走狗
MIN:作

■ 第3章 覚醒11

 朝、目が覚めた時、俺の目の前には、乙葉の顔があった。
 その顔は、眠る前とは別人だった。
 元々整った目鼻立ちで、冷たい視線に、妖しいフェロモンを醸し出していた顔は、磨き上げられていた。
 表情全体に妖艶さが加わり、目の奥には強い意志と狂気が揺れ、凄艶と言える雰囲気を醸し出している。
 乙葉は、俺の目を真っ直ぐに見詰めると、更に喜悦の色を目の奥に浮かべるが、ピクリとも動かない。
 俺の命令を忠実に守っている。
 しかし薄く開いた、艶やかな唇から覗く白い歯は、小刻みに震えている。
 それでも、乙葉はその歯の音も立てまいと、舌を宛がい音を殺していた。
 俺は数分、乙葉を見詰め続けると、眉がピクリと動き、眉根にうっすら皺が寄る。
 どうやら刺激が、変わったようだ。
「乙葉…今は、どっちだ…」
 俺が、刺激を苦痛か快楽かと言う意味で、聞いた。
「は…い、ごしゅじんさま…ふくじゅうです…」
 掠れた声で、俺にやっと応えた。
「辛いか…」
 俺は、見詰めながら、乙葉に問い掛けた。
「いえ…、しあわせです…」
 乙葉は、喜色を目に浮かべ、俺に応える。

 俺は、その顔を見て、背筋に衝撃が走った。
 それは、今まで感じた事のない、得も言われぬ快感だった。
「乙葉、お前の禁止事項を解いてやる…。喋っても、動いても良いぞ」
 俺が乙葉に向かって告げると、真っ先に言った言葉は
「おはようございます…ごしゅじんさま…」
 だった。
(これが、サディストの快感か…?これが、その心か…?俺を満たす、これが…)
 乙葉の挨拶、仕草、目線、全ての物が、俺に支配される事を望む。
 1個の生命、存在、魂までもが、俺に預けられていると言う、気持ち。

 それを、どうしようが俺の自由という、快感。
 俺の脳を蕩かせ、痺れさせる。
 この一瞬が[乙葉]と言う奴隷と[良顕]と言うサディストが、生まれた時だった。
 俺は、リモコンのスイッチを切り、乙葉に立ち上がるように命じる。
 俺の言うまま、フラフラと身体をふらつかせながら、ベッドの上に立ち上がった。
 乙葉の身体は、ピンク色に染まり、うっすらと汗を纏い、ぬめるような艶を帯びていた。
「乙葉…。よく我慢したな…」
 俺がそう言うと
「乙葉は…、我慢はしておりません…。支配も…、服従も…、ご主人様の与えて下さる物は、全て同じです…。幸せでしか…有りません」
 乙葉は、恥ずかしそうに俯いて、俺に言った。

 俺は、そんな乙葉を抱き締めたくなり、手を伸ばして腕を掴んだ。
「あああぁぁっ〜っ…くはぁ〜っ」
 途端に乙葉は崩れ落ち、座り込んだ状態で、ガクガクと腰を震わせた。
 乙葉の座り込んだ、シーツの上に途端に、湿った輪が拡がって行く。
 俺は、驚きながら乙葉に
「どうした…」
 問い掛けた。
 乙葉は
「解りません…。ご主人様に…、触れれれたと…思った瞬間…。子宮の奥が…」
 真っ赤な顔に驚いた表情を浮かべ、俺に潤んだ瞳を向け首を振る。
(面白いな…こいつ…じゃぁ、こんなのは…どうだ…)
 俺は乙葉に向かって
「今まで、我慢できたんだ…。これも我慢してみろ…」
 そう言うと、乙葉を押し倒しオ○ンコに、チ○ポを突き立てると、優しく抱き締めキスをする。
 乙葉は、パニックを引き起こした。
「あーひゃーっ…く、ひーっ…が、が、が、ぎーーっ…」
 俺の胸の下で、乙葉は訳の解らない声を上げながら、小さく藻掻く。
 俺は、異変に気付き、直ぐに乙葉を放し、禁止を解いた。
「う、う〜っ…ひぐっ…ひぐっ…む、むりです…ご…しゅ…じん…さま…む…り…です…」
 乙葉は、途端に子供のように、泣き出した。

 俺は、抱き締めながら、乙葉を落ち着かせ、話を聞く。
「ご主人様…、無理です…。乙葉には、ご主人様を感じながら…、それを我慢する事なんて…、出来ません…。イクのは辛うじて…、我慢出来ますが…、ご主人様の存在を我慢するなんて…、乙葉には…、無理です…」
 泣きじゃくる、乙葉に俺は聞いた。
「昨晩の責めと、どちらが辛い…」
 俺の問いに、乙葉はハッキリと答える。
「昨日のと比べたら…。お尻を打たれるのと、拷問ぐらい違います!」
 俺は、乙葉の比喩が堪らなく愛おしいと感じた。
 俺は、この気丈な奴隷が、とても気に入ってしまった。

 黙って俺は、乙葉を抱き締めると
「好きなように感じろ…。好きなようにイッても良い…。お前は俺の奴隷だ…、俺の上で踊れ…」
 乙葉に優しく囁いた。
 乙葉は、俺の命令に従い、俺の上で妖しく身体をくねらせ、激しく果てていった。
 果てて崩れ落ちる乙葉を優しく撫でると、また起き上がり、身をくねらせる。
 俺が3度イク間に、乙葉は30を超える絶頂を迎えている。
 体力の限界まで使い果たした乙葉を、俺は上から降ろす。
 俺から離された乙葉は、気力を振り絞って這いずり、俺のチ○ポを咥えて、後始末をすると平伏し。
「ごしゅじんさま…ありがとうございました…」
 感謝を告げると、そのまま失神した。

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