走狗
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■ 第4章 狂宴33

 レースの1位に対する褒美は、終わった。
 次は、2位グループだ。
 俺は、忠雄に向き直ると
「2位には、精々一晩の自由ぐらいだな…。さあ、お前の望みは…何だ?」
 忠雄はニヤリと笑い。
「それなら。一晩、部屋を貸して、貰え無いですかね?」
 そう言うと、俺に向かって頷いた。
「ああ…構わないが、同じチームの者だったら、相手の承諾も必要だぞ…」
 俺は、忠雄に向かい、適当に作ったルールを言った。
「ええ、解ってます…。相手も、恐らく断りはしない筈ですから…」
 忠雄は、自信たっぷりに笑って言った。
 その話を聞いていた、秋美はソワソワと笑顔で前に進み、夏恵は悲しい顔をして俯いた。
 忠雄は、チームメイトに、手を差し出し
「夏恵…。今晩一緒に、居ないか…」
 笑顔で夏恵に手を差し出す。

 2人は、驚きの表情を同時に浮かべ、夏恵は笑顔に、秋美は泣き顔にそれぞれ変わった。
 夏恵は、差し出された手を真っ赤な顔で、モジモジしながらそっと握り、秋美は[何で]と呟きながら泣き崩れた。
 俺は、夏恵に対して
「それで良いのか?」
 気持ちを確かめると
「はい…。忠雄さんと過ごせるように…。お願いします…」
 俯きながら、了承した。

 頬を赤く染めながら俯く夏恵は、まさか今晩、忠雄の手で徹底的に調教されるとは、思っても居ない。
 そして、真っ赤な顔で、忠雄を睨み付けた秋美は
「じゃぁ…。私は、貴男と過ごさせてよ!」
 そのままの顔で、今度は、俺を睨み付けながら言った。
「ふっ…。悪いが、俺は先約がある…。お前の嗜好を満たせる適任者が、そこに居るじゃないか…」
 俺は、秋美の依頼を断り、乙葉を指さした。
 乙葉は、凍り付く目線で秋美を射抜く。
 途端に秋美は、竦み上がり
「お、女同士なんて…」
 顔を背け口ごもると、乙葉が声を被せる。
「どうするの?」
 静かな、それで居て有無を言わせない口調に、ビクリと震え、秋美の身体が動けなくなる。
 背けた顔をユックリ乙葉に向けると、もう秋美に抵抗は出来なかった。
 まさに蛇に睨まれた、蛙のように脂汗を垂らし、コクンと頷いていた。

 俺は、秋美に再度質問する。
「お前は今夜、誰と過ごしたいんだ…」
 秋美は俺の質問に、乙葉の視線に射抜かれたまま、掠れた声で
「あ、あの…乙葉さ…ん…乙葉様と…お願いします…」
 俺に告げた。
 俺は、ニヤリと笑い、乙葉に命じた。
「乙葉。こいつを、一晩可愛がってやれ…」
 乙葉は、俺の命令に、ニッコリと笑い
「はい。ご主人様、仰せの通りに…。徹底的で宜しいですね」
 前半を俺、後半は、表情を戻して、秋美を見ながら答えた。
 秋美の身体が、ブルブルと震える。
 恐らく股間は、大洪水に成ってるだろう。

 俺は、続いてリタイヤした2チームに視線を向ける。
「お前達には、当然罰を与える…。但し罪人には、罰は与えない…」
 俺は、そう言うと絵美と響子、千恵と和美に分け
「お前達2人に、選ばせてやる…。どちらかを選べ…」
 すると、正二と泰介が、母親を選んで指を差す。
「良し…。お前達は、母親を選んだ…。必然罪が重くなるのは…。婚約者だ…」
 俺の言葉に、項垂れる千恵と和美。
「ま、待ってくれ…俺達はそんなつもりは…」
 抗議しようとする、正二と泰介の言葉に
「じゃぁ、母親に重い罰を受けさせるんだな!」
 俺は、言葉を被せた。
 俺の言葉を受けて、口ごもる2人。

 そんな2人に、背中を向けて、俺は全員に話をする。
「今日の調教は、これで終了だ…。馬役の体力も限界に近い…。後は休め…」
 そして、勝者に向き直ると
「お前達は、今から、自由時間だ。部屋をあてがってやる。それと特別に、食事を与えてやろう…」
 ニッコリと笑い、労をねぎらってやる。
 勝者は喜び、敗者は項垂れた。
 寒い地下牢に戻る者と、暖かい個室をあてがわれる者との、明暗がハッキリと付いた。

 玄関ホールに着いて、階段を降りて地下牢に帰ろうとする、絵美と響子に
「お前達は、地下に降りなくて良い…」
 俺が引き留める。
 2人は、ギクリと動きを止め、俺の方を恐る恐る振り返る。
 俺は、そんな2人に、満面の笑みを向け手招きする。
 2人は、項垂れながら、俺の元へと歩き出す。
 男達も誰一人、俺に抗議の声を上げる事無く、諦めの表情を見せ、階段を下りていった。
 俺は、牢の中に、4人の男を入れると、1階に戻る。

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