走狗
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■ 第3章 覚醒22

 それは、俺のチ○ポが触れている、千佳の部位から如実に表れていた。
 俺が精を放つと、千佳は命令通り全て飲み干し、残滓を啜った。
 手を放して解放すると
「今晩…。ブザーが鳴った後…30秒…ですね…」
 千佳は、小さく俺に問い掛け、俺は[ああ]と答えた。
 時計を見ると、2時間48分時間内だった。
 俺は、今日の調教の終了を告げ、栄蔵と正輔に残るように言い、他の全員に牢へ戻るように指示した。

 すると、優葉が俺に向かって、擦り寄ってきた。
「お姉ちゃんは…。お姉ちゃんは、大丈夫なんですか?」
 乙葉を心配して、聞いてくる。
「乙葉か…。もうそろそろ、医者の許可も出るだろう…。危ない状況も有ったが、今は生きて居る」
 俺の返事に、優葉は一応安心し牢に戻る。
(お前の知っている、乙葉はもう居ないがな…。ふふふっ、対面を楽しみにしろ)
 俺は、優葉の後ろ姿を笑いながら見送った。
 恐らくその笑顔は、とても邪悪だったろう。

 俺は、牢の扉を閉め、栄蔵と正輔を伴い、1階に上がった。
 階段を上がると、俺はそのまま2人を処置室に連れて行く。
 処置室では、美加園が恐ろしげな工具を出し、準備していた。
「あら、良ちゃんお帰り…。準備できてるわよ…」
 美加園は、妖しい微笑みを浮かべ、俺達を招き入れる。
 俺は、こいつのこの微笑みに成れているが、案の定2人は後ずさった。
 ヤクザとトラック運転手を、微笑みだけで、たじろがせるのは、こいつぐらいだろう。
 2人は、処置室に運ばれていた固定用のベッドに寝かせられると、身体の自由を奪われた。
 これで、俺がここに居る必要は無い。
 こいつらは、美加園のモルモットに、いや、患者になった。
 痛みに耐えるのは、馬鹿な事をした報いだ。

 処置室を出た俺は、キッチンに向かう。
 キッチンでは、俺の帰りを全裸の乙葉が迎えた。
「ご主人様、お疲れ様でした。お食事の用意は、整っております。後は暖めるだけにしてます」
 俺にペコリと頭を下げ、乙葉が言った。
 俺は、時計を見ると17:03だった、俺は乙葉を地下に戻す事にした。
 全裸で待っていた所を見ると、乙葉もその積もりだったんだろう。
 キッチンのテーブルの上には、綺麗に畳んだメイド服も置かれていた。
 そのまま俺はUターンして、牢に向かう。
 途中、玄関ホールで2階から、栄蔵の雄叫びのような悲鳴が聞こえた。
 俺は、それを鼻で笑うと地下に降りて、牢の扉を開けた。

 扉を潜ると今度は、殆ど怯えた表情を浮かべる。
 怯えていないのは忠雄と正一、それと驚いた事に、千佳だった。
 俺は、千佳に目線を合わせて微笑むと、千佳は慌てて目線を外し俯く。
 俺の後に項垂れて入って来た乙葉に、優葉が声を掛ける。
「お姉ちゃん!大丈夫!」
 鉄格子にしがみ付いて、優葉が叫んだ。
 乙葉は、優葉に視線を向けると、コクンと顎を引き頷く。
 守がフラフラと立ち上がり、優葉に
「大丈夫か…」
 声を掛ける。
(何で、こんな奴らから、乙葉や優葉が出来たのか…?不思議だ…)
 そんな疑問を乙葉が思いも掛けない言葉で、解いてくれた。
「叔父さん、叔母さん…。もう、親子の振りはしないで良いわ…。私も貴方達の言う事を聞く気は、二度と無いし…。倒れた時に解ったの…。貴方達は、私達の事なんか、これっぽっちも心配していないって…」
 乙葉は、恐ろしく冷ややかな目で、2人を見下ろして言った。
 その声を聞いて、守が鼻白み、悦子が真っ赤な顔で捲し立てる。
「乙葉!今まで、育てて貰った恩を忘れたのかい!この恩知らず」
 乙葉は、悦子に向かい
「あら。私は、姉妹揃って貴方達には、3億円近いお金を渡している筈よ…。育てたなんて言うんだったら、今すぐ返しなさいよ」
 冷たい目線と激しい言葉で、貫いた。

 俺は、素早く4人のスピーカーマイクに連絡を入れる。
「忠雄…。お前は、全員を集めて、乙葉の過去を聞き出せ」
「乙葉。お前は、忠雄に求められるまま、過去の話をしろ」
「和美、お前は、千恵と一緒に話を聞く雰囲気を作れ」
 俺は、指示を出し、4人に目配せする。
 4人は、それぞれのタイミングで、俺の目を見て頷いた。
 俺は、スッと手を上げると、乙葉の頬を張り
「どんな理由が有るか知らんが、俺の前で木偶同士の争いは認めん…。後でしろ」
 そう言って睨み付ける。

 乙葉は、俺をキッとした表情で睨み付け
「解ったわよ…後にするわ…」
 俯きながら言った。
(乙葉…。芝居するなら、ちゃんとしろ…。目を潤ませるな…)
 俺に頬を打たれた瞬間、乙葉の目は見事に濡れていた。
 俺は、そんな乙葉を離すと、踵を返して牢を出て、そのままコントロールルームに、入って行く。
 モニターを覗き込み、マイクの感度をギリギリまで上げる。
 忠雄が立ち上がり、乙葉に話しかける。
 それに対して、乙葉が俯いて頷く。
 そして、乙葉の過去、西川家の秘密が語られ始めた。

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