捨てられた猫
一二三:作

■ 勘当の身3

 扉を開けて中に這入ると1mの踏み込みが在り高さ10cmの上り框に成って居ます、靴を脱いで下駄箱に入れ、上がった所がダイニングキッチンで、片側がトイレと浴室でした、其の奥に可也広いPタイル貼りの部屋が在り、其の奥にWベッドを置いた寝室が在りました。
「此のPタイルの部屋はねSVやSMを愉しむ部屋でね、御主人様達が此の世の憂さを忘れる事の出来る部屋だよ、此処に這入ったら御主人様には絶対服従で、何をされても逆らってはいけない、御主人様がされる事は普通の男女の営み以上の事だ、此の台を見たら判るように此れは婦人科診療台だ、散髪椅子と似ているが機能は全然別だ、御主人様がM女を可愛がる為の極楽台だ」
 壁にはロープ、紐、鞭等か整然と掛けられ、其の下には色んな椅子や低いマイクスタンドが並んでいます、片隅のガラス棚には婦人科で使う器具が冷たい光を放っています、春香は思いました、先生や須藤さんが言っていたSMプレイと云うのが是かなぁとボンヤリ気付きました。
 色んな事を想像する暇も無く次の部屋に案内されました。此の階の中央部と思われる位置に在る部屋に這入りました、先程の部屋の2倍以上有りそうです。
「此処は主にSM専用だ、1度に男女10人ずつがプレイ出来る、御主人様達には最高の此の世の極楽だ、其の為に1夜で100万以上のお金をはたく、明日の鋭気を養う為にな」
 此の部屋は全部がプレイルームに成って居て、玄関を入り上がり框のドアーを開けると左側にWベッド3台分の大きなベッドが在り、中程に婦人科診療台が3台置かれ、壁には種々雑多な鞭やチエン、ロープ、紐等が掛けられ、大きなガラス製器具棚には大小様々な婦人科器具や見た事の無い器具が並んでいます、春香も1度堕胎しているので見て解る物も有りますが、どの様な使い方をするのか分からない物の方が多いようです、反対側の壁にはX磔台や十字磔台が在り、其の横には三角木馬や暴れ木馬が在り、ラブホテルにも在ったSEXマシンが並んでいました。一番奥には洗い場の広い浴室が在り片隅に透明の洋式と和式便器が2台ずつ置かれていました。
「春香さん、大体判りましたね、此れから会長に会って頂きます、会長のOKが出れば身体検査を致します、宜しいですね」
 春香には何だか分からない内に押し流されそうな気がして、
「アノー、一つだけ聞いて宜しいでしょうか」
「イイですよ、何でも気軽に聞いて下さい」
「是ってSEX床屋ですか、売春で捕まりませんか、そうなると親兄弟が泣きますわ、其れで無くても今の私は勘当同等の身ですから」
「其の事かね、其の心配は絶対に無い、理由は会長室で詳しく話します、君も此の街に来て此処の噂は聴いた事有るだろう、皆さん如何言ってますか、売春床屋と言ってますか、僕は聞いた事無いけどね」
「スミマセン、有りません、私の早とちりです」
「マァ、そう気にしなさんな、行きましょう」
 13階の広いイヴェント会場の、ステージの裏側に在る会長室に案内されました、店長がドアをノックして、
「西村です、失礼します」
「はい、どうぞ」
 中から重々しい声が返って来ました。入口の机に秘書らしい中年の女性が居て、店長が書類を渡すと女性は其れを会長の所に持って行き、ファイルの1ページ目を開いて会長に渡しました。
 60才を少し超えたかと思われる恰幅の良い会長は書類から目を離し、
「サァ、どうぞ、此方にお掛け下さい」
 と言って応接セットを指されました、店長と春香は客席に座り、南社長と会長は主席に座りました。
「申し上げます、此の度南社長から紹介頂いた柳川春香さんです、此方は当企業グループ会長の東条様です」
「ハイ、東条です、宜しくね気軽にいて下さい」
「柳川春香です、宜しくお願いします」
 挨拶が終わった処で店長が、
「春香君、之から色々聞きますがね、何事も包み隠さず答えて下さいね、是は一番大切な事ですからね」
「ハイ、分りました」
「今、貴女にお見せしましたが、此の店で働く気が有りますか」
「ハイ、私で宜しければ働かせて下さい」
「最初に言った通り此の店は完全会員制ですから一元の客は這入る事が出来ません、会員様は全員身元が確実で健康管理が出来ていて、お金に余裕の有る方ばかりです、社会的地位も政界財界の重鎮で、世間体を一番大切にする方ばかりです、だからプライベートには過分の金を使います、是が自分自身を成長させる肥やしと成って居るのです、分りますか」
「ハイ、大体判ります」
「此の世の中の人間は男と女しか居ませんが、貴女はセックスは好きですか、嫌いですか」
「そんなぁ、嫌いではありませんわ」
「家庭持ちの二人の男としていたのだから嫌いな訳は無いですよね、精液は飲みましたか」
「イヤァー、そんなぁー、答なければいけませんか」
「そうだよ、何事も隠してはいけないよ」
「飲みました」
「美味しいですか」
「最初は臭くて苦くて嫌だったのですが、今は美味しいです」
「お尻の穴も使えますか」
「お尻でした事有りません」
「二人の男性と同時にした事有りますか」
「二度有ります」
「どんな形でしましたか」
「一人がオマ〇コで一人がお口でした」
「一人の時と二人の時とどちらが良かったですか」
「二人の時の方が燃えました」
「セックスは悪い事と思って居ますか」
「悪いとは思って居ませんが、何だか分からなくなりました」
「そうだろうね、分別の有る大人に、免許を餌に玩具にされて棄てられたのだからね、悔しいだろう」
「腹が立ちましたけど、今は自分がいけなかったと反省しています」
「最初に言った通り此処の会員様は世界の最高級の紳士ばかりだ、会員様は皆様御主人様で、貴方達はご奉仕する下僕、言い換えると奴隷だ、立居振舞い全般に気を付けてお仕えしなければならない、御主人様には絶対服従だ、逆らってはならない、言葉使いは敬語で否定語は一切使ってはならない、例えば、嫌、出来ない、駄目等だ。先ず貴女の接客態度を見て担当コースを決めます、其の為此れから身体検査と技能検定をします、検査は隣の特別室で行います、陽子先生お願いします」

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