走狗
MIN:作

■ 第3章 覚醒10

 俺は、千恵の身体を全身で抱き締め、身体全体を愛撫し
「千恵…。大丈夫だ…、怖くない…、ほら怖くない…」
 優しく囁き、頬や額にキスを降らせた。
 千恵は、徐々に恐怖感から戻り、子供のように啜り上げる。
「も…もう…もうしわげ…あでぃまぜん…ごじゅじんざま…」
 泣きながら、俺に必死に詫びる。
「良い…。大丈夫だ…、もう泣くな…」
 そう言いながら、首筋や唇にも、キスをする。
「ほら、笑え…。千恵は笑った顔が…、一番可愛い…」
 俺は、優しく千恵に言うと
「は…い…、ご主人様…」
 真っ赤になりながら、照れた笑いを俺に向ける。

 それを見ていた2人の表情は、明らかに物欲しそうだった。
 俺は、2人を見て
「どうした…何か言いたいのか…」
 質問した。
「いえ…何でも御座いません…」
 乙葉は、俯いて小声で言った。
 だが、和美は
「千恵ちゃん…。良いな…、ご主人様に…、ダッコされて…、キスされて…、優しい言葉…、いっぱい貰えて…」
 唇を尖らせながら、千恵に不満を言う。
(ふ〜ん…こいつら、こんな反応も出来るのか…これじゃ、全く違和感がない…)
 俺は、つくづく美加園の天才振りに呆れた。
 今、和美が示したのは、明らかに嫉妬、若しくは羨望だ。
 これは、絶対に自分の意志が確立していないと、出て来ない。
 欲求を持ったまま相手を洗脳し、服従させる薬、天才の為せる技だ。

 俺は、途端に機嫌が良くなって、和美に微笑んで、片手を差し出し
「おいで…。お前もよく働いた、褒美をやろう…」
 和美の要求を満たしてやる。
 千恵を放し、和美を抱いて、同じ事をしてやる。
 そして、俺は乙葉を見ると、笑えるほど心の動きが解るリアクションを取っている。
 先ず後悔に始まり、戒め、羨望、諦め、嫉妬、後悔を繰り返す。
 俺は、感情のループを示す、乙葉を見ながら和美を満足させた。
 和美が俺の身体から離れた瞬間、乙葉が顔を上げ、何かを言いそうに成った。
 俺は、それに被せるように、乙葉に向かって言った。
「主人に対する礼儀が出来ない奴が、要求するような真似は、するなよ…」
 乙葉は、俺の言葉にビクリと反応し、自分の行動を振り返り、意味を悟った。
「お前達は、自室に戻ってもう眠れ…。こいつはこれから、お仕置きだ…。主のモノを使ったのに、それに対して礼も示せない…」
 俺は、そう言って乙葉を見下ろす。
 乙葉は、平伏しながら震えだした。
 それを見た千恵と和美は、心配そうに乙葉を見て、俺に視線を向けると
「ご主人様、お休みなさいませ…。今日は、有り難う御座いました」
 深々と頭を下げて、部屋を出て行った。
 残された乙葉は、平伏した身体を震わせながら、泣いていた。
「なんだ…?何を泣いてる…」
 俺の言葉に乙葉は
「申し訳御座いません…。ご主人様に働いた、非礼はお詫びのしようも有りません…。奴隷が二度と…、二度と忘れないような…罰を与えて下さい…」
 涙で震える声で、俺に罰を求める。

 俺は、平伏する乙葉の横を無言で通り過ぎ、ベッドに身を投げた。
 乙葉は、俺が無言で通り過ぎたため、自分の存在を否定された気持ちになったのか、小刻みに震えだした。
「ご主人様…。罰を…、罰を与えて下さい…。お願いします…。ご命令を…、ご命令を、与えて下さい…」
 乙葉は、嗚咽の混じる声で、俺に哀願する。
 しかし、俺はそんな乙葉を無言で見詰める。
(こいつは、いつ気が付くかな…)
 俺は、さっきから、ずっとベッドを叩いて、横に来るように指示していた。
 乙葉は、尚も続く無言に、とうとう身悶えしながら、顔を上げる。
 そして、俺がベッドを、叩く仕草を確認した。
 乙葉は、最初意味を理解出来ず、呆然と俺を見詰める。
 そして、自分を指さした後、ベッドの上を恐る恐る指さした。
 俺が小さく頷くと、乙葉は顔をクシャクシャに歪め、泣きながらベッドに這い進んで来る。

 乙葉は、俺の横に正座すると何をして良いのか解らず、オロオロとしている。
 俺は、乙葉の腕を掴むと身体を引き寄せ、胸の上に頭を抱き
「今日は良くやった…。これぐらいの褒美を受け価値のある、働きだった…」
 頭を撫でながら、言ってやった。
 乙葉は、現金なもので直ぐに泣きやみ、ウットリとした表情を浮かべている。
 暫く、頭を撫でた後、俺は声のトーンを変え
「だが、その後の行為は、主人に対する態度では無かったな…」
 乙葉の身体が、ビクリと震える。
 俺の顔を恐る恐る、見る乙葉の表情は、怯え震えていた。

 俺は、リモコンを取りだし、乙葉にこう言った。
「俺は、今から眠る…。痛みと快感は、ランダムに変わる。お前は、俺の腕の中で耐えろ。今からお前は、俺の抱き枕だ、声を漏らす事も、身動きする事も、許さん…」
 そう言って乙葉を抱きしめ、スイッチを入れる。
 乙葉の身体に痛みが走り、快感が襲う、そして俺の抱擁で陶酔する。
 乙葉は、俺が起きる迄の約4時間を陶酔感に包まれながら、服従と隷属を強めていく。
 明日の朝の反応が楽しみだ、壊れていたらそれまでだが、それはそれで使い道を考えよう。

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