新・売られた少女
横尾茂明:作

■ 奸計の章3

「柴田さん……喜んで下さい! なんとかごまかして養子縁組が出来そうです……明日戸籍謄本と印鑑を持って市の福祉課まで来て頂けませんか」
電話の奥で園長の高ぶった声がキンキン響く。

「よーし! よーやった……でっ……やばい話にはならんだろうな!」

「おまかせ下さい……ついてはあなたの身元、家族構成等をこちらで作っておきましたので後でFAXします……よく暗記しておいて下さいね、……それで…………女のことも借金も全て無かった事にしていただけるんですよね……」

「まー全部うまくいったらな……おれは嘘はいわんから安心せーや」



バス停に清楚な中学生が佇んでいる、秋風にフルフルと長い睫毛が揺れ……栗色の細く柔らかな髪がなびく。

少女は白いオーラに包まれている……セーラー服の前はふっくらと萌えスカートからはミルクを溶かし込んだような真っ白な脚が光り濃紺のスカートに映える。

バス停に1台のベンツが近づく、ブレーキランプが点り緩やかに停まっていく、そしてウィンドが開けられた。

「聡美だね……柴田です、さー乗って」

少女は一瞬躊躇し戸惑う素振りを見せたが……ベンチに置いた大きなバックを握り締め、車の助手席を開けた。

「柴田さんですね?……聡美と申します、どうぞよろしく御願いいたします」

「あー……挨拶は後でいい、いまトランクを開けるからその荷物を早く入れなさい」

少女は開けられたトランクにバックを置いて閉め、助手席側に回り込んで男の横に乗り込んだ。

「聡美ちゃんだね……柴田です、あーやっぱり可愛い子だ、今日は学園に行って挨拶してから君を迎えるつもりだったが……忙しくてごめん、園長さんおじさんのことを何にか言ってた?」

「柴田さんは多忙な人だからご迷惑にならないようバス停まで出てお迎えしなさいと、それからすごく優しい人だから安心しなさいって……」

「そっか……優しい人か……」

「おじさん……こんな私でいいんでしょうか……」

「こんな私って……どういうこと?」

「私……中学生なんです……こんなに大きくなってから養子に望まれるなんて……」

「いやね……実は今年の初めに君を街で見かけて……あまり可愛いから私から園長さんに是非にと頼んだんだよ」

「本当は君がもう少し大きかったらお嫁さんに欲しいところだが……まっ……」

「おじさんには奥さんはいないのですか……」

「いないよ……」

(やっぱり……美智姉さんの言ってたとおり)

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