
 俺は、それを誤魔化すために、千恵に怒鳴る。
「びーびー喚くんじゃねー!お前はこれから、もっと悲惨な目に会うんだからな!」
 そう言いながら千恵を引き倒し、顔を踏み付ける。
 千恵は、俺の足の下で涙を流す。

 正二は、顔を真っ赤にさせながら、鎖を鳴らし足をばたつかせ
「このやろー!ぶっ殺してやる!てめー俺と勝負しろー!」
 怒鳴りながら、泣いている。
(ククク結構効いたみたいだな、もっと歯ぎしりさせてやる)
 俺がそう思いながら、次の言葉を話そうとすると、俺の携帯が鳴りだした。
 俺は直ぐに、確認をする。
 見覚えのない番号に、直ぐにピンと来た。

 俺は、スタンガンを当て正二を黙らせると、携帯を受け、足早に遠ざかる。
「はい。モシモシ全日本ツーリストです」
 俺は、精一杯愛想の良い声で、電話に出た。
『もしもし、私西川と言う者ですが…。今日ねお宅の、封書が送られて来て、新企画のトラベルアドバイザー募集って入ってたんですよ…』
 電話の主は西川守だ、由木が送った封書を見たのだろう。
「はい、少々お待ち下さい只今確認いたします」
 そう言って俺は数秒待ち、又話し出す。
「あっ、西川様…。西川守様で宜しいでしょうか…」
 俺の質問に西川は[そうです]と答える。
「お問い合わせの件はですね。今度、私どもで計画する5人家族向けの企画の、アドバイザー募集で御座います。これは、旅行に来て頂いて、どのプランが良かった、悪かった又は新しいご要望などを企画の参考にさせて頂くと言った趣旨の物です」
 俺の説明に、西川は
『はー…そう言う事ですか…。それって費用は幾ら程掛かるモノ何ですか?』
 話しに食い付いて来た。
「費用ですか…えーと、私の説明不足のようで申し訳ございません。こちらは、アドバイザー募集なので旅行費用、宿代、食費は掛かりません。オプションについても全て、体験して頂くと言う以外の条件は、御座いません。有益なアドバイスを頂いた場合、こちらからボーナスをお支払いする事は有っても、西川様から頂く事は御座いません。只、当日にキャンセルされると、コースなどの違約金が発生しますので、そちらはご負担願います」
 俺の話に、西川は興奮を隠せないで居る。
『えっ…ちょっと待って下さい、タダ…ですか。旅行に行って、食事して、オプションをやって、温泉入ってお金は払わないって事ですか…?何でそんな話が私の所に…』
 西川の疑問に、俺は尤もらしい言い訳を話す。
「西川様の所にお話が行ったのは、恐らく西川様のご旅行回数だと思われます。このような企画は、著名人を対象とした物は良く行われますが、実際は一般のお客様とかけ離れた意見をお出しに成られる方が多くて…。それで旅行を楽しんで居られる、西川様が選ばれたのと、アンケート結果が適合していたのが、理由だと思われます」
 俺の回答に、西川が疑問を挟む。
『アンケート結果…、ですか…?それは、どう言った物なんでしょうか?』
 そこに引っ掛かったか、と俺はほくそ笑む。
「はい、今回。対象が5人家族で、旅行を知っている方、温泉を好まれる方、エステやマッサージに興味を持っている方、それと食事に詳しい方の5項目に当てはまった方に封書を送らせて頂いております」
 俺の言葉に、西川はポツリと呟く。
『あっ…全部当てはまってる…。それって、場所は決まってるんですよね』
 俺は西川の言葉に、
「はい、封書内にも御座いました通り、那須温泉です。ただ、今回。出発日が明日の12時に成って居りますので、如何でしょうか…」
 俺がクレームを付けそうな所を先に指摘し、その理由を話す。
「実は、前回の応募の方が、当日キャンセルをされまして…。この時期しか開いて居なかった物ですから…。あっ、少々お待ち下さい…」
 俺は、携帯を少し放して、芝居を打つ。
「えー?そっち決まりそう!こっちも悩んでる最中…。話し、伸ばしてよ〜。お前、この間キャンセルさせただろー」
 そう言って電話を戻し
「西川さん危ないです…。同僚が話を決めちゃいそうです。ここで断ると、後5年はこの手の話しが行かなくなりますよ…。どうします?」
 俺は、西川を焦らせる。

 そして西川は、俺にこう言った。
『本当にタダなんだよね!解った決める。行くよ!』
 俺は、心の中で[はい、ご愁傷様]と手を合わせた。
「そうですか有り難う御座います…。こっち先決…、はい…、西川様…、そう。話の途中で、すみません…。やりましたよ、西川様で決まりました。では、明日の12時、上野駅公園口にリムジンでお迎えに上がります。必ず5人で、お願い致します。一人でも掛けると違約金が発生しますので、ご了承下さい」
 俺の言葉に、西川が
『解りました…。でも、5人で行ったらこのオプション全てタダなんだよね…』
 念を押す西川に、丁寧にこちらも念を押す。
 電話を切って、準備が完了した。
 明日は、獲物が罠に入ってくるのが、楽しみだ。

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