走狗
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■ 第5章 走狗8

 俺は、乙葉と全員の反応が、鏡を見て理解出来た。
 そこに映る俺の顔は、獲物を見つけた獣が、狙いを定めるのに似ていた。
 それは、乙葉が欲情するのが解る程、危険な表情だった。
 俺は、そのまま、鏡に向かい唇だけで笑う。
 リビングに居た全員の肩が、ビクリと震える。
 鏡越しに俺の顔を見ていた、乙葉の雰囲気が、あの凄艶さを醸し出す。
 それを盗み見ていた、志緒理と秋美はその場に、へたり込んでしまった。
 堪りかねた晃が、俺にオドオドと話し掛ける。
「あ、あのさ…。良ちゃん…、止めない?その顔…。みんな、おかしく成っちゃうから…ね…」
 俺は、晃に向き直ると、晃は直視を避け、目線を反らす。
「なんだ…、この程度でびびるなよ…天才の名が泣くぞ…」
 俺は晃に、その顔のまま話かける。

 忠雄の奥で、へたり込んでる秋美に、俺が声を掛けると
「は、はい…ご、しゅじん…さま。た、ただいま…参ります…」
 かくかく震える足で、俺の前まで歩いて来る。
「ふっ…どうした…足が震えてるぞ…。怖いのか…?」
 俺が秋美に聞くと、ブルブルと首を横に振った。
「あ、あの…。腰が砕けて…足に力が…入らないんです…」
 秋美の足下を見ると、大量の愛液が流れている。
「お前。俺に見られて、感じたのか?」
 俺の質問に、秋美は真っ赤に成りながら、頷いた。
 俺は、自分がこうも変わってしまった事に、可笑しくなって笑った。
 その笑顔には、何処か自虐めいた物が、混ざっていた。

 俺が表情を変えた事により、その場の雰囲気は、表面上元に戻ったが、奴隷達の目には、明らかに欲情が残っていた。
 その後、酒宴は晃が飲みつぶれて、終わった。
 俺が許可を出していたから、忠雄は千佳に許可を得て、千春を連れて行く。
 どうやら今日は、女房を追い込むつもりのようだ、実に勤勉で有能な助手に成った。
 俺は、志緒理を呼び、連れて行く。
 こいつには、約束をした。
 [奴隷とはどういう物か教えてやる]と。
 乙葉は、俺達を見て、自分の役割を理解し、夏恵を連れて自室に戻る。
 千佳は、あぶれて項垂れる秋美に声を掛け、千恵と和美は美登里を呼んだ。
 残った母親達は、あてがわれた部屋にスゴスゴと、戻って行く。

 部屋に着くと、俺はベッドに腰掛ける。
 俺の前にはメイド服を着た、志緒理が立っている。
 志緒理の表情は、俯いているため、良く見る事が出来ない。
 身体は、小刻みに震えているようだ。
 数秒続く、無言の時間。
 志緒理の手が、服のチャックに掛かったり、手を前で摺り合わせたりと、せわしなく動き出す。
 俺は更に、無言で見詰めると、とうとう志緒理が泣き出した。
 38歳のヤクザの姉さんをやっていた女が、子供のように涙を流す。

 俺は、初めて口を開いて、言葉を掛ける。
「泣けば良いのか…」
 俺の言葉に、志緒理はビクリと震え、動きを止める。
「お前は、何だ…」
 俺の質問に、志緒理は答えを出せない。
「その時点でお前は、自分を否定している…」
 俺の言葉に、志緒理が項垂れる。
「お前は、リビングで何を感じた…?俺の顔を見て…、お前が感じた物は何だ…」
 俺はリビングで、志緒理が秋美と同じように、腰を落としたのを確認している。
「は、はい…。オ○ンコの奥が…熱くなって…腰が震えて…膝の力が…抜けました」
 志緒理は、掠れた声で、辿々しく俺に報告をする。

 俺は、俯いて、その言葉を聞き
「それで…、お前はどうしたかった…?どうされたかった…?」
 その先を促した。
 しかし、志緒理の答えは、俺を失望させる。
「あ、あの…。わ、解りません…。私は、今まで…命令された事を…守る事しか…教えられませんでした…」
 俺は、その答えを聞き、ユックリと顔を上げる。
 その表情は、リビングで見せた物より、更に加虐者の色が濃く出ていた。
 俺が顔を上げると、志緒理の目線は、俺の目線に絡め取られる。

 途端に志緒理の身体が、小刻みに震え出す。
「志緒理…。今、何がしたい…?」
 俺が声を掛けると、志緒理の膝が、カクンと折れて床に着き、そのままの勢いで、上体を倒して三つ指を突く。
「志緒理をメチャクチャにして下さい………ご、ご、ご主人様!」
 声を出した途端に、志緒理の身体がビクビクと震える。
 志緒理は、俺に服従した事で、イッた事を恐らく理解していない。
 自分の身体に起こった事が、自分で理解出来ては居ないだろう。
 それを今から、ユックリ教えてやる。

 俺は、平伏している志緒理の側に立ち、ユックリと足を頭の上に乗せ、体重を掛ける。
 志緒理は、俺に踏まれると、腰をビクッ、ビクッと震わせる。
 俺は、それを見届けると、足を外して肩口に滑り込ませて、足で片方の肩を持ち上げ、仰向けにさせる。
 志緒理は、俺に誘導されるまま、仰向けに床に寝そべる。
 俺は、そのまま足で乳房を踏みしめ、顔に向かって徐々に移動させる。
 志緒理の顔は、今まで感じた事の無い、興奮に濡れている。
 俺の足で、顔を右に左に弄ばれ、踏みにじられると、志緒理の口から赤い舌がスルスルと伸び、俺の足を舐めようとする。
 俺は、志緒理の口の近くに、足を持って行ってやると、志緒理はウットリとした表情で、俺の足に舌を這わせる。
「志緒理…。何故お前は、今俺の足に舌を這わせている…?」
 俺の質問に、我に返った志緒理は、舌を引っ込め
「わ、解りません…」
 戸惑った表情で、呟く。

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