走狗
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■ 第5章 走狗2

 呆然とする志緒理、呆れる俺。
 志緒理の中で、ガラガラと音を立てて、20年を越える月日が崩れ落ちて行く。
「もう良い…。お前に本物の、奴隷の反応を見せてやろう…」
 俺は、そう言うと志緒理を連れて廊下に出て、リビングに向かった。
「今から、俺の奴隷達を呼んでやろう」
 そう言うと俺は、スピーカーマイクのスイッチを入れ、千佳と乙葉に指示した。
「今すぐリビングに集合しろ」
 俺は、指示するだけして、返事も待たずにスイッチを切った。
 リビングで、俺はソファーに座り、志緒理は俺の横に正座をしながら、項垂れている。

 俺が連絡を入れて、数秒経つと2階で扉が激しく閉まる音がして、パタパタと走る音と声が聞こえる。
「早く!早くしなさい!もう!何やってんのよ!愚図!」
「ひゃい!ひゅひはへん!」
 千佳と千春が激しい息づかいで、リビングに近づく。
「はあっ、も、申し訳…御座いま…せん…遅く、な…り…ました…」
 千佳は、息を整えながら、俺の前に現れ、その少し後に千春も現れた。
「や、やった!一番…乗り…。間に合った〜っ」
 千佳は、リビングに誰も居ないのを確認して、中に入って満面の笑みで平伏し
「ご主人様、参りました」
 元気に言った。

 俺は、志緒理に
「俺に服従する、奴隷の1匹…。千佳だ…」
 千佳を紹介した。
 志緒理は、黙って千佳を見詰め、頷いた。
「千佳こっちへ来い…。志緒理見ていろ、これが奴隷だ」
 そう言うと俺は、千佳の手を取り、いきなり抱き締めキスをする。
「ひゃうん…あん…。ああぁううんふんぅ〜ん…んんんんーーーっ」
 千佳は、俺の腕に抱かれ、快感を高め、キスをするとアッという間に、絶頂を迎える。
 俺の腕の中で、数秒と待たずに、絶頂を迎えた少女を驚きの目で見詰める志緒理。
 千佳は、不意の俺の攻撃に、ヘロヘロに成って
「ご、ごしゅじん…さま…すみま…せん…。ちか…こころの…じゅんび…できて…なかったから…がまんできなかった…」
 そう言いながら、千佳は涙を流した。
 俺は、そんな千佳を抱き締め直すと
「ああ…大丈夫だ…。俺は、そう成るようにしたから、怒ってない…。泣かなくて良いぞ…」
 恐ろしく優しい声音で千佳を慰める。
 すると、千佳は更に泣き
「ああん〜っ…。ご主人様に…優しくされたのに…。千佳…、失敗ばっかり…ふえ〜〜ん」
 自分の失敗を恥じる。
 俺は、千佳の頭を撫で、頬に優しくキスをする。
「千佳…。俺は、何て言った」
 優しい声で千佳を諭すと
「はい…、すみませんでした…。有り難う御座います、ご主人様」
 千佳は、涙を拭いて、ニッコリと俺に笑顔を見せた。
 それを見て、志緒理が更に驚く。
 そして、千佳の背後で、同じように千春が驚いている。

 千佳が笑顔を見せたのとほぼ同時に、リビングの中に、乙葉が秋美を伴い姿を現す。
「ご主人様、申し訳ございません。遅くなりました」
 入り口に入るなり、乙葉は平伏し謝罪した。
「いや、構わん。お前にはそれなりの理由が有る事を、俺は理解している。こっちに来い」
 俺は、乙葉の謝罪を受け取り、乙葉を招き入れる。
 乙葉は、俺の前で再び平伏すると
「ご主人様、お呼びにより参りました」
 俺に対して、礼を尽くす。
「乙葉。顔を上げろ…」
 俺は、乙葉に顔を上げさせ、正面から見詰める。
 乙葉の顔が徐々に紅潮し、ピンクに染まってくる。
「ご、ご主人…様…。あ、あの〜っ…、そんな目で…、見られると…」
 乙葉の身体が、ピンクに染まり、太股をモゾモゾと擦り合わせる。

 現れた時の、女王様の顔は、微塵も消えている。
 今は、只の奴隷に変わっていた。
「乙葉。こっちに来い…」
 俺が優しく乙葉を誘うと、乙葉は誘われるまま、正座でにじり寄る。
 俺は、直ぐ目の前に来た乙葉を、千佳と同じように、抱き締めてキスをする。
 乙葉は、俺のキスに応えながら、必死で絶頂を押さえる。
 俺は、乙葉の口の中に[イッても、良いぞ]許可を与えると
「はぐぅ〜〜〜っ、ん、んんん〜っあはぁーーーっ」
 俺が抱える首から下を、激しく揺さぶり、絶頂を迎える。

 俺は、乙葉を放して、その頬を撫でてやる。
 乙葉は、恍惚の表情を浮かべ、ウットリと俺を見詰める。
 そんな乙葉を、千佳は真剣に見詰め、他の3人は驚きの目を向ける。
「どうだ…、これが本当の奴隷の反応だ…。主に触れられる事で悦び、自ら快感を高めて行く…。お前達にこれができるか…?」
 俺の質問に志緒理は、呆然としながら首を横に振る。
「俺には、後3人奴隷と呼べる者が居る…。2人は今、処置室に入っているが、もう一人を呼んでやろう…」
 俺は、最後の一人を呼ぶため、スピーカーマイクのスイッチを入れた。
「俺だ…。秘密はもう解禁だ、今すぐリビングに来い…」
 俺は、忠雄を呼び出し、スイッチを切る。
 リビングの中に、暫く沈黙が流れる。
 心地良い緊張が、志緒理、千春、秋美から漂う。
 そして、3人はリビングの扉を、潜ってきた者を見詰めて、凍り付く。

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