新・売られた少女
横尾茂明:作

■ 奸計の章2

その日以来武雄は友愛学園を徹底的に調べた、分かったことはその学園が小舎制の児童養護施設であったこと、目的の少女は吉岡聡美、小学6年生、3才の時……都内のデパートで迷子として見つけられ1週間経っても親は現れず、捨て子としてこの学園に預けられた。

さらに一ヶ月の後……蛇の道は蛇、その学園の園長が院内の女子中学生に強制猥褻したらしくその女子中学生がつきあっている男に口止め料を要求されていることも突き止めた。

(これは使えるぜ……)

武雄はすぐにその男と女子中学生を組の者に言葉巧みに事務所まで連れてこさせた。

二人を応接室に通し紳士的に事の内容を男に問いただした……男は武雄を園長の友人くらいに思い、武雄の質問に答えず大声で傷物になった俺のオンナをどうしてくれると喚き散らし机叩いた。

「本当に園長さんはこの子に淫行したんですかい?」

「コノヤロー……俺たちが嘘でも言ってるというのか!」
男は立ち上がって武雄を睨み付けテーブルの湯飲みを蹴散らした。

お茶が武雄のスーツに降り注いだ刹那……武雄はキレた。

「ナメるなくそガキャ!、チンピラがヤクザ相手になめたことしやがって!」
武雄の靴が唸りをあげて男の顔面を襲う、男は弾かれるように壁まで吹っ飛び床に崩れる。

応接室の扉を開け、武雄は外で待機している数人の男に中に入るように言い、

「おーかまうことねーからこいつの腕の一本もへし折ってやれ! そうすりゃ口のきき方も少しは思い出すだろぜ」

男は野獣に豹変した武雄の形相に背筋を凍り付かせる……しかし相手がヤクザと気付くのが遅すぎた……。

鼻血をたれ流しながら許しを請う男を数人の男が強引に担ぎ上げて事務所の奥に連れて行く……。

すぐに濡れ雑巾を叩きつける音と悲鳴が錯綜しはじめた……武雄の前で真っ青に震える少女は涙目で、聴きもしないのに事の事情を譫言のように喋り始める。

分かったことは……男と女子中学生とはグルであり、どうやら金目当ての美人局だとわかった。

武雄は聞くだけ聞いてから泣きじゃくる少女の髪を引っ張って事務所の奥に引きずり込んだ。

半殺しの体で床で痙攣している男を蹴り起こし、「ガキがヤクザのまねをしやがって二人仲良く揃って死んでみるか?」

男と少女は泣きわめいて許しを請う……。

「よーし分かった! オメーら命は取らんから園長に……そうさなー……200万要求しろ!」

「分かってるだろうが……園長からいただいた200万はきちんと俺の所に持ってくるんだぞ! わかったな」

「逃げやがったら……きさまら地の果てでも追い込んで殺すからナー」

哀れな男と女子中学生は事務所から蹴り出された。

「オイ! 例のチラシを持ってこい!……お前ら、このチラシを友愛学園の周りに貼ってこいや」

チラシには……200万・担保不要で即融資! と書かれてあった。

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