走狗
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■ 第2章 猟(かり)24

 俺は、美加園との話を終え、覚悟を決めた和美の前に立つ。
「で…。取り敢えず、こいつは…どうすれば良いんだ」
 俺は、壊すと言ったが、和美の胸がどうすれば崩れるか、解らなかった。
「取り敢えず、その子の胸、殴ちゃいなさいよ。まだ、固着してないからお望み通りの形に成るわ」
 美加園があっさり、酷いことを言う。
 和美は、美加園の言葉を聞き、手を後ろに回し、出来上がったばかりの美乳を、俺に差し出した。
 俺は、和美に頷くと、乳房に拳を右・左とめり込ませる。
 和美は、低く2度呻いて踞る。
 直ぐに身体を起こした和美の乳房は、ひしゃげて醜く歪んでいた。
「ちゃんと出来たら、元通りに直してやる…」
 俺は、和美の頬を握って上を向かせ、そう言った後、更に和美の乳房を握りつぶして、形を変えた。
「有り難う御座います、御主人様。和美は絶対頑張ります」
 そう言って、涙を流す和美。
 その涙の意味は、苦痛なのか、後悔なのか、それとも服従なのか、俺には解らなかった。

 俺の服の袖をツンツンと引っ張り、美加園が呼びつける。
「面白い薬が有るんだけど…。試してみない…」
 そう言って、俺を妖しく見詰める。
「どんな薬だ…」
 俺は、美加園の表情が気に成って、思わず問い質した。
「うふふふっ…。上手く行けば、貴男が望んでるように成るわ…」
 美加園は、唇の端を吊り上げ笑う。
 俺は思わず、悪巧みだと直感したが、約束した手前使う事にした。
「じゃぁ、下準備としてその子も、こっちの子と同じようにして来て、私は薬を調合しておくから。そうね、40分で仕上げて来て」
 俺の耳元に、囁いた。

 俺は、良く意味が解らなかったが、ここは美加園の言う事に従ってやった。
 そうして、和美を連れて俺は、寝室に向かった。
 寝室でタップリ40分間、和美を狂わせると、千恵と同じ暗示を掛ける。
 木偶人形になった、和美を連れて、リビングに戻った。

 リビングでは、千恵の瞳にペンライトを当て、美加園が何かを、話しかけている。
 俺は、それを暫く見ていたが、こちらに気付きそうもないので、声を掛けた。
 美加園は、ビクッと震えて、俺を見詰め時計を見た。
「いや〜だ〜…。いつから居たのよ…、来たなら言ってよね〜」
 妙に焦って、何かを誤魔化そうとする。
 そして、コソコソとノートをまとめると、鞄に突っ込む。
 俺は、ツカツカと鞄に近寄り、有無を言わさずノートを奪い取った。

 そこには、千恵から聞き出した、俺のデータが書かれていた。
 しかも、SEXに付いての事が、80%を締めている。
「このデータは…何の役に立つんですか?…先生…」
 俺がノートを見ながら、静かに問い掛けると
「てへっ、パートナーとして、必要かなーと思って…」
 照れ笑いしながら、美加園が答えた。
 俺は、手に持ったノートを微塵に引き裂き、抹殺した。
「必要のない事はするな…。俺はお前の遊びに、付き合う気は一切無い…」
 背中を向けたまま、美加園に宣言した。
「わ、解ったわよ…。しません…、もうしませんから。…そんなに…怒らないでよ…」
 これが、美加園が本当の女なら悪い気もしないが、俺は男には一切興味がない。
 普通ならここで、叩き出すか、ぶち殺しているが、今の俺にはこいつの技術は必要不可欠だ、グッと我慢する。
「取り敢えず、この子の処置は終わったわ…。後は薬の切れる時間まで、余計な刺激を与えない事ね…。どっかのベッドで寝かせてあげて。私は、この子の処置をするから」
 そう言うと、そそくさと和美に近寄ってゆく。

 俺は、美加園を一睨みして、千恵を連れて出て行く。
 千恵を客間のベッドに横たえ、[眠れ]と指示すると、直ぐに目を閉じ眠りに落ちた。
 客間を出ると、急いでリビングに戻って、外から覗くと、美加園はまだ処置の最中だった。
 20分ほど監視していると、美加園がキョロキョロと辺りを見回し、鞄からノートを取り出し、和美の瞳にペンライトを当てだした。
「何してる…」
 俺がリビングの扉を開けると、美加園は文字通り飛び上がった。
「きゃー!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!もうしません!もうしません!」
 正座してノートを両手の平に挟み、土下座した頭の上で振っている。

 俺は、美加園の襟首を掴むと、引き摺りながら和美を従え客間に行き、和美を千恵と同じように寝かせ、地下に向かった。
 調教部屋の隅に美加園を放り投げると、俺は無言で牢に行き、安曇野親子と朝田を呼び出した。
 傷が癒えた安曇野は、相も変わらず、厳めしい面で俺を見据え、俺を威嚇する。
「良いか…。今度下らない事に手を出したら、次の相手はお前だ…。良く見ておけ」
 そう美加園に告げると
「掛かって来いよ…。3人まとめてだ…、俺に勝ったら、今すぐ解放してやる」
 3人に向かって言った。

 そして俺は朝のように、3人の体力を少しずつ、奪ってゆく。
 舞うように緩やかな動きで身体を動かし、時々コマ落としのように、俺の手足が消える。
 その度に、何処かでビシーッ、パン、ゴンと音がする。
 3人の動きは、次第に緩慢になり、ついには動きを止める。
 俺は、3人に[もう良いのか]と聞くと、3人とも何も言えず座り込んだ。
 俺は、牢に戻って良いと許可し、3人を戻す。
 そして、美加園に近づいて
「いつでも遊んでやるぞ…」
 抑揚を殺した声で、静かに言った。

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